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同盟締結
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スールの兵士に案内され王宮までの入城を許可されたギン達。玉座の間の前で兵士が声を掛ける。
「特使殿は玉座の間へお入りください。護衛の方はこちらの部屋でお待ちください」
案内される場所がルルー達と別なことにブライアンが呟く。
「俺達は別の所か」
「まあ同盟交渉は私達の仕事だし、少し待っててね」
ルルーの言葉を聞いてギンがブライアンに呼びかける。
「あとはルルー達に任せよう」
ギンがそう言い終えると兵士の案内でギン達は別室で待機することとなった。
ギン達が玉座の間を離れるとムルカがルルーに声を掛ける。
「ではルルー、参ろうか」
「はい」
ルルーとムルカが声を掛け終えると兵士が玉座の間の扉を開ける。
そこには玉座に座る王と大臣がいた。大臣がルルー達に声を掛ける。
「あなた方ですな、プレツからの特使というのは。ささ、陛下にご挨拶を」
大臣に促され、ムルカ、ルルーの順にスール国王に片膝をつき挨拶する。
「お初お目にかかり光栄でございます。プレツより参上しましたミッツ教神官のムルカにございます」
「同じくシスターのルルーにございます」
2人の挨拶を聞いて、国王が返答する。
「ふむ、長旅足労であった。して何用であるかな?」
国王の質問に対し、ルルーが答える。
「はっ、我らプレツは激化するブロッス帝国の侵攻に対抗するために反帝国同盟に動いております。この度は貴国とも同盟締結が成ることを望み参上いたしました。こちらが我らがプレツ国王の文でございます」
ルルーはプレツ国王の文を取り出すと、まず兵士に渡し、兵士から国王へと渡される。
国王は文を受けとるとその場で表情を変えずに読む。読み終えるとルルー達に声を発する。
「そなた達の申したいことは理解した。実のことを言うと我らもブロッス帝国の動きは気になっておった」
次の瞬間、国王はルルー達の後方にいるジエイに声を掛ける。
「ジエイよ!」
「はっ!」
国王に声を掛けられたジエイは国王に駆け寄り膝をつく。
「ジエイよ、そなたが特使殿らと共に戻ってきたという事は帝国の狙いを掴んだのだな」
「はっ!陛下」
そう言って、ジエイは国王に耳打ちで帝国の情報を伝える。
「そうか……」
国王は再び、ルルー達の方へと向き直し結論を伝える。
「特使殿、もはや我らも帝国との戦いは避けられぬようだ。貴国との同盟を締結することをここに誓おう。正式な返答はこちらから改めて貴国に使者を送ろう。これでよろしいかな?」
「はっ!ありがたきお言葉恐悦至極に存じます」
反帝国同盟の第1歩が成った。これからの戦いにわずかながら希望が生まれた瞬間であった。
続く
「特使殿は玉座の間へお入りください。護衛の方はこちらの部屋でお待ちください」
案内される場所がルルー達と別なことにブライアンが呟く。
「俺達は別の所か」
「まあ同盟交渉は私達の仕事だし、少し待っててね」
ルルーの言葉を聞いてギンがブライアンに呼びかける。
「あとはルルー達に任せよう」
ギンがそう言い終えると兵士の案内でギン達は別室で待機することとなった。
ギン達が玉座の間を離れるとムルカがルルーに声を掛ける。
「ではルルー、参ろうか」
「はい」
ルルーとムルカが声を掛け終えると兵士が玉座の間の扉を開ける。
そこには玉座に座る王と大臣がいた。大臣がルルー達に声を掛ける。
「あなた方ですな、プレツからの特使というのは。ささ、陛下にご挨拶を」
大臣に促され、ムルカ、ルルーの順にスール国王に片膝をつき挨拶する。
「お初お目にかかり光栄でございます。プレツより参上しましたミッツ教神官のムルカにございます」
「同じくシスターのルルーにございます」
2人の挨拶を聞いて、国王が返答する。
「ふむ、長旅足労であった。して何用であるかな?」
国王の質問に対し、ルルーが答える。
「はっ、我らプレツは激化するブロッス帝国の侵攻に対抗するために反帝国同盟に動いております。この度は貴国とも同盟締結が成ることを望み参上いたしました。こちらが我らがプレツ国王の文でございます」
ルルーはプレツ国王の文を取り出すと、まず兵士に渡し、兵士から国王へと渡される。
国王は文を受けとるとその場で表情を変えずに読む。読み終えるとルルー達に声を発する。
「そなた達の申したいことは理解した。実のことを言うと我らもブロッス帝国の動きは気になっておった」
次の瞬間、国王はルルー達の後方にいるジエイに声を掛ける。
「ジエイよ!」
「はっ!」
国王に声を掛けられたジエイは国王に駆け寄り膝をつく。
「ジエイよ、そなたが特使殿らと共に戻ってきたという事は帝国の狙いを掴んだのだな」
「はっ!陛下」
そう言って、ジエイは国王に耳打ちで帝国の情報を伝える。
「そうか……」
国王は再び、ルルー達の方へと向き直し結論を伝える。
「特使殿、もはや我らも帝国との戦いは避けられぬようだ。貴国との同盟を締結することをここに誓おう。正式な返答はこちらから改めて貴国に使者を送ろう。これでよろしいかな?」
「はっ!ありがたきお言葉恐悦至極に存じます」
反帝国同盟の第1歩が成った。これからの戦いにわずかながら希望が生まれた瞬間であった。
続く
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