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異世界で仲間が増えました

もう1人の転移者

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 領主様の屋敷でビルディス国王、ダリアス陛下と話す俺であったが、早速俺が異世界人ではないかと言及する。理由としては俺が書いた教本の癖字とどういうわけか日本語で書かれた本を持っており、その字の書き方に似ているからというのだ。

 確かに日本語というのはあくまで俺がいた世界的に見ての話だが特殊な言語であり、ひらがな、カタカナ、そして漢字を組み合わせて書く。3種類の文字を混合して書く言語なのだ。英語のように1種類のアルファベットを使う文字より複雑な為、王様が不思議に感じるのは無理もないかもしれない。

 この国の文字は1種類である事は分かっていたが、さっきの王様の発言から多分、他の国も1種類の文字で言語を構成している事が見受けられる。

 しかし今俺が気になるのはその事よりもこの本についてだ。

「王様、いえ陛下は何故このような本があるのかご存知ですか?」
「……、余が生まれた時にはこの本がすでに王家にあったのだ。そしてこの本は異世界人が書いたと聞かされておる」
「じゃあ自分以外にも過去に異世界から転移してきたって事ですか⁉」
「うむ、その者は王家に仕えてはいたようだが、どういうわけか本以外の記録は残っておらんのだ」

 本以外何も残っていない転移者か、王家に仕えて一体、その人は何をしたんだろうか?

「あの、もう1度この本を拝読させてもらってもよろしいでしょうか?」
「構わぬ、というよりそなたに読んでもらおうと思っていたのだ」
「ありがとうございます、早速読ませていただきます」

 そう言って俺は本のページをめくって書かれている内容をしっかりと読み込んだ。

 内容を読む限り日記のようだ。

 転移時の事は分からないが、王家に仕えてからの事が色々書いているな。

 この人はこの世界に転移して魔法の才能に目覚めていたのか、ん?これは!

『俺が使える治癒魔法も使える奴が大分増えて来たな。正直大変だったんだよな1人での治療って限界があるし。だけど、これじゃあ治癒魔法を使える奴と使えない奴がごっちゃになって把握しづらいな、王様に頼んでグループ分けをしてもらおっかな』

 治癒魔法、グループ分け、もしかしてこの人が治癒士という職業の発案者か?だけど待てよ、ザリアンさんは治癒の精との契約で治癒魔法を獲得すると言ってたな。

「あの陛下、この本、日記にはこの人が治癒士の発案者と思われる文がありましたが事実ですか?」
「余もその文は読んで、興味を持ち父上に聞いたが、その者はその後にすぐに転移し、元の世界に戻った為、別の者を治癒士のまとめ役として任じ、公にはその者が発案者という事にしてはある」

 そうだったのか、という事は俺にも帰る方法はあるという事だな。
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