剣しか取り柄がないという事で追放された元冒険者、辺境の村で魔物を討伐すると弟子志願者が続々訪れ剣技道場を開く

burazu

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追放されてからの生活

聞こえた音

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泉崎村いずみざきむら――

夕方、琉球建築の人家が並ぶ住宅街は、人通りの少ないのどかな雰囲気に包まれている。

そんな中、守優と守善、世璋、守央の4人は、道を歩きながら話をしていた。

「兄上、さっきはシソウチンの応用技がうまく決まりましたね!」

「うん。あの時は無意識に体が動いちゃって、自分でも少し驚いてるよ。けど、世璋さん。あの壺のこと、無事に解決できるか心配ですね」

「一応示談条件はまとまったが、示談金が支払われるまではどうなるかわかんねぇし、あとは弁護士に任せるしかねぇな。それにしても、今日はお前ら二人のおかげで仕事が捗ったぜ。ありがとよ。お前らも元服して一段と頼もしくなったし、守央から教わってるティーの腕も上がったみてぇだな」

「今年で守善は17歳、守優は15歳になるが、幼い頃から兄弟揃って修業してるおかげで随分と上達したな」

守央は世璋と話を続ける。

「お前の娘もティーの修業は順調か?」

「ああ。俺が教えた型も技もすぐ覚えるし、いい感じだぜ。うちの美嘉みかも守優と同い年だが、物心ついた頃から修業してるおかげでだいぶ技がうまくなったな。今頃はあいつも自主稽古してるだろうが、せっかくだし今からお前らもうち来いよ」

「いいのか? なら、少し寄らせてもらうぞ」

守央たちが道を歩いている頃、世璋とその家族が住む家の庭では、若い男と少し小柄な少女が組手をしていた。

男は恰幅が良く、短い黒髪と純朴な目、薄く整えた髭が印象的で、黄土色の上衣と同色の細帯、白い長ズボン状の琉球袴を身に着けている。

少女は長い暗褐色の髪を後頭部で一つにまとめて垂らし、左斜め分けの前髪と大きな目が快活な雰囲気を感じさせ、桜色の上衣と同色の細帯、白い長ズボン状の琉球袴を身に着けていた。

男は左足を1歩前に踏み込み、少女の顔面目掛けて右正拳上段逆突きを繰り出す。

少女は左腕で男の右拳を右下へ受け流すと、右上段肘打ちを男の顔面に食らわせた。

男が頭を仰け反らせると、さらに少女は両手で男の右上半身を掴み、右中段膝蹴りを男の腹に食らわせる。

男の体がくの字に曲がると、少女は左腕を男の右脇の下に通し、両手で男の体を引き込んだ。

男が仰向けに投げ倒されると、少女はすかさず右正拳下段突きを男の顔面に寸止めで放ち、すぐに右拳を引いて残心する。

男が顔をしかめると、少女は自然な立ち方に戻った。

「よし! 今の技、結構動きよかったかも! 英典えいてん、最後にもう一回いくわよ。そしたら、次はあんたの番ね」
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