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異世界で仲間が増えました

パンの差し入れ

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 そろそろ戻らないと午後の診療時間に間に合わなくなる為、俺はそろそろメルさんにお店をあとにする事を告げる。

「すいません、そろそろ午後の診療時間があるので、今日はこれで失礼します」
「あ、そうか……、ねえ明日ももし来れるならメニューの調整の続きをしようか?」
「はい、明日もじゃあこの時間に来ます」
「うん、また明日ね」

 メルさんがそう言うと、俺は診療所に戻るが結構ギリギリだったので、まずは午後の診療を終わらせてからミミ達には説明する事とした。

 そして診療が終了してミミ達に説明をしようと思ったら、思わぬ客人が訪問してきた。

「こんばんは」
「ユーリ君⁉もう診療時間は終了したけど、まさかまたお婆さんに何かあったのか?」
「いえ、祖母はいたって元気ですよ。少しこの間の催し物のメニューについて話したくて」

 催し物のメニュー?確かユーリ君もいくつかレシピを持ち帰っていたな。

「あのレシピで作ったメニューなら祖母も美味しく食べてくれたんですよ。またミヤシタさんのおかげで助かりました、ありがとうございます」
「そうだったのか、それは良かった」
「ええ、あ、それからミヤシタさんの所に行くって親方に言ったら、これを持っていけって持たされました」
「あ、これってお店のパンか!売り物のはずなのにいいのか?」

 ユーリ君がお店のパンを持ってきてくれたのはありがたいが、本来なら売り物のはずなのにタダでもらっていいのか疑問を投げかけるとユーリ君からその時の親方さんの動きを聞かされる。

「それが閉店してからミヤシタさんの所に行くって言ったら、あわててパンを袋に詰め込んだんですよ。ミヤシタさん、最近親方と何かありましたか?」
「い、いや特に何もないが……」

 親方さんなりの俺への感謝の気持ちの伝え方かもしれないが、店を譲ってもいいと思われている事をまだユーリ君は知らないし、いきなりパンを持たされても意味が分からないだろうけど、親方さんからも言うなって言われているし、ごまかすしかないんだよな。

「ま、まあとりあえず今度親方さんに会ったらお礼を言っとくよ。ありがとうな」
「はい、口には出さないけどきっと親方喜びますよ。それじゃあこれで失礼します」

 そう言ってユーリ君が去っていくのを確認すると俺達は親方が差し入れてくれたパンを食べながら、俺は今日のメルさんとのやり取りをミミ達にも話した。

「このパン美味しいね。あ、今日ってどうだったの、あのお姉さんとのお話?」
「サンプルメニューは作ってくれることになった」
「そうですか、良かったですね」
「ただ、最終調整を明日もするから、また明日もメルさんの所にいくよ」

 少しづつだが俺達の目標にだんだんと近づいている。そんな気がするな。
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