剣しか取り柄がないという事で追放された元冒険者、辺境の村で魔物を討伐すると弟子志願者が続々訪れ剣技道場を開く

追放されてからの生活

遠隔スキル

　ケイトとイザベラの実力を見極めるべく模擬戦が始まるが、お互い間合いを図り、なかなか攻撃を仕掛けようとしない。

「何だよ、どっちも止まって動かねえな」
「おーーい！俺達は決闘を見に来たんだ！ちゃっちゃっとおっぱじめてくれ！」
「師匠、ジョーンさん、大丈夫……ですよね……」

　魔法禁止のルールもあり、あのチャクラムは唯一遠距離攻撃が可能な分、簡単に隙を見せるわけにはいかないが、向こうも投げる際に隙が生じるのを警戒してか慎重になっているな。

「おい師匠！このままじゃあラチがあかねえ、ひとまず俺が囮もかねてあいつらにかましてきてやる」
「いいのか？魔法禁止とはいえ、遠距離攻撃も向こうは使えるんだぞ」
「だからって、このままじゃあ勝負にならねえし、俺達の方が魔物討伐にふさわしいって見せてやんねえとな」

　別に魔物の討伐の権利を争っているわけじゃないんだけどな、まあジョーンにはこの作戦は性に合わなさそうだし、ここは自由に動いてもらうか。

「分かった、ジョーン、お前は好きに動け、それを見て俺も合わせて動く！」
「へっ！任せておけ！」

　ジョーンはケイト達に向かっていき、それを見たケイト達は対応する。

「来るわ！」
「私にお任せを」

　イザベルはジョーンに向けて練習用の刃のないチャクラムを投げつけるが、ジョーンはそれを槍で防ぐ！

「っと！へっ、こんなもんが俺に通用するかよ！」

　ジョーンは槍でチャクラムを防ぐ事には成功するが、チャクラムは地面には落ちずにイザベルの手元に戻って行った！

「何⁉叩き落そうと思ったら戻りやがった？」
「私の遠隔スキルを使えばこのチャクラムはどこにあっても私の手元に戻ってくるのです」
「遠隔スキルか、だが武器を破壊しちまえば発動はしねえだろう」
「できますか？あなたに」

　更にイザベルはチャクラムを投げるつけるが今度は槍に当てられる前に自分の手元に戻した。

「チキショー！俺に当てるつもりはねえのか⁉」

　あの戦法厄介だな、あのイザベルとかいう演奏者、ジョーンの動きを見てチャクラムを戻すタイミングをしっかりと見極めている、あれじゃあジョーンは体力、精神力共に削られるぞ。

「ジョーン、一旦下がれ、遠隔スキルにも有効な範囲は決まっているはずだ」
「くそ、せっかく前に出たってのによ」
「下がっても無駄です、正確な有効範囲は秘密ですが、少なくともこの戦闘範囲においては私の遠隔スキルは有効に働きます」
「そういう事、イザベルに動きを封じられているし、私もそろそろいこうかしら」

　今度はケイトも来るのか、一体彼女はどういう戦い方をするんだ？