理学療法士だった俺、異世界で見習い聖女と診療所を開きました

異世界生活は大変です

スキル再現の方法

　スマホからの回答でもスキル：最適化リハビリの習得方法が示されなかった事、そしてその際に俺が魔法で文字の書き換えをしていない事が証明され、ザリアン氏は俺の教本からリハビリの知識を得る事は必要な事と話す。

　ただ、ザリアン氏はスキル：最適化リハビリの習得もあきらめておらず、俺にある提案をする。

「ユーイチ・ミヤシタよ、もし今後スキルの事でどのような細かい事でも構わぬから、新しい事が分かり次第、キッコの街のアレフ殿を通して情報を領主様の館に届けよ」
「それが提案ですか？」
「無論だ、そなたがもたらした情報を元に我らがスキルの再現ができぬかをしていくつもりだ。この提案を呑めば教本の買い取りはこの場で領主様に進言しよう」
「分かりました、それから今自分が分かっている情報も早速お伝えします」

　ザリアン氏は教本の買い取り条件として、俺がスキル：最適化リハビリの新情報が分かり次第、アレフさんを通して館に情報を届ける事を提案し、俺もその条件を呑み、更にメモ書きではあるがスキルについて分かっている事をザリアン氏に伝える。

　俺のメモをゴルさんが受け取り、ザリアン氏がそのメモを読み、言葉を漏らすと、今度は領主様に声をかける。

「なるほどな……。領主様、私は教本を買い取るべきだと存じますがいかがでしょうか？」
「ザリアンがそこまで申すならば教本には価値があるとみて良いだろう、ミヤシタ殿、貴殿の教本を買い取る事とする。代金は後日キッコの街の詰所に送るのでそこで受け取ってくれ」
「ありがとうございます」

　ザリアン氏が俺の教本を認め、領主様が買い取ることを宣言すると、他の治癒士がざわつき、領主様が治癒士に呼びかける。

「聞いての通り、教本を買い取る事にした。本自体は館の書庫に置いておくから私の許可を取れば読んでも構わぬ。個人的に所有したい者はミヤシタ殿に製本の依頼をし、個人で買い取ってくれ」

　実際に治癒士の人達が俺の教本にどれだけ興味を持つかは分からないが、今は診療所にある原稿を印刷所に依頼すれば本はできるからな。

「ああ、そうだ！今後は不定期ではあるが我が弟子であるゴルを診療所に派遣し、スキル再現のヒントを得たいと思う、構わぬか？」
「え？ゴルさんが時々来るんですか？それは大丈夫ですが」
「そうか、ではゴルよ頼むぞ」
「はっ！お任せください」

　実際に俺の働きを見てスキル再現のヒントを得ようとしているなんて、相当貪欲だな、ザリアン氏は。

　だが俺以外もこのスキルを得て、リハビリの知識が身につけばきっとこの地方はもっと良くなるかもしれない。