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異世界生活は大変です

ミーザの初出勤

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 ミーザの歓迎会と引っ越し祝いを兼ねた食事会を終えた翌日はいよいよミーザにとっての初出勤だ。

 掃除をしながら2人の出勤を待っていると、扉をノックする音がした。

「はい」
「おはようございます、ユーイチ様」
「おはよう、ミミ」

 まず最初にミミが診療所にやって来て、挨拶を交わす。

 そしてミミが感じた疑問を俺にぶつける。

「まだミーザさんはこられてないんですか?」
「そうだな、一応時間は伝えてあるし大丈夫だとは思うけどな」

 さすがに出勤初日から遅刻はないと思うからそこは心配していない。

 まだ会って数日だがミーザは真面目そうなのが伝わってきたしな。

 そう考えていると扉をノックする音がする。

「はい」
「あ、おはようユーイチ、ミミ」
「おはよう、ミーザ」
「おはようございます、ミーザさん」

 よし、診療所のメンバーが全員そろったところで診療準備を始めようとするが、ここでミーザから思わぬツッコミが入る。

「あ、2人共ちょっといいかな?」
「どうした、ミーザ?」
「ちょっと思ったんだけどさ、この診療所ってさその名前ってないのかな?」

 診療所の名前か、あまりに忙しくて考えなかったうえ、少なくともこの街には1つしかないし、あえて考える必要はないとは思ってはいたが、確かに固有名詞は付ける必要があるかもしれないな。もしかしたら今後この街でも似たような事をしたがる人が現れるかもしれないしな。

「確かにそうだな、今日の診療が終わってからみんなで考えるとするか」
「うん、そうしようよ」
「そうですね、診療所にも名前をつけてあげないとですね」

 まあ、魚屋をやりながら魚屋が店の名前ですって言っているようなもんだったし、そろそろ、っていうか本当は1番最初につけてあげなくちゃいけない事柄だったんだけどな。

 さ、そろそろ午前の診療を始めるか。

 そう考えながら扉のプレートをオープンにし、午前の診療が開始される。

 相変わらず朝多いのは親子連れで、子供のちょっとした傷を治すのがメインだ。

 擦りむいた程度の傷ならミミの治癒魔法はそこまで必要ないし、俺のスキルも使うことはない。

 とりあえず今の所はミーザには見学という名目でミミの治療の様子を見て覚えてもらおうと思っている。

「はい、これで大丈夫ですよ」
「ありがとうおねえちゃん」
「元気なのはいいですが、気を付けて下さいね」
「はーーーい!」

 とりあえず患者の流れが一旦途絶えたので、ミーザがミミに聞いている。

「あ、ごめん、この傷薬はどうやって使うのかな?」
「それはですね……」

 ミーザも簡単な治療を覚えようとしてくれている、いやあ助かるよ。本当に。
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