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異世界で仲間が増えました

街の力

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 一人前の聖女を目指すミミの為になんとかたまには診療所を休んで欲しいと思っている俺は、薬草の調合法をスマホで調べ、薬草での治療を終えるまでの仮設ではあるが入院の為の療養部屋を増設する事を決意する。

「確かに前からユーイチ、リハビリの為の療養施設があればって言ってたよね」
「今回のはあくまでも治療の為の療養部屋だし、まだ大掛かりのは造れないからな」
「待って、ミミちゃんの為にあれこれしたいのは分かるけど、お金の方は大丈夫なの?」
「まず資材についてはソフィアさんのお父さんが割引で提供してくれる事になった」

 ソフィアさんのご両親も息子のトム君の野菜嫌いを気にしていたようで、その事に手間をかけてくれた俺へのお礼という意味で相場より安く譲ってもらえることが決まったのだ。

「ユーイチ、材料はそれでいいかもしんねえが、俺達だけでやるとなるととてつもなく時間がかかるうえ診療所だって休むことになるぞ」
「それについてはギリギリまでまずアレフさんそれからゴルさんと話を詰めた」
「それで何て言ってたんだ?」
「2人の見解はこうだ、ミミほどの才のある聖女の芽はつぶせないというのと現在の診療所の存在はこの街の人の助けになっていると」

 アレフさんは現状の診療所がかなり街の人のケガだけでなく後遺症を取り除きリハビリがもたらした影響はとても大きいと考えてくれており、ゴルさんはやはりザリアンさんの弟子だけありミミの才能にも一目置いてくれていて、才能を伸ばす環境を整えるべきと考えてくれた。

「俺達が安心して診療所を続けられるようにアレフさんとゴルさんが人夫を雇ってくれる事になった。アレフさんが領主様に公共工事として説明してくれて、更にゴルさんを通して同じ内容をザリアンさんから領主様に伝えてもらったんだ」
「なんかすげえな、よし俺も建設の為の道具を作って配布するぜ!」
「いいのか⁉」
「いいも何もミミの為だろ!それに診療所のやれる事も増えるしな」

 ギベルトが作ってくれる道具ならきっと役に立つだろうな。

「じゃあ私はたまにはお弁当を持っていくわ、力仕事なら体力つけないとだからね」
「お店はいいのか?」
「だからたまによ、それにこれをきっかけにうちのお店に来てくれるかもしれないしね」
「商売熱心だなメルは、だけどみんな協力ありがとう!」

 いろんな人が俺達に協力してくれている。ミミ、もう少し、もう少しでミミが休める環境を整えるから、しっかり修行するんだぞ。
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