理学療法士だった俺、異世界で見習い聖女と診療所を開きました

burazu

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異世界に転移しました

聖女見習いミミ

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 俺を疑いの眼差しで見つめるこの女の子になんとか俺の事を信じてもらえないとこの異世界で途方に暮れちまう。

 しかし、どうすれば信じてもらえる?俺の世界の事や俺が理学療法士だという話をしてもきっと理解できないだろうし。

 さあ、どうしたものかと思っている時に俺の腹が突然鳴る。そういえば夕飯まだだったな。

「す、すまん、実は食事がまだで……」
「え、あなたもですか?実は私もお腹が空いていたので私のお腹の音かと思ってしまいました」
「あ、そ、そうなの……」

 互いに自分の腹の音が鳴って微妙に気まずい空気になったが、この空気を逆に好機とみて俺はある行動に出る。

「そうか、君も腹が減っているのならちょうどいい、これでも食うか?」

 そう言って俺はコンビニ弁当を彼女に見せるが、彼女には理解できず、俺に尋ねてくる。

「何ですか?これは?」
「これはコンビニ弁当といって、これがご飯で、これが鶏のから揚げで、その下にパスタが敷いてある。野菜はあまりないけど、今は空腹を満たさなくちゃいけないから、一緒に食べないか?」
「だ、大丈夫ですか?まさか毒とか入ってませんよね?」
「入れるかーーーー!そもそも君と会わなければ1人で食べるつもりだったんだから毒なんて入れるわけないだろ」

 俺の発言を聞いてしばらく彼女は考えており、俺に対して返答をする。

「確かにそうですよね、分かりました。下さるというならありがたくいただきます」

 彼女がそう言うと、とりあえず近くの木の下に俺達は移動して座って俺は彼女に弁当を取り分けようとするが、その前に彼女に尋ねた。

「すまないが、さすがに君にフタによそって食べてもらうのは失礼にあたるから最初に俺が自分の分を取り分けていいか?」
「はい、いいですよ」
「悪いな、できる限り平等にするから」

 そう言って俺はまず自分の分を弁当のフタに移し、そして残った分を彼女に渡す。割り箸は1個しかないから少々短くなるが更に割って彼女に渡す。

「ありがとうございます」

 そう言いながら彼女は唐揚げを口にし、次の瞬間満面の笑みを浮かべる。

「す、すごく、美味しいですよ!何ですかこれ?ああでも多分私が聖女見習いとして質素な食事しかしてないからかもしれません」
「聖女見習い?」
「あ、申し遅れました。私はミミ、聖女見習いとして各地を旅しております」

 聖女見習いミミ、俺が異世界で最初に出会った人間であり、この先俺と一緒にを始めるが、それはまだ先の話だ。
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