魔法戦士ギン

burazu

文字の大きさ
上 下
131 / 207

操作魔法

しおりを挟む
 ミッツ教団の司祭より、魔物に襲われた村の復興支援と魔物の調査の要請を受けたギン達はスップより北にある村へと馬車で向かっていた。

 ループの引いている馬車をギンが御しており、エイム、ブライアン、ルルー、ムルカ、ジエイが乗っており、ゲンジの引いている馬車はヨナ達傭兵団が乗っている。

 そしてもう1台の馬車に支援用の物資が詰め込まれており、ミッツ教団員が馬車を御しているのだ。

 ループの引いている馬車の中でブライアンがルルーに尋ねている。

「なあ、ルルー」
「何?」
「魔物が軍隊並みに統制がとれているっていうけど具体的にどういうことだ」
「はっきりとしたことは分からないけど、何者かが指示を出し、その通りに動いたってことだと思うわ」

 ルルーの言葉を聞いてブライアンの中に疑問が生まれた。

「何だそりゃ?魔物同士で合図でも出し合っているのか?」
「私に聞かれても……」

 ブライアンとルルーのやりとりを聞いて何かを思い出し、エイムが話し始める。

「すいません、今のお話を聞いて思い出したことがあるんですけどいいですか?」

 エイムの言葉を聞いて、ブライアンとルルーがエイムの方を向く。

「そうね、話してくれる」
「方法が分かれば対策も立てられるかもしれねえからな」

 2人に促され詳しい話をエイムが始める。

「私はそういう魔法は使えませんが、操作魔法を使用すれば可能かもしれません」
「操作魔法?」
「主に2通りの魔法があります。1つは肉体に作用させる魔法です、自らの意思を直接対象者の肉体に作用させ、思うままに動かす魔法です」
「恐ろしい魔法ね」

 エイムの話を聞いて恐怖するルルーであったが、エイムはこの魔法の欠点を話す。

「ですがこの魔法には重大な欠点があって。対象者の肉体の一部分、毛や爪を媒介にしなければ使えないうえ、膨大な魔力を消費するので実戦的とは言えません」
「そうなの。じゃあ、もう1つの方法は?」
「もう1つは精神に作用させる魔法です。魔力で暗示をかけて自らの思うままに動かせます。理性のある人間には難しいですが、本能で動く魔物なら操作が可能かもしれません」

 エイムの話を聞いて、ルルーに更なる疑問が生まれ、ブライアンも言葉を発する。

「その話通りだとして、誰がそのようなことをするかよね」
「もしかして帝国のエンビデスじゃねえのか、あいつならそんなことができても不思議じゃねえ」
「うーーん、でも帝国は軍事拠点か武装した集団にしか攻撃をしないって話をよく聞くし、さすがに違うと思うわ」
「俺達に負け続けてなりふり構う余裕がねえかも知れねえじゃねえか」

 2人の間にエイムが入り提案をした。

「村に着けば、なにかを媒介に私が魔力探知をしてみますからそれで分かると思います」
「そっか、それならエイムに任せるか」
「そうねお願いするわ」
「任せてください」

 エイムは強く返事をする。戦いの中エイムの中でも苦しむ人々を救わなければいけない、そういう意志が強くなってきたのだ。
続く
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません

青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。 だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。 女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。 途方に暮れる主人公たち。 だが、たった一つの救いがあった。 三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。 右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。 圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。 双方の利害が一致した。 ※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております

30年待たされた異世界転移

明之 想
ファンタジー
 気づけば異世界にいた10歳のぼく。 「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」  こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。  右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。  でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。  あの日見た夢の続きを信じて。  ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!  くじけそうになっても努力を続け。  そうして、30年が経過。  ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。  しかも、20歳も若返った姿で。  異世界と日本の2つの世界で、  20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

処理中です...