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異世界生活は大変です

姉妹のような親子

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 俺はミーザさんが俺達と契約を結ぶならお母さんも一緒にキッコへの移住を提案してみた。

 そして俺の話を聞いてミーザさんがお母さんに話しかけていた。

「ねえ、おっ母、この人はあたし達のためにこういう提案をしてくれているんだよ、この人が近くでまたおっ母のそのリハビリってやつをしてくれるならあたしも安心だよ」
「ミーザ、でもさ、今になって他の街に住むのもさ不安だよ」
「とりあえず、そのリハビリが終わるまではせめて住んでいようよ。そこからどうするかはおっ母が決めればいいからさ」
「……そうだね、リハビリってのが終わったら街で仕事を見つけてあたしも少しは治療代を払うよ」

 治療代が気になっているのか。もしお母さんが少しでも払ってくれるならミーザさんの取り分も少しは増えるという心遣いか。

「お気遣いありがとうございます。ですがもしお母さまがお仕事で頂いた給金は生活に回していただいて大丈夫です。治療代を早く完済してもミーザさんとの契約が6ヶ月である事に変わりはありませんから」
「あ、少し聞きたかったんだけど、もし契約期間内に契約破棄する場合って違約金が必要だよね?」
「あ、それは考えていなかったな。だけどその場合治療代も全額支払うことになるけどあてはあるのか?」
「一応聞いて見ただけだよ、もしおっ母が帰りたいって言いだしたら1人で帰すのは不安だしね」

 お母さんの事がどこまでも心配なんだな、そう思っているとお母さんが突然ミーザさんに対し、まくりたてるように話す。

「ちょっとミーザ、いつまであたしを病人扱いするんだい!この人のいうリハビリってのをちゃんとやればあたしは前のように働けるそうじゃない!それなら別にあんたに面倒をみてもらう必要はないからね」
「でもさあ、もう年なんだしあまり無理は……」
「ちょっと病気で寝込んじまったけどあたしゃまだ若いんだよ!身体が元気なうちはあんたの世話にはならないよ」

 さっきまで病気で寝込んでいて少し老け込んだ感じだったから気が付かなかったがこうやってみると若々しいなあ。親子というよりは姉妹だな。

 まさか10代のうちにミーザさんを生んだのか?まあ医療の発達具合から俺が住んでいた日本より平均寿命は短そうだし、10代での出産はさほど珍しくないかもしれないな。

「それにさ、あんたのような優しい子はこんな街で過ごすより、キッコのような街で過ごした方がいいと思うんだよね」

 傭兵であるミーザさんがキッコの方がいい?一体どういう事なんだ?
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