135 / 207
それぞれが目指すもの
しおりを挟む
魔物の襲撃にあい、被害の出た村に訪れたギン達は魔物が残した可能性のあるものを発見するために村中を捜索することとした。
組み分けを終え、ルルーが一同に呼びかける。
「じゃあみんな、お願いね。なにか見つけたらとりあえず村長さんの家に行って。それで1人は村長さんの家で待って、もう1人は他の組を呼んで」
ルルーの声を聞いて、それぞれの組は動き出し、ミッツ教徒と傭兵団も村人への支援物資の配布準備をする。
「それでは、みなさんよろしくお願いします。何か分からないことがあれば私に聞いてください」
「任せとけって」
教徒と傭兵達が配布準備を始めたころにギン達もそれぞれの組が捜索を始めた。
ヨナと傭兵が何やら話をしている。
「姉御、魔物の肉体の一部を見つけりゃいいんですよね?」
「エイムはそれで魔力感知ができるって言ってたけどね」
「一部を渡して他は俺達でこっそりくすねて後でどっかに売りさばくってのはどうですか?」
「あんたね、何考えてんだい!」
ヨナが血相をかえて怒ったため、傭兵は思わずなだめてしまう。
「じょ、冗談じゃ、ないですか。そこまで怒らなくても」
「笑えない冗談はやめな」
「だけど姉御、前はそういうのを姉御も進んでやってたじゃねえですかい」
「前と今じゃいろいろ違うんだよ。あの時はあたしもただ生きるのに必死だった、だけど……」
ヨナが少し間を置いたため、傭兵が尋ねる。
「だけど、なんですかい?」
「あいつらの言葉に心が動いたのは事実だよ。だけど半信半疑な部分もあった。でも、この間の帝国との戦いでギンから覚悟みたいなものを感じたよ。あいつは本当に帝国に勝って戦争を終わらせたいんだなって」
「姉御、俺もあいつは信じられますぜ。俺達を使い捨てじゃなく仲間と思ってくれているようですから」
「あいつだけじゃないよ。みんな本気でそう思っているし、だからあたしらがあいつらの信頼に恥じるようなことはしちゃダメなのさ」
ヨナはギン達との出会い、そして帝国との戦いを目の当たりにし、ギン達に対する信頼感が増しており、自分達も彼らの信頼に応えたい。そう考えるようになっていたのだ。
ヨナ達が話している頃、ブライアンとジエイも捜索をしていた。
「なあ、ジエイ、なんかこう、魔物のものが分かる忍術とかねえのか?」
「ブライアン殿、忍術はそれほど万能ではありません。私が使用できるのは速度の強化と4属性の術だけですから」
「いや、それでも充分にすげえじゃねえか!謙遜しすぎるとかえって嫌味だぞ」
「むう、申し訳ない。ですが我が先祖より代々伝わる秘伝の技ではあるのですが私はまだ未熟ですので」
ブライアンはジエイの未熟という言葉を聞いて驚愕し、先祖のことを尋ねる。
「じゃあ、お前のご先祖様っていうのはどんだけすごかったんだ?」
「我が家に伝わっている伝承ですと4属性の術の混合術というものが使えたそうです。本来反発してしまう属性すらもまとめてしまう力は今の私にはありません」
「じゃあ、お前もそんな力を秘めてるかも知れねえのか」
「修行次第でしょうな」
先祖に追いつかんとするジエイの姿勢にブライアンは感心し、ジエイに対しある種の敬意が生まれていた。
「ジエイ、俺はお前みたいな術は使えねえが足手まといにはなるつもりはないぜ」
「何をおっしゃいますか、あなたの怪力は私では到底追いつけませんよ。謙遜も過ぎると嫌味ですよ」
「はっはっはっ、一本取られちまったぜ」
ジエイが冗談を返してくるとは思わず、ブライアンはただ笑うしかなかった。
続く。
組み分けを終え、ルルーが一同に呼びかける。
「じゃあみんな、お願いね。なにか見つけたらとりあえず村長さんの家に行って。それで1人は村長さんの家で待って、もう1人は他の組を呼んで」
ルルーの声を聞いて、それぞれの組は動き出し、ミッツ教徒と傭兵団も村人への支援物資の配布準備をする。
「それでは、みなさんよろしくお願いします。何か分からないことがあれば私に聞いてください」
「任せとけって」
教徒と傭兵達が配布準備を始めたころにギン達もそれぞれの組が捜索を始めた。
ヨナと傭兵が何やら話をしている。
「姉御、魔物の肉体の一部を見つけりゃいいんですよね?」
「エイムはそれで魔力感知ができるって言ってたけどね」
「一部を渡して他は俺達でこっそりくすねて後でどっかに売りさばくってのはどうですか?」
「あんたね、何考えてんだい!」
ヨナが血相をかえて怒ったため、傭兵は思わずなだめてしまう。
「じょ、冗談じゃ、ないですか。そこまで怒らなくても」
「笑えない冗談はやめな」
「だけど姉御、前はそういうのを姉御も進んでやってたじゃねえですかい」
「前と今じゃいろいろ違うんだよ。あの時はあたしもただ生きるのに必死だった、だけど……」
ヨナが少し間を置いたため、傭兵が尋ねる。
「だけど、なんですかい?」
「あいつらの言葉に心が動いたのは事実だよ。だけど半信半疑な部分もあった。でも、この間の帝国との戦いでギンから覚悟みたいなものを感じたよ。あいつは本当に帝国に勝って戦争を終わらせたいんだなって」
「姉御、俺もあいつは信じられますぜ。俺達を使い捨てじゃなく仲間と思ってくれているようですから」
「あいつだけじゃないよ。みんな本気でそう思っているし、だからあたしらがあいつらの信頼に恥じるようなことはしちゃダメなのさ」
ヨナはギン達との出会い、そして帝国との戦いを目の当たりにし、ギン達に対する信頼感が増しており、自分達も彼らの信頼に応えたい。そう考えるようになっていたのだ。
ヨナ達が話している頃、ブライアンとジエイも捜索をしていた。
「なあ、ジエイ、なんかこう、魔物のものが分かる忍術とかねえのか?」
「ブライアン殿、忍術はそれほど万能ではありません。私が使用できるのは速度の強化と4属性の術だけですから」
「いや、それでも充分にすげえじゃねえか!謙遜しすぎるとかえって嫌味だぞ」
「むう、申し訳ない。ですが我が先祖より代々伝わる秘伝の技ではあるのですが私はまだ未熟ですので」
ブライアンはジエイの未熟という言葉を聞いて驚愕し、先祖のことを尋ねる。
「じゃあ、お前のご先祖様っていうのはどんだけすごかったんだ?」
「我が家に伝わっている伝承ですと4属性の術の混合術というものが使えたそうです。本来反発してしまう属性すらもまとめてしまう力は今の私にはありません」
「じゃあ、お前もそんな力を秘めてるかも知れねえのか」
「修行次第でしょうな」
先祖に追いつかんとするジエイの姿勢にブライアンは感心し、ジエイに対しある種の敬意が生まれていた。
「ジエイ、俺はお前みたいな術は使えねえが足手まといにはなるつもりはないぜ」
「何をおっしゃいますか、あなたの怪力は私では到底追いつけませんよ。謙遜も過ぎると嫌味ですよ」
「はっはっはっ、一本取られちまったぜ」
ジエイが冗談を返してくるとは思わず、ブライアンはただ笑うしかなかった。
続く。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました
神様お願い!~神様のトバッチリで異世界に転生したので心穏やかにスローライフを送りたい~
きのこのこ
ファンタジー
旧題:神様お願い!〜神様のトバッチリを受けた定年おっさんは異世界に転生して心穏やかにスローライフを送りたい〜
突然白い発光体の強い光を浴びせられ異世界転移?した俺事、石原那由多(55)は安住の地を求めて異世界を冒険する…?
え?謎の子供の体?謎の都市?魔法?剣?魔獣??何それ美味しいの??
俺は心穏やかに過ごしたいだけなんだ!
____________________________________________
突然謎の白い発光体の強い光を浴びせられ強制的に魂だけで異世界転移した石原那由多(55)は、よちよち捨て子幼児の身体に入っちゃった!
那由多は左眼に居座っている神様のカケラのツクヨミを頼りに異世界で生きていく。
しかし左眼の相棒、ツクヨミの暴走を阻止できず、チート?な棲家を得て、チート?能力を次々開花させ異世界をイージーモードで過ごす那由多。「こいつ《ツクヨミ》は勝手に俺の記憶を見るプライバシークラッシャーな奴なんだ!」
そんな異世界は優しさで満ち溢れていた(え?本当に?)
呪われてもっふもふになっちゃったママン(産みの親)と御親戚一行様(やっとこ呪いがどうにか出来そう?!)に、異世界のめくるめくグルメ(やっと片鱗が見えて作者も安心)でも突然真夜中に食べたくなっちゃう日本食も完全完備(どこに?!)!異世界日本発福利厚生は完璧(ばっちり)です!(うまい話ほど裏がある!)
謎のアイテム御朱印帳を胸に(え?)今日も平穏?無事に那由多は異世界で日々を暮らします。
※一つの目的にどんどん事を突っ込むのでスローな展開が大丈夫な方向けです。
⭐︎第16回ファンタジー小説大賞にて奨励賞受賞を頂きました!読んで投票して下さった読者様、並びに選考してくださったスタッフ様に御礼申し上げますm(_ _)m今後とも宜しくお願い致します。
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
この争いの絶えない世界で ~魔王になって平和の為に戦いますR
ばたっちゅ
ファンタジー
相和義輝(あいわよしき)は新たな魔王として現代から召喚される。
だがその世界は、世界の殆どを支配した人類が、僅かに残る魔族を滅ぼす戦いを始めていた。
無為に死に逝く人間達、荒廃する自然……こんな無駄な争いは止めなければいけない。だが人類にもまた、戦うべき理由と、戦いを止められない事情があった。
人類を会話のテーブルまで引っ張り出すには、結局戦争に勝利するしかない。
だが魔王として用意された力は、死を予感する力と全ての文字と言葉を理解する力のみ。
自分一人の力で戦う事は出来ないが、強力な魔人や個性豊かな魔族たちの力を借りて戦う事を決意する。
殺戮の果てに、互いが共存する未来があると信じて。
元四天王は貧乏令嬢の使用人 ~冤罪で国から追放された魔王軍四天王。貧乏貴族の令嬢に拾われ、使用人として働きます~
大豆茶
ファンタジー
『魔族』と『人間族』の国で二分された世界。
魔族を統べる王である魔王直属の配下である『魔王軍四天王』の一人である主人公アースは、ある事情から配下を持たずに活動しいていた。
しかし、そんなアースを疎ましく思った他の四天王から、魔王の死を切っ掛けに罪を被せられ殺されかけてしまう。
満身創痍のアースを救ったのは、人間族である辺境の地の貧乏貴族令嬢エレミア・リーフェルニアだった。
魔族領に戻っても命を狙われるだけ。
そう判断したアースは、身分を隠しリーフェルニア家で使用人として働くことに。
日々を過ごす中、アースの活躍と共にリーフェルニア領は目まぐるしい発展を遂げていくこととなる。
テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
精霊の愛し子~真実の愛~
マツユキ
ファンタジー
生まれ落ちた時、赤子の体には不思議な文様が浮かんでいた。母親はその子を愛そうとはせず生まれてすぐに捨てた。赤子は生まれて間もなかったが、意思があり理解も出来ていた。悲しみ救いを求め「助けて!」と言葉は出ないが泣き叫ぶ。しかし、誰も手を差し伸べようとはしなかった。日が経つにつれ赤子の声は掠れ生気がなくり、とうとう死を受け入れたとき赤子の体が光に包まれる。
※恋愛対象が男性になるためBLと入れていますが、本格的な濡れ場などは書く予定はありません
BLよりもファンタジー色の強い話になると思います
転生して異世界の第7王子に生まれ変わったが、魔力が0で無能者と言われ、僻地に追放されたので自由に生きる。
黒ハット
ファンタジー
ヤクザだった大宅宗一35歳は死んで記憶を持ったまま異世界の第7王子に転生する。魔力が0で魔法を使えないので、無能者と言われて王族の籍を抜かれ僻地の領主に追放される。魔法を使える事が分かって2回目の人生は前世の知識と魔法を使って領地を発展させながら自由に生きるつもりだったが、波乱万丈の人生を送る事になる
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる