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異世界で仲間が増えました

リハビリ士養成法

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 このビルディスでは現在、王族や貴族の治療を治癒士達。そして民衆の治療をマカマカ教団に依存している為、ダリアス陛下は新しい役職としてリハビリ士なるものを考えていると話す。そして、その選別を俺にして欲しいというのだ。

「あの、自分が選別とおっしゃられましても、どういった基準でリハビリ士を選べばいいのか、そもそも陛下がお考えのリハビリ士とはどういったものなのですか?」
「おお、そうだな、まずはそこから話さねばならぬな」

 少し咳払いをしてから王様は自分が思うリハビリ士というのが何なのかを俺に話し始めた。

「これまでは治療を終えても対処ができなかった後遺症の残った者のリハビリを治癒士より引き継いでやってもらおうと思っておる、そういう役職だ」
「条件というか、求める人材像みたいなものはありますか?」
「もちろんリハビリの知識を十分に身につけた者に就いてはもらいたいが、あの教本を独学で身につけられる者はそうはおるまい、そこでだ!」

 大きな声をあげ、少し間を置いてから王様はリハビリ士の養成する方法を俺に話すが、それは俺にとっても驚きの内容であった。

「ザリアンをはじめとした優秀な治癒士があの教本の内容を理解したうえで教鞭を振えるような機関を作ろうと思う」
「それってつまりリハビリ士養成学校を作ろうって事ですか?」
「そういう事だ、騎士や治癒士を要請する機関がある以上、リハビリ士にも必要であろう」
「確かにそうですね」

 これは思い切ったな、まさかリハビリの勉強をする為の学校を作ろうと考えているなんて、そう感心していると更に驚愕する話を王様はしてくる。

「そこでだユーイチ、お前にも非常勤で構わぬから講師陣の1人に加わって欲しい」
「え、俺……私がですか?」
「そうだ、ザリアンのように一線をある程度退いたものや場合によっては引退した者に講師をしてもらうつもりではあるが余の知る限りリハビリの知識が最もあるのはお前であるから加わってもらわぬ手はないであろう」
「あ、あの大変光栄ではありますが若輩者の自分にそのような大役が務まるか……」

 教本はある程度収入面も見越して書いた部分もあるが、俺自身が本格的に人にリハビリを教えるなんてとてもじゃないが無理がある。

「ユーイチ、あのザリアンや、ゴルがお前のここでの活動を高く評価しているからこそ、余はお前がふさわしいと思ったのだ」
「陛下……」
「それに、もしお前の帰る条件がリハビリに関する事であるならば、リハビリができる者を1人でも多く増やすのは元の世界に戻る近道になりえないか?」

 それはそうかもしれない、だが俺がリハビリの講師だなんて……
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