魔法戦士ギン

burazu

文字の大きさ
上 下
49 / 207

同盟締結

しおりを挟む
 スールの兵士に案内され王宮までの入城を許可されたギン達。玉座の間の前で兵士が声を掛ける。

「特使殿は玉座の間へお入りください。護衛の方はこちらの部屋でお待ちください」

 案内される場所がルルー達と別なことにブライアンが呟く。

「俺達は別の所か」
「まあ同盟交渉は私達の仕事だし、少し待っててね」

 ルルーの言葉を聞いてギンがブライアンに呼びかける。

「あとはルルー達に任せよう」

 ギンがそう言い終えると兵士の案内でギン達は別室で待機することとなった。

 ギン達が玉座の間を離れるとムルカがルルーに声を掛ける。

「ではルルー、参ろうか」
「はい」

 ルルーとムルカが声を掛け終えると兵士が玉座の間の扉を開ける。

 そこには玉座に座る王と大臣がいた。大臣がルルー達に声を掛ける。

「あなた方ですな、プレツからの特使というのは。ささ、陛下にご挨拶を」

 大臣に促され、ムルカ、ルルーの順にスール国王に片膝をつき挨拶する。

「お初お目にかかり光栄でございます。プレツより参上しましたミッツ教神官のムルカにございます」
「同じくシスターのルルーにございます」

 2人の挨拶を聞いて、国王が返答する。

「ふむ、長旅足労であった。して何用であるかな?」

 国王の質問に対し、ルルーが答える。

「はっ、我らプレツは激化するブロッス帝国の侵攻に対抗するために反帝国同盟に動いております。この度は貴国とも同盟締結が成ることを望み参上いたしました。こちらが我らがプレツ国王の文でございます」

 ルルーはプレツ国王の文を取り出すと、まず兵士に渡し、兵士から国王へと渡される。

 国王は文を受けとるとその場で表情を変えずに読む。読み終えるとルルー達に声を発する。

「そなた達の申したいことは理解した。実のことを言うと我らもブロッス帝国の動きは気になっておった」

 次の瞬間、国王はルルー達の後方にいるジエイに声を掛ける。

「ジエイよ!」
「はっ!」

 国王に声を掛けられたジエイは国王に駆け寄り膝をつく。

「ジエイよ、そなたが特使殿らと共に戻ってきたという事は帝国の狙いを掴んだのだな」
「はっ!陛下」

 そう言って、ジエイは国王に耳打ちで帝国の情報を伝える。

「そうか……」

 国王は再び、ルルー達の方へと向き直し結論を伝える。

「特使殿、もはや我らも帝国との戦いは避けられぬようだ。貴国との同盟を締結することをここに誓おう。正式な返答はこちらから改めて貴国に使者を送ろう。これでよろしいかな?」
「はっ!ありがたきお言葉恐悦至極に存じます」

 反帝国同盟の第1歩が成った。これからの戦いにわずかながら希望が生まれた瞬間であった。
続く
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

パーティーから追放され婚約者を寝取られ家から勘当、の三拍子揃った元貴族は、いずれ竜をも倒す大英雄へ ~もはやマイナスからの成り上がり英雄譚~

一条おかゆ
ファンタジー
貴族の青年、イオは冒険者パーティーの中衛。 彼はレベルの低さゆえにパーティーを追放され、さらに婚約者を寝取られ、家からも追放されてしまう。 全てを失って悲しみに打ちひしがれるイオだったが、騎士学校時代の同級生、ベガに拾われる。 「──イオを勧誘しにきたんだ」 ベガと二人で新たなパーティーを組んだイオ。 ダンジョンへと向かい、そこで自身の本当の才能──『対人能力』に気が付いた。 そして心機一転。 「前よりも強いパーティーを作って、前よりも良い婚約者を貰って、前よりも格の高い家の者となる」 今までの全てを見返すことを目標に、彼は成り上がることを決意する。 これは、そんな英雄譚。

惣菜パン無双 〜固いパンしかない異世界で美味しいパンを作りたい〜

甲殻類パエリア
ファンタジー
 どこにでもいる普通のサラリーマンだった深海玲司は仕事帰りに雷に打たれて命を落とし、異世界に転生してしまう。  秀でた能力もなく前世と同じ平凡な男、「レイ」としてのんびり生きるつもりが、彼には一つだけ我慢ならないことがあった。  ——パンである。  異世界のパンは固くて味気のない、スープに浸さなければ食べられないものばかりで、それを主食として食べなければならない生活にうんざりしていた。  というのも、レイの前世は平凡ながら無類のパン好きだったのである。パン好きと言っても高級なパンを買って食べるわけではなく、さまざまな「菓子パン」や「惣菜パン」を自ら作り上げ、一人ひっそりとそれを食べることが至上の喜びだったのである。  そんな前世を持つレイが固くて味気ないパンしかない世界に耐えられるはずもなく、美味しいパンを求めて生まれ育った村から旅立つことに——。

改造空母機動艦隊

蒼 飛雲
歴史・時代
 兵棋演習の結果、洋上航空戦における空母の大量損耗は避け得ないと悟った帝国海軍は高価な正規空母の新造をあきらめ、旧式戦艦や特務艦を改造することで数を揃える方向に舵を切る。  そして、昭和一六年一二月。  日本の前途に暗雲が立ち込める中、祖国防衛のために改造空母艦隊は出撃する。  「瑞鳳」「祥鳳」「龍鳳」が、さらに「千歳」「千代田」「瑞穂」がその数を頼みに太平洋艦隊を迎え撃つ。

女神の白刃

玉椿 沢
ファンタジー
 どこかの世界の、いつかの時代。  その世界の戦争は、ある遺跡群から出現した剣により、大きく姿を変えた。  女の身体を鞘とする剣は、魔力を収束、発振する兵器。  剣は瞬く間に戦を大戦へ進歩させた。数々の大戦を経た世界は、権威を西の皇帝が、権力を東の大帝が握る世になり、終息した。  大戦より数年後、まだ治まったとはいえない世界で、未だ剣士は剣を求め、奪い合っていた。  魔物が出ようと、町も村も知った事かと剣を求める愚かな世界で、赤茶けた大地を畑や町に、煤けた顔を笑顔に変えたいという脳天気な一団が現れる。  *表紙絵は五月七日ヤマネコさん(@yamanekolynx_2)の作品です*

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

処理中です...