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異世界生活は大変です

荒らされた診療所

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 俺は診療所の休みの日にミミにお願いして手ごろな値段のお店を教えてもらいながら一緒に買い物をしていた。

 何にせよ毎回、診療所が終わってからやっている店に行ってたら余裕なんてすぐになくなるからな。一応アレフさんの詰所に最近の診療した俺が元いた世界で言う診療報酬の請求書は届けているが、実際に俺の元に金が入って来るのはいつの事になるのやら。

 だから少しでも安く済む買い物をしていかないとな。

「ミミ、まずはパンを買いたいな。今一番の主食だしな」
「はい、ええとパン屋さんでお安いのは、あ、あそこにしましょう」

 ミミは俺が診療所の準備で忙しい合間に街のあっちこっちに行ってるせいか、安い店にも詳しくなっているし。正直助かるな。

 そこからも俺とミミは様々な店を巡って当面食っていく分の食材の購入を終えた。肉や魚はこの世界でも少し高いし、今回の買い物では見送ることにした。

 やっぱりこの世界だとドラゴンの肉とかがあったりするのかな?

 うーーん、でも高そうだし、貴重な肉っぽいよな。まだまだ俺にその肉は早そうだな。

 そんな途方もない夢みたいな事を考えながら俺とミミは診療所兼俺の自宅へと戻っていく。

「悪いな、ミミにまで運んでもらって」
「いえ、ユーイチ様お1人では大変でしょうから」
「じゃあ、昼は一緒に食べるか、俺が作るよ」
「本当ですか?ありがとうございます!」

 今日は俺の為に安い店を教えてくれただけじゃなく、こうやって食材も一緒に運んでくれているし、お礼として振舞わないとな。

 そう考えて、診療所に着くと扉が開いていて思わず俺は声を出す。

「どういう事だ?扉が開いて……いや、鍵が壊されている⁉」
「そんな!一体どうして?」
「と、とにかく中に入ってみよう、ミミは街中に戻って兵士を呼んできてくれ」
「はい、ユーイチ様、危なかったら逃げてくださいね」

 ミミが街中に兵士を呼びに行ったのを確認すると俺は近くに落ちていた木の棒を持って慎重に診療所に入っていく。

 空き巣か強盗っぽいな?金目の物が目的か?そんないいものはないんだけどな。

 少しづつ診療室に近づくと2人組の男がいて俺の机を荒らしているので俺は2人に大声を放った。

「お前達!ここで何やってんだ!」
「げっ!もう帰って来やがったか」
「仕方ねえ、ずらかるぞ」

 2人は開いている窓から飛び出して逃げていき、俺も窓から飛び出すが、逃げ足の速い奴らでもう見えなくなっていた。

 悔しがっている俺に後ろから聞き覚えのある声がしてきた。

「ユーイチ様!お怪我はありませんか?」
「ミミ、俺は大丈夫だが、泥棒には逃げられた」
「そうですか……とりあえずお部屋を片付けましょう、何か盗られていないか確認もしないといけませんし」
「そうだな」

 まさか、こんな事になるなんてな。セキュリティ強化の事まで考えなくちゃいけないとはな。
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