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 ビーズの街に到着したニラダ達『成長しあう者達』はこの町に住んでいるかつてのドットの師であるゴーンの息子であるゲンの工房を探すべく、まずは街の人に聞き込みをしてみる事にした。

「すいません、ちょっといいですか?」
「はい?どうしましたか?」
「実は我々はこの街で鍛冶師をしているゲンさんを訪ねてきたんですが、どちらにいらっしゃるかご存知ですか?」
「ゲンさん?ああ、包丁やのこぎりを作ってくれて助かっているよ」

 ゲンは父と同じく冒険者の為に武器等を作っているはずだが聞こえてきたのは包丁やのこぎりといった生活用の刃物であり、ニラダは再度尋ね直した。

「あの、ゲンさんは冒険者から依頼を受けて武器を作っているとも聞いたんですが、そちらの話はいかがでしょうか?」
「冒険者?あの人は冒険者からは武器作りの依頼なんて受けていないよ」
「え?でも俺達その人の作る武器の評判がいいと聞いたんですけど」
「おかしいね、そんな話は聞いた事ないんだけどね」

 街の住人の話す内容がドットから聞いた話とあまりに違う為、ニラダ達は一旦集まって相談しあった。

「おかしいな、おじさんは冒険者がよく依頼をしていてアビジンも使った武器を作っていたって聞いたんだけどな」
「えええ、どういう事なの?」
「ドットさんもゲンさんと離れて大分経つし、何かゲンさんに変化があってもおかしくはないわね」
「ああ、俺もそう思う、それも武器から生活用の刃物の制作に変えるなんてかなりの変化だぜ」

 ティアやジャンはドットがゲンと離れたからの時間を考えるとゲンの生活や心境の変化が大きい可能性と、それを裏付けるように武器開発から生活用の刃物の制作への変更が物語っていると考えるが、ミヨモはニラダが街の住人の放った発言にショックを受けていないか心配になり声をかける。

「ねえ、ニラダ君、さっきの人はゲンさんは冒険者の依頼は受けていないって言ってたけど……」
「……だけど、ここまで来て何もせずに帰ったら、何のためにここまで来たのか分からない」
「あなたの気持ちは分かるけど、武器制作を辞めた事、そして冒険者の依頼を断るようになるなんて余程よ」
「無理に話をしに行けばお前が嫌な思いをするだけだぜ」
「そうだとしても、俺はドットおじさんに世話になったんだ、手ぶらで帰ったらそれこそ笑われてしまう」
「ニラダ君……」
「もしかしたら悪い方に働くかもしれないが、冒険者としてではなくドットおじさんに世話になった子供として話しに行く」

 ニラダはゲンに対しドットの世話になった事のある子供として話すというある種の賭けに出ることとする。
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