理学療法士だった俺、異世界で見習い聖女と診療所を開きました

burazu

文字の大きさ
上 下
5 / 273
異世界に転移しました

2人で街を目指して

しおりを挟む
 異世界の住人である聖女見習いのミミでも日本茶を飲むと気持ちがほっこりするらしい。

 そういや時々テレビでも外国人が日本のお茶を学びたくて来日したという番組を見たことがあるから、日本茶は万国、いや万世界共通なのかもしれない。

 気持ちがほっこりしたミミが俺に対して話しかけてくる。

「あのユーイチ様でしたっけ?その、あなたを神の使いとは思えませんが、どうやら悪い人ではなさそうですね」
「やっと分かってくれたか」
「とりあえず、キッコの街までならご一緒してもいいですよ。恩返しの意味も含めて」
「ありがとう!助かったよ!」

 俺が精一杯の礼をミミにすると、ミミが笑顔で返答をする。

「お礼を言うのは私の方ですよ、それに聖女として困った方を見過ごすわけにはいきませんからね」

 良かった、わずかながらの食べ物を分け与えて。とりあえずそのキッコの街までさえ行ければ、そこでどうにかなるかもしれない。

「あ、そうだ。せめて水だけでも汲んでいきましょうか?」
「そうだな」

 ミミの提案に俺も同調して、俺とミミは近くの川まで水を汲みに行く。

 ミミは先程俺がお茶を注いだ筒に川の水を汲む。

「この川の水ってどこから流れているか分からないけど、そのまま飲んで大丈夫なのか?」
「ふふふ、大丈夫ですよ」

 そう言ってミミは筒に手をかざし、何かをしている。俺にはさっぱり分からんがミミは手をかざすのを止めて俺に何をしたかを説明する。

「今のは私の魔法で、水から病菌を取り除いたんですよ。だから安心して飲めますよ」
「病菌を取り除いた⁉」
「はい、私達聖女……私は見習いですが、怪我や病気の治療の魔法や、病菌そのものを取り除く魔法を習得するんです」

 治療だけじゃなくて衛生面も聖女という人達はするんだな。思わずすごく尊敬してしまったぜ。

「ユーイチ様、ユーイチ様の筒にも水を汲むといいですよ、私が病菌を取り除きますから」
「ああ、そうだな」

 ミミに促されて俺も自分のペットボトルに川の水を汲む。汲み終えるとミミが先程のように俺のペットボトルに手をかざす。

 さっぱり分からんが、ミミにペットボトルを返される。

「もう大丈夫ですよ」
「ああ、ありがとう。ちょっと試しに飲んでみていいか?」
「いいですよ」

 ミミを疑う訳じゃないが、自分でも確認をしないと不安がある。そう思いながらこの水を飲むが……何だこれ⁉

 美味い!美味いじゃないか!日本のミネラルウォーターみたいだ。すごい!

 衛生的にも安全で美味い水が飲めるなんてこの道中いいんじゃないのか?

 そう思いながら俺はミミと共にキッコの街を目指す。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】

一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。 追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。 無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。 そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード! 異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。 【諸注意】 以前投稿した同名の短編の連載版になります。 連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。 なんでも大丈夫な方向けです。 小説の形をしていないので、読む人を選びます。 以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。 disりに見えてしまう表現があります。 以上の点から気分を害されても責任は負えません。 閲覧は自己責任でお願いします。 小説家になろう、pixivでも投稿しています。

筋トレ民が魔法だらけの異世界に転移した結果

kuron
ファンタジー
いつもの様にジムでトレーニングに励む主人公。 自身の記録を更新した直後に目の前が真っ白になる、そして気づいた時には異世界転移していた。 魔法の世界で魔力無しチート無し?己の身体(筋肉)を駆使して異世界を生き残れ!

補助魔法しか使えない魔法使い、自らに補助魔法をかけて物理で戦い抜く

burazu
ファンタジー
冒険者に憧れる魔法使いのニラダは補助魔法しか使えず、どこのパーティーからも加入を断られていた、しかたなくソロ活動をしている中、モンスターとの戦いで自らに補助魔法をかける事でとんでもない力を発揮する。 最低限の身の守りの為に鍛えていた肉体が補助魔法によりとんでもなくなることを知ったニラダは剣、槍、弓を身につけ戦いの幅を広げる事を試みる。 更に攻撃魔法しか使えない天然魔法少女や、治癒魔法しか使えないヒーラー、更には対盗賊専門の盗賊と力を合わせてパーティーを組んでいき、前衛を一手に引き受ける。 「みんなは俺が守る、俺のこの力でこのパーティーを誰もが認める最強パーティーにしてみせる」 様々なクエストを乗り越え、彼らに待ち受けているものとは? ※この作品は小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアッププラスでも公開しています。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双

たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。 ゲームの知識を活かして成り上がります。 圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

処理中です...