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憂鬱な転生【カノンの場合】
15.雨上がりの空
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瑠依からもらったタオルで拭ったとはいえ、ぐっしょりと濡れた姿でカノンは自宅の前に立ちつくしていた。
鍵を手に、扉に手を掛けるも、なかなかそれ以上が動けない。そうしてもう数分が経とうとしていた。
どこをどう歩いていたのか、気が付くと帰り時間はいつもよりも随分遅くなってしまっていた。歩きながら、鞄のなかでスマホが震える音がしていた。きっと母親からだろうとは思ったが、確認することもできなかった。
こんな日に限って、いつも残業することの多い母親は、家にいるようだ。
帰りが遅くなってしまったことの色々な言い訳が、取り留めもなく浮かんでは、まとまらない。
――ママ、怒ってるかな……。
カノンは覚悟を決めるように、深呼吸をした。そして、なんの意味もないと分かっているけれど、それでもできるだけ音をたてないように鍵を開けると、そぉっと玄関の扉を開けた。
「――ただいま……」
玄関の扉の音にキッチンから飛び出してきた母親は、そんなカノンを見て「カノン~~!!」と大きな声をあげた。
その声に、ビクッと強張った肩が跳ねた。「!! あ、あの……!」そう言うと、叱責を覚悟し、衝撃に備えるかのようにぎゅっと目をつむった。カラカラになった口で、帰りが遅れた言い訳を口にしようとしたその時だった。
ふわっ
「……え……?」
「この間、風邪ひいたばっかりでしょう!? もう! 電話くれれば迎えに行ったのにぃ~!」
頭にかけられたのは、バスタオルだった。少し乱暴に頭をごしごしと拭われる。
「……怒ら、ないの……?」
「? なんで? もうカノンってばまた熱でちゃうんだから! ちょうどお風呂のお湯溜まってるから、肩まで入ってね! でも長湯はしたらダメだからね!」
カノンを洗面所に促しながら、赤い顔をしてぷりぷりと怒ってみせる母親はなんだか微笑ましいくらいだ。
脱衣所の扉を閉めても、廊下を歩く母親が「もう! あったかいもの用意しなきゃ!」と独り言を言っているのが聞こえた。
肩すかしな母親の反応に呆気にとられていたが、やっと先ほどまで必死に考えていた「傘を、忘れて……」と言葉が出た。
そう言ったとき、カノンの母親の言葉は、一度も何故雨に濡れてきたのかを咎めていなかったこと、ひたすら純粋にカノンを心配してくれるものだったことに、気が付いた。
「……?」
濡れて張り付いた制服を脱ぎながら、カノンは、なんだか居心地が悪いような、不思議な気持ちがしていた。
何故だかわからないが、さっきの母親のお小言は、叱責ともいえないものだった。不思議とその言葉には、心が冷たくならなかった。
チャプ……
熱い湯に身を沈めて、つめていた息を吐く。
お湯はオレンジ色で、カノンの好きな柑橘の香りが浴室全体に漂っている。あたたかい湯気を大きく吸い込んで、深呼吸をする。
「……はぁ……」
冷えて固まっていた筋肉が緩んでいくのを感じる。
湯にほぐされるその安堵感に、自分が無意識に、身体を強張らせていたことに気が付いた。濡れて帰ってきたこと、帰りの時間が遅れたことの言い訳を用意して、知らずに緊張していたのだと思い至った。
――言い訳しなくても、謝らなくても、いいんだ……。私には、わたしは、カノンはそんな愛情を受け取っていいんだ……。
「……うっ…、…っく……」
そう思った瞬間、視界が滲んだ。零れ落ちた水滴が、浴槽の湯に次々と小さな波紋をつくっていく。
なんの涙かわからない。今日あんな風に瑠依に拒絶されたことへの涙なのか、この世界への困惑なのか、それともこの世界の母親がカノンに向ける愛情に対しての涙なのか。
でもそれは、カノンがこの世界で舞宮カノンになって、初めて流した涙だった。
◇◇◇◇◇
雨で濡れた身体はまたしても風邪をぶり返してしまい、今度こそ学校を休んでしまった。
それでも、1日休んですぐに土日だったので、今週は登校することができた。今週いよいよ夏休みが始まる。そしてすぐに、チャリティーコンサートがある。
昼食に賑わう校内、いつもの屋上の隅に座って、カノンは空を見上げていた。
今日の空はどこまでも明るく晴れわたり、地球の外側を透かして覗いているんじゃないかと思うくらいに、すっきりと青く澄んでいた。
だが、そんな明るい空とは打って変わって、カノンの表情は物憂げだ。
――ルイ先輩。
気が付くと、先日の瑠依とのことが、何度かき消そうとしても、脳裏に浮かんでしまう。
瑠依はタオルも傘も返さなくていいと言っていた。それが明確な拒絶だということは、いくらそういった経験に乏しいカノンでもわかる。
返すことも捨てることもできず、机のうえに置いてあるそれを目にする度に、言いようもない感情が胸を巣食うのを感じた。
座り込むカノンは、楽譜を膝に載せたまま、それを開くことも、傍らの弁当の包みを開くこともしていない。空を見上げているようで、その視線はただぼんやりと、何もとらえていなかった。
――これは、不安? ……何かはわからないけど、ただ、この先どうしていいかがわからない――。
もし、自分がゲームのヒロインなんかでなかったとしても。
それでも今の自分は、舞宮カノンは、以前の自分が望んだもの全てを手にしているはずなのに。
優しい母親、若さだってあるし、可愛い容姿に、ヴァイオリンだってある。
望むことすら諦めていた恋だって、今ならきっと、いくらでも手に入れることができるはずだ、でも。
――それなのに、何故かどうしたらいいのかがわからない。
この世界に生まれ変わったと分かった時に、確かに憤りを感じていたはずだ。でも、やることが決まっていることに、心のどこかで安堵していたことも確かだった。
自分で、この先 を決めること。こんなにも何も持っていない自分が、この先を考えなければならないこと。それが、怖い。
緩慢な眩暈は、ずっと治まらない。ゆるくゆるく、視界を揺らす。
そうしてカノンは、涙が頬を伝っていくのを、どこか他人事のように感じていた。
鍵を手に、扉に手を掛けるも、なかなかそれ以上が動けない。そうしてもう数分が経とうとしていた。
どこをどう歩いていたのか、気が付くと帰り時間はいつもよりも随分遅くなってしまっていた。歩きながら、鞄のなかでスマホが震える音がしていた。きっと母親からだろうとは思ったが、確認することもできなかった。
こんな日に限って、いつも残業することの多い母親は、家にいるようだ。
帰りが遅くなってしまったことの色々な言い訳が、取り留めもなく浮かんでは、まとまらない。
――ママ、怒ってるかな……。
カノンは覚悟を決めるように、深呼吸をした。そして、なんの意味もないと分かっているけれど、それでもできるだけ音をたてないように鍵を開けると、そぉっと玄関の扉を開けた。
「――ただいま……」
玄関の扉の音にキッチンから飛び出してきた母親は、そんなカノンを見て「カノン~~!!」と大きな声をあげた。
その声に、ビクッと強張った肩が跳ねた。「!! あ、あの……!」そう言うと、叱責を覚悟し、衝撃に備えるかのようにぎゅっと目をつむった。カラカラになった口で、帰りが遅れた言い訳を口にしようとしたその時だった。
ふわっ
「……え……?」
「この間、風邪ひいたばっかりでしょう!? もう! 電話くれれば迎えに行ったのにぃ~!」
頭にかけられたのは、バスタオルだった。少し乱暴に頭をごしごしと拭われる。
「……怒ら、ないの……?」
「? なんで? もうカノンってばまた熱でちゃうんだから! ちょうどお風呂のお湯溜まってるから、肩まで入ってね! でも長湯はしたらダメだからね!」
カノンを洗面所に促しながら、赤い顔をしてぷりぷりと怒ってみせる母親はなんだか微笑ましいくらいだ。
脱衣所の扉を閉めても、廊下を歩く母親が「もう! あったかいもの用意しなきゃ!」と独り言を言っているのが聞こえた。
肩すかしな母親の反応に呆気にとられていたが、やっと先ほどまで必死に考えていた「傘を、忘れて……」と言葉が出た。
そう言ったとき、カノンの母親の言葉は、一度も何故雨に濡れてきたのかを咎めていなかったこと、ひたすら純粋にカノンを心配してくれるものだったことに、気が付いた。
「……?」
濡れて張り付いた制服を脱ぎながら、カノンは、なんだか居心地が悪いような、不思議な気持ちがしていた。
何故だかわからないが、さっきの母親のお小言は、叱責ともいえないものだった。不思議とその言葉には、心が冷たくならなかった。
チャプ……
熱い湯に身を沈めて、つめていた息を吐く。
お湯はオレンジ色で、カノンの好きな柑橘の香りが浴室全体に漂っている。あたたかい湯気を大きく吸い込んで、深呼吸をする。
「……はぁ……」
冷えて固まっていた筋肉が緩んでいくのを感じる。
湯にほぐされるその安堵感に、自分が無意識に、身体を強張らせていたことに気が付いた。濡れて帰ってきたこと、帰りの時間が遅れたことの言い訳を用意して、知らずに緊張していたのだと思い至った。
――言い訳しなくても、謝らなくても、いいんだ……。私には、わたしは、カノンはそんな愛情を受け取っていいんだ……。
「……うっ…、…っく……」
そう思った瞬間、視界が滲んだ。零れ落ちた水滴が、浴槽の湯に次々と小さな波紋をつくっていく。
なんの涙かわからない。今日あんな風に瑠依に拒絶されたことへの涙なのか、この世界への困惑なのか、それともこの世界の母親がカノンに向ける愛情に対しての涙なのか。
でもそれは、カノンがこの世界で舞宮カノンになって、初めて流した涙だった。
◇◇◇◇◇
雨で濡れた身体はまたしても風邪をぶり返してしまい、今度こそ学校を休んでしまった。
それでも、1日休んですぐに土日だったので、今週は登校することができた。今週いよいよ夏休みが始まる。そしてすぐに、チャリティーコンサートがある。
昼食に賑わう校内、いつもの屋上の隅に座って、カノンは空を見上げていた。
今日の空はどこまでも明るく晴れわたり、地球の外側を透かして覗いているんじゃないかと思うくらいに、すっきりと青く澄んでいた。
だが、そんな明るい空とは打って変わって、カノンの表情は物憂げだ。
――ルイ先輩。
気が付くと、先日の瑠依とのことが、何度かき消そうとしても、脳裏に浮かんでしまう。
瑠依はタオルも傘も返さなくていいと言っていた。それが明確な拒絶だということは、いくらそういった経験に乏しいカノンでもわかる。
返すことも捨てることもできず、机のうえに置いてあるそれを目にする度に、言いようもない感情が胸を巣食うのを感じた。
座り込むカノンは、楽譜を膝に載せたまま、それを開くことも、傍らの弁当の包みを開くこともしていない。空を見上げているようで、その視線はただぼんやりと、何もとらえていなかった。
――これは、不安? ……何かはわからないけど、ただ、この先どうしていいかがわからない――。
もし、自分がゲームのヒロインなんかでなかったとしても。
それでも今の自分は、舞宮カノンは、以前の自分が望んだもの全てを手にしているはずなのに。
優しい母親、若さだってあるし、可愛い容姿に、ヴァイオリンだってある。
望むことすら諦めていた恋だって、今ならきっと、いくらでも手に入れることができるはずだ、でも。
――それなのに、何故かどうしたらいいのかがわからない。
この世界に生まれ変わったと分かった時に、確かに憤りを感じていたはずだ。でも、やることが決まっていることに、心のどこかで安堵していたことも確かだった。
自分で、この先 を決めること。こんなにも何も持っていない自分が、この先を考えなければならないこと。それが、怖い。
緩慢な眩暈は、ずっと治まらない。ゆるくゆるく、視界を揺らす。
そうしてカノンは、涙が頬を伝っていくのを、どこか他人事のように感じていた。
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