剣しか取り柄がないという事で追放された元冒険者、辺境の村で魔物を討伐すると弟子志願者が続々訪れ剣技道場を開く

burazu

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追放されてからの生活

ギリギリの資金

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 シーナとの剣術修行を続ける中、ある日村長が俺とシーナを呼びに来た。

「おお、リッキーさん、シーナちゃん、ちょっとわしの家に来てくれんか」
「村長、どうしたんだ?」
「こんにちは、私もですか?」
「実はよ、さっきこの間とは違う領主様の遣いが来てな、リッキーさん達への報酬っていうか、道場建設の為の資金をわしに預けたんだ、だから2人に来て欲しいんじゃ」

 どうやら道場建設の為の資金を届けてくれたようだ、とりあえず俺達は村長の家に行く事にした。

「分かった、とりあえず見に行こう」
「はい、行きますね」

 俺達が村長の家に行くと、そこには多くのコインが積まれていた。

「す、すごいですね、私こんなに見た事ないですよ」
「俺もだ、だけど実際問題これだけの金でどの程度の道場ができるんだろうな?」
「師匠、あの時のユウ様に相談してみてはいかがでしょうか?」
「まて、とりあえず俺達で考えてみないとな、まず必要な物は……」

 とりあえず俺は村長に預けた報酬の額を正確に数え、その後道場を建てられそうな空き地に行き、どれだけの木や石が必要かを大まかではあるが他の民家等も参考にして考えた。

「シーナ、俺達への報酬で道場を建てるとなると、結構素人の計算にはなるがギリギリだな」
「資金がギリギリなんですね!」
「ああ、しかもこれは俺達だけで建てる場合でな」
「え⁉そ、それじゃあ人を雇えないって事ですか?」

 俺は建築についてさほど知識がない為、とりあえず大まかな計算で導き出した結論をシーナに伝えた。

「ああ、一度俺達の考えをユウさんに伝えて相談してみないと分からない事もあるが、少なくとも建てるのは俺達だけになる事は覚悟しておいた方がいい」
「でも、それだといつ完成するか分からないですね、その間修行はどうするんですか?」
「建設作業と並行しながらになるな、せめて何人かは雇えるために魔物討伐の仕事もなるべく多く請け負わないとな」
「はあ、ようやく道場で修行ができると思ったのに」

 その後、俺は村長を通し、大まかな道場の建設の計画を領主様の屋敷に送ってもらい、来た返答に助言はいくつかあり、多少資材等を安く手に入れる事ができそうではあったが、それでもやはり俺達だけでやらなくてはいけないようだ。

「やっぱりな……」
「あの師匠、村の人に協力していただくのはどうですか?皆さん、道場を歓迎してくださっていますし」
「だけど、タダでやってもらうのは悪いし、みんなも自分の仕事があるからな」
「そうですか……」

 ギリギリの資金と足りない人手、道場建設は早くも見通しが悪くなったな。
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