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異世界で仲間が増えました
妃候補
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ダリアス陛下より、かつてミミは自分の妹さんの侍女をしていたと聞かされて困惑している俺に王様は少し暗い表情になりながら順を追ってミミが侍女になり、何故辞めるかを話そうとしていた。正直聞くのは怖い部分もあるが、やっぱり少しでもミミの事を知りたいと覚悟を決め王様の話に耳を傾ける。
「まずミミについてだが、そなたも含め、ミミの素性を知っている者はキッコにはおらぬし、ゴルも知らんと申していたそうだな」
「はい、それは単に彼女が見習いに過ぎないからだと思っていましたが」
「無論それもあるが、彼女自身は元々さして身分も高くない、下級騎士の家の生まれなのだ」
「そうなんですね」
この世界は当然ながら王政が敷かれている事から身分制度という者が存在する。王族や貴族が国や土地を治め、民が形は土地や職について様々だが税を納めているのだ。
騎士というのは王や貴族に仕えて軍役を果たす者達なのだ。
もっとも他国と戦争している様子はないし、野盗や怪物の討伐に駆り出されるのが今の主な仕事らしい。
「そしてミミが10歳になった時に侍女奉公として我が妹に仕えたのだ」
「あの、自分がいた世界ではそういった制度が昔はあったようなんですが、今はないので具体的にどういった事が教えてもらってもいいですか?」
「ミミには兄がおり、家を継ぐことができん為、お役目を与えるという意味でまずは妹の侍女だったのだ、彼女に魔法の才があった事はみな把握しておったし、奉公を終えたら治癒士の役目を与え、ゆくゆくは……」
少し王様が言いよどんだので、俺は思わず尋ねてみた。
「あの王様、どうかしましたか?」
「すまぬ、自らこのような事を言っていいのか迷ったが、ゆくゆくは余の妃候補として父上は考えていたのだ……」
「き、妃候補⁉つまり王様とミミが結婚していたかもしれないって事ですか⁉」
「まあ、そういう事だな……」
もしかしたらこの事実が今日一番驚いたかもしれない。まさかミミが王様のお妃候補になっていたかもしれないなんて、なんとなくどこかの貴族の娘が妃候補にはなりそうなイメージはあったが、下級騎士の娘のミミをお妃候補と考えていたあたり、王様のお父さん、つまり前の王様はフラットに考えられるような人なのか、それともそういったものを覆すくらい、ミミの気立てが良かったのかな。
だけど現実として2人は結婚していないどころか、ミミは侍女を辞めて聖女見習いになっている。多分よほどの事があったんだろうな。
「まずミミについてだが、そなたも含め、ミミの素性を知っている者はキッコにはおらぬし、ゴルも知らんと申していたそうだな」
「はい、それは単に彼女が見習いに過ぎないからだと思っていましたが」
「無論それもあるが、彼女自身は元々さして身分も高くない、下級騎士の家の生まれなのだ」
「そうなんですね」
この世界は当然ながら王政が敷かれている事から身分制度という者が存在する。王族や貴族が国や土地を治め、民が形は土地や職について様々だが税を納めているのだ。
騎士というのは王や貴族に仕えて軍役を果たす者達なのだ。
もっとも他国と戦争している様子はないし、野盗や怪物の討伐に駆り出されるのが今の主な仕事らしい。
「そしてミミが10歳になった時に侍女奉公として我が妹に仕えたのだ」
「あの、自分がいた世界ではそういった制度が昔はあったようなんですが、今はないので具体的にどういった事が教えてもらってもいいですか?」
「ミミには兄がおり、家を継ぐことができん為、お役目を与えるという意味でまずは妹の侍女だったのだ、彼女に魔法の才があった事はみな把握しておったし、奉公を終えたら治癒士の役目を与え、ゆくゆくは……」
少し王様が言いよどんだので、俺は思わず尋ねてみた。
「あの王様、どうかしましたか?」
「すまぬ、自らこのような事を言っていいのか迷ったが、ゆくゆくは余の妃候補として父上は考えていたのだ……」
「き、妃候補⁉つまり王様とミミが結婚していたかもしれないって事ですか⁉」
「まあ、そういう事だな……」
もしかしたらこの事実が今日一番驚いたかもしれない。まさかミミが王様のお妃候補になっていたかもしれないなんて、なんとなくどこかの貴族の娘が妃候補にはなりそうなイメージはあったが、下級騎士の娘のミミをお妃候補と考えていたあたり、王様のお父さん、つまり前の王様はフラットに考えられるような人なのか、それともそういったものを覆すくらい、ミミの気立てが良かったのかな。
だけど現実として2人は結婚していないどころか、ミミは侍女を辞めて聖女見習いになっている。多分よほどの事があったんだろうな。
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