理学療法士だった俺、異世界で見習い聖女と診療所を開きました

burazu

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異世界生活は大変です

午後からも

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 ミーザが空き巣を捕まえると宣言し、その方法が気になった俺はミーザに尋ねる。

「ミーザ、捕まえるっていっても具体的にはどうするつもりなんだ?」
「まあ、それはあたしに任せてよ。もしかしたら来ないかもしれないし、方法だけ今説明しても意味ないかもしれないからさ」
「そっか、じゃあ任せる、もし捕まえたらどうするか教えてくれよ」
「分かった、ほらそろそろその往診ってやつに行ってきなよ」

 ミーザに促されて俺とミミは診療所から出る準備を行い、出る前にミーザに挨拶をする。

「じゃあ行ってくるよ、ミーザ」
「行ってきますミーザさん」
「2人共気をつけてよ、あたしにここは任せな」

 ミーザの頼もしい言葉を受けて、俺達は診療所を出る。

「じゃあ俺は往診に行く前に詰所によって割引分の補償があるかどうか確認してみるよ、多分無理だとは思うけどな」
「それでも一応確認はしておいた方がいいと思います。じゃあ私も治療の往診に行きますね」
「ああ、気をつけてな」
「はい」

 そして俺は今日の往診の前に詰所へと向かう。多分無理だろうけど俺が行った割引の補償があるかどうかの確認を念の為にしようと思っている。

 そして詰所に着くともはや説明不要と言わんばかりにアレフさんのいる執務室へと案内される。

 そして俺はアレフさんに今回の割引分が補償されるか尋ねてみる。

「無理だな」
「やっぱ、そうですか」
「当然だ、君が独断で割引した診療費を我々が補償できるわけはないだろう」
「すいません、ちょっと聞いてみただけですから」

 俺の行いに少々呆れながらも、アレフさんは俺に対して言葉を放つ。

「ミヤシタ殿、君のスキル、そして我々も知り得ぬ知識や技術を生かし、この街の者の助けになっているのは私も、そして領主様も高く評価している」
「あ、ありがとうございます」
「だが君は少々人が良すぎるな」
「そ、そうですか……」

 ミミにも似たような事を言われたし、高校までの俺はサッカーで推薦入学したから少々イキっていたところもあったけど、ケガしてから自分で言うのもあれだけどトゲが取れたからな。それでこの人にはそう見えるのかもな。

「それに君は腕はあっても商才に少し欠けるところがあると私は思うな」
「商才ですか?」
「領主様は近い内に君が二コラ様にしたようなリハビリとかいう訓練メニューを治癒士に公開するようだ。つまりこの先君と同じような事業をする者もでてくるかもしれないという事だ」

 アレフさんの言いたい事は分かる。知識や技術を1人占めすることは危険性もはらんでいるからな。だから俺の持つ知識や技術も領内に広げていく必要があるのも理解できる。ん?待てよ、もしかしたらこれが新たな収入源にならないか?
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