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将来の夢

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 駿は校外学習の班で調理係が決定し、残りの係を決めるべく班長であり学級委員の裕子が残りの係の役割も説明する。

「あとは保健係、レクリエーション係、記録係ね、まず保健係だけど一応保健の先生もこの校外学習には同行してくれるけど、自分達で処理できることは自分達でしましょうって事だから」
「確か期間内で班のメンバーの検温を記録したり、保健セットの管理をするのが役割なんだよね」
「その保健セットって?」
「学校が用意してくれるのは風邪薬や消毒用のイソジンとかだけど、あとは個々人で必要な物ね」

 保健係は班のメンバーの体調管理ならびに風邪薬等の保健セットの管理だ。

「ねえ、それあたしがやってもいいかな?」
「あら雪野さん珍しいわね結構責任重大な役割なのに自分から立候補するなんて」
「はっきり決めてるわけじゃないけどさ、将来の練習って言うかなんていうか……」
「なんか歯切れが悪いわね、はっきり言いなさいよ」

 少し照れながらも裕子に促されたことでまりは発言をする。

「仲の良い友達にしか言ってないんだけど、あたしさ、看護師か保健の先生か保育士になりたくてさ……」
「あら、なんていうか意外だわ」
「おお、俺もそう思うぜ」
「もう、あんたらならそう言うと思ったから言いたくなかったんだよ」

 まりが高史や裕子の発言を聞いて、だから言いたくなかったと嘆いていると伽耶がまりに尋ねる。

「なりたいものが多いのを聞いてびっくりもしたけど、どうしてこの3つなの?」
「かやっち、意外にグイグイ来るね、普段はあんた友達と話すときもおとなしいじゃん」
「ご、ごめん、少し気になっただけだから、言いたくなかったらいいよ」
「まあいっか、今あんたらしかいないし、まずさ、ママが看護師をやっていいるんだよね」
「お母さんが看護師さんなんだ、それで憧れたのね」
「まあね、それから小学校の時に保健の先生からケガを消毒してもらって、ママみたいにかっこいいなって思ったの」

 まりは母が看護師をしていた事、そして小学生の頃の養護教諭との出会いがあって、それになりたいという考えを持つようになり、今度は保育士のなりたい理由について裕子が尋ねる。

「待って、保育士さんは?まさか保育士さんにもケガを治してもらったの?」
「さっき言ったようにママが看護師だからあたし、幼稚園じゃなくて保育園に通っていたんだよね、そこの保育の先生がすごく優しくってさ」
「雪野さんってあこがれている人が多いんだね」
「困んのわ、行く学校とか違うし、今でも決められないことなんだよね」
「……、よしじゃあ雪野さんには将来の為に保健係をしてもらうわ、頑張ってね」
「ありがとう。ゆうゆう」
「それから看護師から保健の先生っていう道もあるし、今って看護師資格を持っている保健の先生も求められているみたいだからまた教えるから参考にしてね」
「あ、ありがとう」

 まりが保健係に決まり、同時に裕子から進路の応援もされるのであった。
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