一歩の重さ

burazu

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高校2年編

永世名人との対面

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偶然にも同じ電車の別車両に乗っていた一輝と梢子は林原九段と待ち合わせをしている将棋カフェに向かう道中で合流し、そのまま2人でその将棋カフェまで歩き、到着したのだ。

 到着するなり、まず一輝がカフェのドアを押して入り梢子が後ろから続いて入る。梢子が入ったのを確認すると一輝はそっとドアを閉め、店員より声をかけられる。

「いらっしゃいませ、何名様でしょうか?」
「あの、3名なんですがもう1人とは待ち合わせをしてまして」
「先に1名様でお越しになって待ち合わせをするとおっしゃっていたお客様がおりましたが、あちらの方でしょうか?」

 店員の促した先を一輝達が目にすると、そこには一輝にとって見覚えのある林原優一九段その人が先に座席へと座って一輝達の到着を待っていた。

「あ、はい、あの人です」
「それではお席にどうぞ」

 店員の言葉を受け、一輝達は林原の待つ座席へと向かって行く。

 座席の前に到着するとまずは一輝が挨拶をする。

「おはようござ……、あ、いえもうお昼なのでこんにちは……でいいですか?」
「初めまして、私佐藤梢子っていいます」

 一輝と梢子が挨拶をすると林原も立ち上がり深々と頭を下げて2人に挨拶をする。

「ええと、長谷さんとはこうしてしっかりとお話をするのは初めてに近いですね。改めまして林原です。そして、竹田さんより話は聞いていますが、佐藤梢子さんですね。初めまして棋士の林原と申します」

 挨拶を終えると林原が2人にも座席に座るよう促す。

「さあ、お2人も座りましょうか、立ち話もなんですし」
「はい、じゃあ……」

 林原に促され、一輝と梢子も座席に座る。3人が座席に座って程なく店員が注文を取りにテーブルまでやって来る。

「ご注文はいかがなさいましょうか?」
「あ、私はホットコーヒーで」
「それなら僕もそれで」
「私はミルクティーでお願いします」

 一輝と林原がホットコーヒー、梢子がミルクティーを注文すると店員がそれに応える。

「かしこまりました、少々お待ちください」

 店員がそう言って、テーブルを離れると一輝が林原に対して声をかける。

「あの林原先生、林原先生が本当に佐藤さんの師匠になってくれるんですね?」
「もちろんです、私に断る理由はありませんからね」

 林原の言葉を聞いて梢子が林原に気になったことを尋ねる。

「それじゃあ、先生がこれから私に将棋を教えて下さるんですか?」
「いえ、私は将棋は教えません」

 林原が放った言葉に梢子は戸惑うが、その言葉の意味とは?
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