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少女
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受付の女性が示す方向をギンが向くと、そこには一人の少女がいた。ステッキを所持し、ローブを着ている魔術師の少女である。彼女もまたギン達の方向を向き、声を発する。
「依頼を受けて下さる方ですか?初めまして私は魔術師のエイムと申します」
少女は自らをエイムと名乗り、頭を下げた。
「まずは話を聞きたい、面会室を借りれるか?」
ギンは受付に面会室を借りれるかどうかを尋ねた。依頼人が直接話をしたいと申し出たため、周りの者に依頼人であるエイムにとって、不都合なことが周りに漏れないためへの配慮である。
「ええ、もちろんいいわ、どうぞこちらへ」
そう言って受付はギンとエイムを面会室へ案内する。面会室は小さく、小さなテーブルと椅子が2つある。ギンとエイムは面会室へと入っていく。
「じゃあ、私は受付の仕事に戻るから話が終わったら声をかけてね」
そういって受付は自らの仕事に戻っていく。受付の気配が遠のくことを察してギンから口を開く。
「さて、仕事の話だが……まずどういった目的で護衛をして欲しいのか聞かせてくれないか」
「はい、私はコッポ王国内の北方に位置する小さな魔術師の村からこのタグまで来ました」
「1人でか!?ここまで1人で来れるなら護衛は必要ないんじゃないか?」
「いえ、確かにここまでは特に大した問題もなく来られたのですが、これからコッポの隣国であるのプレツに行かなければならないんです」
「まさかそのプレツまでの護衛を依頼したいと、国境までは比較的安全だが、国境を超えるとまず魔物の多く出る森がある。プレツの兵も他の方角の国境の警備もしているから森の魔物討伐には充分ではない。だからか?」
「はい」
「では、何故そんな危険を冒してまで隣国へ行こうとする?」
「父が重い病に罹ってしまったんです。私達の村には治癒魔法を使える方はいませんので、強力な治癒魔法を使える僧侶様にお願いするほかないんです。今は近くに生えている薬草で症状を軽くはしていますが、それにも限度があります。だからプレツの教会にいる僧侶様にお願いしなくてはならないんです。」
エイムが危険を承知でプレツまで行き、僧侶の治癒魔法にかけるしかないという事情を聞いてギンは強く言葉を発する。
「事情は分かった。君の依頼引き受けよう」
「ありがとうございます!報酬はどれぐらいお支払いすればよろしいでしょうか?」
「いや、金は要らない」
「え?」
ギンの意外な返答にエイムは少し戸惑うがギンは自らの考えを述べた。
「金は要らない。代わりに頼みたいことがある」
「わ、私にですか?」
「実は…」
ギンはここ数日の間に自らに起きた出来事をエイムに話した。
「そのようなことがあったんですね。でもそれで私になにをお願いするんですか?」
「君は魔力を感知することができるか?」
「あ、はい」
「その時に俺を襲った奴の背後にいる奴の足取りを掴みたい。頼めるか?」
「あの、何かその人の持ち物を持ってますか?魔力を感知するには媒介が必要でその人に何かしらの魔法がかけられていたのなら、本人か持ち物から魔力を辿っていくことができますが…」
エイムの発言に少し肩を落としてギンが言葉を発する。
「…いや、全て燃え尽きて何もない」
「あ、そ、そうなんですか…」
エイムは、いや、例えエイムでなくても多くの魔術師は魔法がかけられた後からでなければ魔力を辿ることができないのだ。それでもエイムは危険な依頼をしているにも関わらずギンの頼みが聞けないことに申し訳なさを感じてならないのだ。しかし次の瞬間にギンが言葉を発する。
「いや、もしかしたらいずれまたそいつの手下と出くわすかも知れない。それから改めて君にお願いしたい」
「え、でも、それではいつになるか分かりませんよ」
「仕方ない。それにまずは俺が君の依頼を果たさなければそのことは頼めないだろう」
「本当にそれでよろしいんですか?」
「そもそも俺は傭兵だ。依頼を果たして報酬を得るものだからな。今回はただ金でないというだけの話だ」
「分かりました。父が快方に向かえばあなたのお願いをお聞きします」
ギンとエイムの間でとりあえず話がまとまった。そして2人は受付のもとへと向かう。
「話は終わった。彼女の依頼を受けることにした。すぐに出発したいから馬車の手配を頼めるか?」
「分かったわ、すぐに手配するわ」
こうしてギンとエイムはプレツへと向かうこととなった。2人にどのようなことが待ち受けているのか?
続く
「依頼を受けて下さる方ですか?初めまして私は魔術師のエイムと申します」
少女は自らをエイムと名乗り、頭を下げた。
「まずは話を聞きたい、面会室を借りれるか?」
ギンは受付に面会室を借りれるかどうかを尋ねた。依頼人が直接話をしたいと申し出たため、周りの者に依頼人であるエイムにとって、不都合なことが周りに漏れないためへの配慮である。
「ええ、もちろんいいわ、どうぞこちらへ」
そう言って受付はギンとエイムを面会室へ案内する。面会室は小さく、小さなテーブルと椅子が2つある。ギンとエイムは面会室へと入っていく。
「じゃあ、私は受付の仕事に戻るから話が終わったら声をかけてね」
そういって受付は自らの仕事に戻っていく。受付の気配が遠のくことを察してギンから口を開く。
「さて、仕事の話だが……まずどういった目的で護衛をして欲しいのか聞かせてくれないか」
「はい、私はコッポ王国内の北方に位置する小さな魔術師の村からこのタグまで来ました」
「1人でか!?ここまで1人で来れるなら護衛は必要ないんじゃないか?」
「いえ、確かにここまでは特に大した問題もなく来られたのですが、これからコッポの隣国であるのプレツに行かなければならないんです」
「まさかそのプレツまでの護衛を依頼したいと、国境までは比較的安全だが、国境を超えるとまず魔物の多く出る森がある。プレツの兵も他の方角の国境の警備もしているから森の魔物討伐には充分ではない。だからか?」
「はい」
「では、何故そんな危険を冒してまで隣国へ行こうとする?」
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エイムが危険を承知でプレツまで行き、僧侶の治癒魔法にかけるしかないという事情を聞いてギンは強く言葉を発する。
「事情は分かった。君の依頼引き受けよう」
「ありがとうございます!報酬はどれぐらいお支払いすればよろしいでしょうか?」
「いや、金は要らない」
「え?」
ギンの意外な返答にエイムは少し戸惑うがギンは自らの考えを述べた。
「金は要らない。代わりに頼みたいことがある」
「わ、私にですか?」
「実は…」
ギンはここ数日の間に自らに起きた出来事をエイムに話した。
「そのようなことがあったんですね。でもそれで私になにをお願いするんですか?」
「君は魔力を感知することができるか?」
「あ、はい」
「その時に俺を襲った奴の背後にいる奴の足取りを掴みたい。頼めるか?」
「あの、何かその人の持ち物を持ってますか?魔力を感知するには媒介が必要でその人に何かしらの魔法がかけられていたのなら、本人か持ち物から魔力を辿っていくことができますが…」
エイムの発言に少し肩を落としてギンが言葉を発する。
「…いや、全て燃え尽きて何もない」
「あ、そ、そうなんですか…」
エイムは、いや、例えエイムでなくても多くの魔術師は魔法がかけられた後からでなければ魔力を辿ることができないのだ。それでもエイムは危険な依頼をしているにも関わらずギンの頼みが聞けないことに申し訳なさを感じてならないのだ。しかし次の瞬間にギンが言葉を発する。
「いや、もしかしたらいずれまたそいつの手下と出くわすかも知れない。それから改めて君にお願いしたい」
「え、でも、それではいつになるか分かりませんよ」
「仕方ない。それにまずは俺が君の依頼を果たさなければそのことは頼めないだろう」
「本当にそれでよろしいんですか?」
「そもそも俺は傭兵だ。依頼を果たして報酬を得るものだからな。今回はただ金でないというだけの話だ」
「分かりました。父が快方に向かえばあなたのお願いをお聞きします」
ギンとエイムの間でとりあえず話がまとまった。そして2人は受付のもとへと向かう。
「話は終わった。彼女の依頼を受けることにした。すぐに出発したいから馬車の手配を頼めるか?」
「分かったわ、すぐに手配するわ」
こうしてギンとエイムはプレツへと向かうこととなった。2人にどのようなことが待ち受けているのか?
続く
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