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異世界で仲間が増えました

料理開始

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 キッチンとダイニングルームの掃除が終わり、あとはソフィアさんとお手伝いさんの到着を待つだけとなり、掃除を終えてから時間が経過すると診療所の扉をノックする音が聞こえ、ミミが反応する。

「多分、ソフィア様達です。私が行きます」
「頼む」

 俺の言葉を受け、ミミが扉を開けてソフィアさんとお手伝いさんに診療所内に入ってもらい、俺達がいるダイニングルームにやってきて、まずは俺が挨拶をする。

「こんにちは、今日はよろしくお願いします」
「はい、お願いします。こちらの方が家で雇っているお手伝いさんのポーラさんです」
「初めましてユーイチ・ミヤシタ様、私はソフィアお嬢様やトムお坊ちゃんのお世話をしているポーラと申します」

 中年女性でいかにも家政婦さんという感じの人だな、とてもおおらかでいい人そうだ。

「初めまして、ミヤシタ・リハビリ・クリニックのユーイチ・ミヤシタです。今日はよろしくお願いします」
「はい、よろしくお願いします」
「それじゃあ早速ですが、まずはお2人の料理を試食させてもらいますが、どちらからお作りになりますか?」

 俺が2人に尋ねると、ソフィアさんがポーラさんに声をかける。

「じゃあ、ポーラさん先にお願いできるかしら?トムの料理を作るのが多いのはポーラさんだし」
「分かりました、お嬢様。ミヤシタ様、私がまず作りますね」
「じゃあ、こちらのキッチンをお使いください」

 あらかじめ俺とソフィアさんとのやり取りで材料は基本的にソフィアさん達の持ち込みだが調味料や足りない食材は使っていい事も伝えてある。

 とりあえずポーラさんの料理が完成するまで時間がかかりそうだし、この間にソフィアさんと話しておくか。

「そういえば、今日ってそのトム君はどうしたんですか?お家で1人なんじゃ」
「いえ、トムは、弟は学校に通っております」

 そういえば王都には騎士学校があるというのをアレフさんの同期生のウォーカーさんから聞いた事があるが、豪商とはいえ平民も学校に通う文化がこの世界にもあったのか。

「それで、どのような学校なんですか?」
「読み書きや計算、それから法や礼儀作法を学ぶ事が主な目的の学校です。先生は騎士や、聖職者、治癒士の方々がしております」

 義務教育は少なくともこの国にはなさそうだし。教師陣の職業を聞くと江戸時代の末期の寺子屋のような雰囲気があるな。

「両親はトムに商売を継いでほしいので、まず基礎的な学問を修めてもらってから、商売のいろはを叩き込むようです」

 勉強も大事だが、やっぱり後継ぎが好き嫌いが多いと沽券に関わるよな。
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