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異世界生活は大変です

往診先で

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 俺達が診療所に付けた『ミヤシタ・リハビリ・クリニック』という名前はアレフさんに正式認定され、この名前で活動していく事が許可されたのだ。

 アレフさんにお礼の言葉を述べて俺達はミミが往診で治療した人の内臓の病気に後遺症が残っていないかの診察の為の往診に向かっていた。

「ところでミミ、ミミが教えてくれた情報をまとめてみたけど、この患者さんは呼吸が苦しそうだったんだな?」
「はい、ミーザさんのお母様と似たような症状でしたね」

 俺は医者じゃないからカルテは作れないし、専門的なカルテの作り方もよくは知らない。

 ただミミの話をもとにいろいろ照らし合わせると呼吸器系の疾患と考えるのが自然だな。

 俺自身は診断はできないが、スマホの機能の照射診断レントゲンを使用すれば後遺症の箇所も分かるし、そこにスキルを発動させれば後遺症が取り除かれるのはミーザのお母さんで証明しているからな。

 そしてミミの案内で今日の往診先の家に到着した。まず来たことがあるミミが家主に呼びかける。

「お邪魔します、以前往診に来た聖女見習いのミミと申します」

 ミミの呼びかけた声に反応して中から老年男性が出てきた。

「おお、よく来てくださったのう、ゴホゴホ!」
「あ、大丈夫ですか?」
「なあに、あんたがこの間治してくれたからな」

 今の咳は少し軽そうだが、後遺症を放置すると重症化しかねないから今の間に取り除かないとな。

「お初お目にかかります。私はミヤシタ・リハビリ・クリニックを営んでいるユーイチ・ミヤシタと申します」
「もしかして、あんたがこの子の雇い主?」
「正確には何と言いますか、業務提携いや、少し違うかな……」
「さっきから何をぶつぶつ言っとんじゃ」

 当初は俺がミミの聖女見習いの活動を手伝う名目だったが、いつの間にか診療所の名も知れ渡り、俺とミミは言うなれば分業しているようなものになっている。それにミミは事務的な事も覚えようとしてくれているし、診療所の一員の側面も強くなっているな。

 この人の言うように雇い主として給金をミミに支払ったほうがいいのか?だがミミはマカマカ教団という王都の大きな教団に所属しているわけだしな。

「ユーイチ様、後遺症を診てあげてください」
「あ、ああ」

 とりあえず俺はこの老人に向けてスマホを向けて照射診断を開始する。やはり予想通りまだ肺に後遺症があるな。

「あなたの肺はまだ少し弱っているので、後遺症を取り除きます」
「少し息苦しいのはそういう事じゃったか」
「いきますよ、最適化リハビリ!」

 とりあえずこれで後遺症の心配はなくなったな。
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