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平民
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スップの町中で倒れていた男の頼みを聞いたギン達は食事処で男に食事をごちそうすることとした。
「ああ、うめえーーー、2日ぶりのメシだ!」
男は豪快に食事をどんどん食べていき、ギン達はあっけにとられている。
「なんかすごいですね」
「いや、昨日俺が見させられた光景もなかなかのものだったぞ」
「わ、私のことはいいじゃないですか!恥ずかしいからやめて下さい」
あくまで失った魔力を補うために量を多く食べているのであって普段から大食いでないエイムにとっては恥ずかしく、思わず声をあげてしまい、男も声に反応する。
「なんだお嬢ちゃんも大食いなのか」
「違います!私は魔力の回復の為に多く食べたのであって、普段はそこまで食べません!」
「大食いするほどの魔力を消費って、ここに来るまで一体あんたらなにがあったんだ?」
「はい、実は……」
エイムは、プレツの国境付近の森で魔物に襲われ、その際に自身が強力な魔法で魔物を一掃して、急に空腹になったことを説明した。
「たまげたな、まあ帰りは俺がついているからそんな魔法をぶっ放す必要はねえな」
満腹になり生気を取り戻した男が自信満々な発言をしたことでギンは気になったことを尋ねてみた。
「確かにあんたはガタイがいいが、どうやって魔物と戦うんだ?」
「よくぞ聞いてくれた、見えていると思うがこの斧で敵を叩き切り、この大楯で自分の身を守るってわけよ」
「魔物との戦闘経験は?」
「もちろんあるぜ」
この男は自分の強さ、そして魔物との戦闘経験を自信満々に語るが、ギンには腑に落ちない点があった。
「そんな奴が何故町中で腹をすかして倒れていたんだ?そんな立派な斧や盾を持っている所を見ると金がないわけでもないと思うが」
「よくぞ聞いてくれた。っとその前に自己紹介がまだだったな、俺はブライアン、この町の防衛部隊に配属されていた」
「あ、私は魔術師のエイムと申します」
「俺はギンだ、彼女の依頼で護衛をしている。されていたとはどういうことだ?」
少し言葉をためてからブライアンが言葉を発する。
「実はよ……クビになったんだ」
「クビ⁉辞めさせられたのか」
「いや、正確にはクビ同然みたいなもんなんだ」
「悪いが、一体何をしたんだ?」
再び言葉をためてブライアンが言葉を発する。
「隊内で兵士たちの金や武器が紛失する事件があったんだ。その疑いが俺にかけられた」
「何か根拠があってのことか?」
「俺が平民の出だからだ、他の奴らは貴族や騎士の子供で、俺だけが平民出身でよ」
小さな村で育ったエイムには貴族と平民に身分さはあってもそのような貶めがあることが信じられず言葉を発する。
「え、そ、それだけであなたが疑われるんですか?」
「ああ、奴らは俺が平民出身でありながら魔物討伐の戦功で隊長から信頼される俺が気に食わなかったんだ。そんでもって俺の持ち物から別の兵士の剣がでてきたんだ。そんなでっちあげまでして俺を貶めたいんだ」
「空腹であの場で倒れていた理由は?さっきお前はクビ同然って言っていた。正式に辞めさせられたわけではないはずだ」
「隊長が俺の処分に猶予を与えてくれたんだ。けどよ、どの道あいつらとはそりが合いそうにないしな。腕っぷしが強ければ兵士のなかで功績をあげて出世ができるかも知れないと思ったけど、兵士の世界も貴族社会じゃあ平民の俺には無理だったんだよ」
自らの出自を理由に貶めるものがいることを嘆くブライアンにギンが声を掛ける。
「事情は分かった。だが気になることがある。お前の部隊の隊長殿は貴族出身か?」
「そうだが、それが何か?」
「ならその人は、お前の実力と人格をお前の身分に関係なく高く評価していると思うぞ。貴族が平民を蔑むことはよくある。それでもその隊長殿はお前自身に向き合ってくれてるんじゃないのか?」
一瞬はっとするブライアンにギンはさらに言葉を掛ける。
「お前が俺達をコッポに帰るまで護衛するのは構わない、だがせめて隊長殿だけには一言いっておく必要があるんじゃないか?」
再びはっとするブライアンであったがすぐにギンに言葉を返す。
「……あんたの言うとおりだ、恩もあるし世話にもなったからな」
「それがいい、それに俺にはお前が盗みをするような奴には思えない」
「何故そう思う?」
「さっきの受け答えの返しが律儀だからだよ」
2人のやり取りにエイムも加わる。
「私もそう思います。ギンさんがあなたとお話ししているのが楽しそうに見えたので」
すこし怪訝な表情でギンはエイムに尋ねる。
「俺がこいつと話しているのが楽しそう?」
「はい、ギンさん初めて会った時からずっと思い詰めていたようですし、怒ったときは少し怖かったです」
怒ったというワードに対してブライアンが反応をする。
「なんだ、この子が怖がる位怒ったのかあんた。ちょっと大人げないんじゃないか」
「まて、それはこの子が魔力を使って……」
3人がやりとりしているときに謎の男たちが店に入ってくる。
「こんなところにいたのかブライアン」
男の声にブライアンが反応する。
「お前は……カール!」
突如現れた男たちとブライアンの関係は如何に?
続く
「ああ、うめえーーー、2日ぶりのメシだ!」
男は豪快に食事をどんどん食べていき、ギン達はあっけにとられている。
「なんかすごいですね」
「いや、昨日俺が見させられた光景もなかなかのものだったぞ」
「わ、私のことはいいじゃないですか!恥ずかしいからやめて下さい」
あくまで失った魔力を補うために量を多く食べているのであって普段から大食いでないエイムにとっては恥ずかしく、思わず声をあげてしまい、男も声に反応する。
「なんだお嬢ちゃんも大食いなのか」
「違います!私は魔力の回復の為に多く食べたのであって、普段はそこまで食べません!」
「大食いするほどの魔力を消費って、ここに来るまで一体あんたらなにがあったんだ?」
「はい、実は……」
エイムは、プレツの国境付近の森で魔物に襲われ、その際に自身が強力な魔法で魔物を一掃して、急に空腹になったことを説明した。
「たまげたな、まあ帰りは俺がついているからそんな魔法をぶっ放す必要はねえな」
満腹になり生気を取り戻した男が自信満々な発言をしたことでギンは気になったことを尋ねてみた。
「確かにあんたはガタイがいいが、どうやって魔物と戦うんだ?」
「よくぞ聞いてくれた、見えていると思うがこの斧で敵を叩き切り、この大楯で自分の身を守るってわけよ」
「魔物との戦闘経験は?」
「もちろんあるぜ」
この男は自分の強さ、そして魔物との戦闘経験を自信満々に語るが、ギンには腑に落ちない点があった。
「そんな奴が何故町中で腹をすかして倒れていたんだ?そんな立派な斧や盾を持っている所を見ると金がないわけでもないと思うが」
「よくぞ聞いてくれた。っとその前に自己紹介がまだだったな、俺はブライアン、この町の防衛部隊に配属されていた」
「あ、私は魔術師のエイムと申します」
「俺はギンだ、彼女の依頼で護衛をしている。されていたとはどういうことだ?」
少し言葉をためてからブライアンが言葉を発する。
「実はよ……クビになったんだ」
「クビ⁉辞めさせられたのか」
「いや、正確にはクビ同然みたいなもんなんだ」
「悪いが、一体何をしたんだ?」
再び言葉をためてブライアンが言葉を発する。
「隊内で兵士たちの金や武器が紛失する事件があったんだ。その疑いが俺にかけられた」
「何か根拠があってのことか?」
「俺が平民の出だからだ、他の奴らは貴族や騎士の子供で、俺だけが平民出身でよ」
小さな村で育ったエイムには貴族と平民に身分さはあってもそのような貶めがあることが信じられず言葉を発する。
「え、そ、それだけであなたが疑われるんですか?」
「ああ、奴らは俺が平民出身でありながら魔物討伐の戦功で隊長から信頼される俺が気に食わなかったんだ。そんでもって俺の持ち物から別の兵士の剣がでてきたんだ。そんなでっちあげまでして俺を貶めたいんだ」
「空腹であの場で倒れていた理由は?さっきお前はクビ同然って言っていた。正式に辞めさせられたわけではないはずだ」
「隊長が俺の処分に猶予を与えてくれたんだ。けどよ、どの道あいつらとはそりが合いそうにないしな。腕っぷしが強ければ兵士のなかで功績をあげて出世ができるかも知れないと思ったけど、兵士の世界も貴族社会じゃあ平民の俺には無理だったんだよ」
自らの出自を理由に貶めるものがいることを嘆くブライアンにギンが声を掛ける。
「事情は分かった。だが気になることがある。お前の部隊の隊長殿は貴族出身か?」
「そうだが、それが何か?」
「ならその人は、お前の実力と人格をお前の身分に関係なく高く評価していると思うぞ。貴族が平民を蔑むことはよくある。それでもその隊長殿はお前自身に向き合ってくれてるんじゃないのか?」
一瞬はっとするブライアンにギンはさらに言葉を掛ける。
「お前が俺達をコッポに帰るまで護衛するのは構わない、だがせめて隊長殿だけには一言いっておく必要があるんじゃないか?」
再びはっとするブライアンであったがすぐにギンに言葉を返す。
「……あんたの言うとおりだ、恩もあるし世話にもなったからな」
「それがいい、それに俺にはお前が盗みをするような奴には思えない」
「何故そう思う?」
「さっきの受け答えの返しが律儀だからだよ」
2人のやり取りにエイムも加わる。
「私もそう思います。ギンさんがあなたとお話ししているのが楽しそうに見えたので」
すこし怪訝な表情でギンはエイムに尋ねる。
「俺がこいつと話しているのが楽しそう?」
「はい、ギンさん初めて会った時からずっと思い詰めていたようですし、怒ったときは少し怖かったです」
怒ったというワードに対してブライアンが反応をする。
「なんだ、この子が怖がる位怒ったのかあんた。ちょっと大人げないんじゃないか」
「まて、それはこの子が魔力を使って……」
3人がやりとりしているときに謎の男たちが店に入ってくる。
「こんなところにいたのかブライアン」
男の声にブライアンが反応する。
「お前は……カール!」
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続く
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