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異世界生活は大変です

補完関係

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 ミミが往診していた老年男性の家に俺も訪問し、そこで照射診断をして肺の後遺症を取り除くことはできたはずだが、一応男性に尋ねてみる。

「どうですか?呼吸の方は」
「うん、特に問題ないようじゃ」
「それはよかった、また何かありましたら訪問させていただくのでよろしくお願いします」
「おお」

 男性の言葉を受け、俺達はその家をあとにし、診療所に戻っていく。その戻る途中で俺はミミに声をかけていた。

「そういえばミミの生活費ってやっぱり教団から出ているのか?」
「そうですけど、いきなりどうしたんですか?」
「それならいいんだけど、最近ミミは治療以外の仕事も積極的に覚えようとしているし、診療所の一員として給金を払った方がいいかなとも思ったからさ」
「ユーイチ様のお気持ちはありがたいんですが、教団に所属している以上お布施以外の金品は受け取れないんです」

 やはりミミは教団に所属している以上、それらのモラルがしっかりしているようだな。ミミには報いたいと思っていたんだけどな。

「でもユーイチ様がそこまで気にかけていただいて嬉しいです、ありがとうございます」
「いや、本来なら治療以外はそこまでしなくていいのに、とても一生懸命やってくれているから、ちょっと気になってさ」
「でもユーイチ様は私が治しきれない後遺症をいつも取り除いてくれていますし、それにどう考えてもユーイチ様の方が仕事量が多いですよ」
「え?」

 ミミは俺の仕事量が多いことを指摘すると、さらにその具体的な内容にも言及する。

「いつも診療にはしっかり立ち会いますし、午前と午後の診療の合間に往診や書類の作成や提出をしたり、診療時間が終わった後も診断書でしたっけ、そういのも作っているじゃないですか」

 日本なら理学療法士だった俺が診断書を作成することなど有り得ないが、この世界では診療所を開いた以上俺がやるしかないからな。

 それに診断書といっても軽いケガは簡単に書いてあるし、重い病気は照射診断で得た情報をもとに作成しているから、日本にいた医師が書くような診断書とは程遠いはずだ。

「私ではその、ユーイチ様のようなスキルやリハビリの知識はありませんから、少しでも負担を減らしたいだけなんです」
「そうだったのか」
「はい、それにこれからユーイチ様は教本もお書きになるんですから、無理は少ない方がいいですよ」
「悪いな、本の話は勝手に進めたことなのに」
「でもそれはユーイチ様が正しい知識を治癒士の方にも知ってほしいからなんですよね、二コラ様のケースだけが広がっては大変ですからね」

 俺がミミの仕事を気にかけていると言ってくれたが、ミミも相当俺の仕事を気にかけてくれている。

 やっぱり俺達は補完しあってこそかな。
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