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高校2年編
会長の提案
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将棋連盟の佐渡会長に呼ばれた一輝と小夜は将棋会館を訪れると、会長室には一輝の師匠である諸見里九段がいて、酔った勢いで自身の学生時代の同級生である小学校の校長に一輝を呼んで将棋教室を開きたいと頼まれ、思わず安請け合いした事を打ち明ける。
さすがに一輝も師匠の勝手な行動に怒りを隠せず、諸見里もひたすら謝るしかなかったが、その状況に疑問を感じた小夜が諸見里に尋ねる。
「あの、さっき諸見里先生は私にまで謝っていましたが、それはどういう事なんですか?」
「将棋教室には女流棋士も必要って事で思わず小夜ちゃんの名前を出してしまったんだ、すまん」
「ええ……、それって私の師匠は知っているんですか?」
「いや、まだ話してはおらん……」
酔った勢いで小夜まで巻き込み、しかも小夜の師匠である種田九段にも無断であるという事実に一輝も小夜も呆然として言葉はなく、その状況でようやく佐渡会長が口を開いた。
「まあ、だから私に諸見里さんは相談しに来たんですよ」
「会長、会長はどう考えているんですか?」
「諸見里さんから相談を持ち掛けられてすぐに私が改めて校長先生に連絡し、詳しい話をしまして、やはり長谷四段と牧野女流初段には来てほしいという話にはなりました」
「それじゃあやっぱり行かなくてはいけませんか?」
一輝に問われて佐渡は返答をする。
「とりあえず私が連絡した事で友達同士の口約束から将棋連盟への正式な依頼という事になりましたからね」
「分かりました、すいません師匠のせいで会長にまでご迷惑をおかけして」
「いえ、ですが今回の件は諸見里さんの酔った時の発言が発端ですから、あなた方だけを行かせる無責任な事はしません、すでにこの手の事にうってつけの棋士にも依頼はしています」
「ありがとうございます、何から何まで」
一輝から礼を言われ笑顔になる佐渡であったが、その笑顔のまま諸見里にきつい言葉を投げかける。
「それはそれとしまして諸見里さんはしっかりと種田先生にお叱りを受けてくださいね」
「は、はい……」
「今から連絡するので自宅でたっぷり叱られてください、あ、あなた方はもうお帰りなさって大丈夫です。また正式な日にちが決まり次第お教えします」
諸見里には種田に叱られるよう促す一方、一輝達には早めの帰宅を促し、佐渡会長の冷たい笑顔に恐怖を感じたのか一輝達は無言で会釈してその場をあとにする。
「はあ、ごめんね師匠のせいで小夜ちゃんにまで迷惑かけて」
「ううん、経緯はともかくたまにはこういう事もしたほうがいいかなとは思うわ」
「じゃあ、帰ろっか」
「そうね」
そう言って2人は家路につくのであった。
さすがに一輝も師匠の勝手な行動に怒りを隠せず、諸見里もひたすら謝るしかなかったが、その状況に疑問を感じた小夜が諸見里に尋ねる。
「あの、さっき諸見里先生は私にまで謝っていましたが、それはどういう事なんですか?」
「将棋教室には女流棋士も必要って事で思わず小夜ちゃんの名前を出してしまったんだ、すまん」
「ええ……、それって私の師匠は知っているんですか?」
「いや、まだ話してはおらん……」
酔った勢いで小夜まで巻き込み、しかも小夜の師匠である種田九段にも無断であるという事実に一輝も小夜も呆然として言葉はなく、その状況でようやく佐渡会長が口を開いた。
「まあ、だから私に諸見里さんは相談しに来たんですよ」
「会長、会長はどう考えているんですか?」
「諸見里さんから相談を持ち掛けられてすぐに私が改めて校長先生に連絡し、詳しい話をしまして、やはり長谷四段と牧野女流初段には来てほしいという話にはなりました」
「それじゃあやっぱり行かなくてはいけませんか?」
一輝に問われて佐渡は返答をする。
「とりあえず私が連絡した事で友達同士の口約束から将棋連盟への正式な依頼という事になりましたからね」
「分かりました、すいません師匠のせいで会長にまでご迷惑をおかけして」
「いえ、ですが今回の件は諸見里さんの酔った時の発言が発端ですから、あなた方だけを行かせる無責任な事はしません、すでにこの手の事にうってつけの棋士にも依頼はしています」
「ありがとうございます、何から何まで」
一輝から礼を言われ笑顔になる佐渡であったが、その笑顔のまま諸見里にきつい言葉を投げかける。
「それはそれとしまして諸見里さんはしっかりと種田先生にお叱りを受けてくださいね」
「は、はい……」
「今から連絡するので自宅でたっぷり叱られてください、あ、あなた方はもうお帰りなさって大丈夫です。また正式な日にちが決まり次第お教えします」
諸見里には種田に叱られるよう促す一方、一輝達には早めの帰宅を促し、佐渡会長の冷たい笑顔に恐怖を感じたのか一輝達は無言で会釈してその場をあとにする。
「はあ、ごめんね師匠のせいで小夜ちゃんにまで迷惑かけて」
「ううん、経緯はともかくたまにはこういう事もしたほうがいいかなとは思うわ」
「じゃあ、帰ろっか」
「そうね」
そう言って2人は家路につくのであった。
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