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嬉しい転生【彩音の場合】
14.綾と彩音
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「ちょ、朝美先輩…! あの、今回の人事異動見ました…!」
「綾ちゃん…、あぁそうなの、私営業にまわされることになったんだよね…」
ビルの一階の自動販売機に行った帰り道、廊下ですれ違った朝美先輩に声を掛けると、困ったように片眉を下げて、彼女は応じた。
「ちょっと、今のプロジェクトそれでなくても火を噴きそうなのに、いま朝美先輩を外すとかマジであり得ないんですけど…! 頭ヤバくないです? うちの会社」
「あー…、本当ね…。私もこれからやっていけるか、かなり心配なんだけど…ね。
あーもう、ちょっと綾ちゃん今日空いてる?飲みにいかない?」
「もちろん行きますっ! 話したいことめっちゃ溜まってます!!」
◇◇◇◇◇
上田朝美さんは私の2個上で入社年次は1個上、私が入社した時のOJTトレーナーだった。それもあって、他の人には“先輩”なんてつけないけれど、なんとなく先輩と付けてしまっている。
栗色のセミロングの髪と、上品なファッションが憧れの先輩だ。仕事はできるし、スラリとした長身に憂いを帯びた目元、セクシーな厚めの唇がすっごくそそられる。
私のような服装はいつもカジュアル、見た目も特段特徴なく、髪もいつもボブにしているのとは違って大人の女性! って感じ。聞いたことはないけれど、きっとモテるんだろうなぁ。
最初はちょっと話しかけづらかったのもあって、一線引いてたんだけど…。
その日私は、収束が見えないプロジェクトに残業が続いていて、どんどん悪くなる社内の殺伐とした空気に耐えられなくなっていた。
トイレに立った後、オフィスに戻りたくなくて、暗い給湯室でぐったりと壁にもたれかかってスマホを眺めていた。
その時に、ふと現れた上田先輩が私の持っていたスマホのストラップを指さして言った。
「…片倉さん、ルイ先輩推し?」
「!!! 上田先輩、これが何かご存知なんですか!?」
公式から出ているキャラクターのイメージで作られたストラップ。普通の人にはただのクリスタルのビーズがあしらわれたチャームにしか見えない。
私がスマホにつけていたのは、『聖なる音を紡ぐ鐘』の推しキャラ大河内瑠依の瞳の色、イメージカラーである濃い青のスワロフスキーが嵌めこまれた、金色の小さなト音記号と鐘のチャームがついたストラップだった。
しかも、先月発売されたばっかり。ゲーム自体が発売されたのは結構前なのに、続編にイベント、グッズ供給は定期的にある素晴らしい公式様だ。
ってか、これが何かって分かるっていうことは…!
「…上田先輩は…?」
「私? 聖なる音では、じう推し。これ可愛いよねー」
チャラっと音を立てて、上田先輩がポケットから出したのは、キーケースだった。そこには私と同じ意匠の、緑色の石が嵌めこまれたチャームが見える。
「上田先輩!! 同士じゃないですか!!」
それからというもの、すっかり朝美先輩とは仲良くなったのだった。
◇◇◇◇◇
今日は無理矢理定時で上がって、最寄りの駅前のイタリアン居酒屋で朝美先輩と合流した。本格的なイタリア料理が、安く気軽に楽しめるお店で、朝美先輩と飲むときの定番だった。
息切れしそうな怒涛の勢いで、会社の愚痴を一通り吐き出した後、共通の趣味の乙女ゲームの話になった。
朝美先輩はお酒が強くてグイグイ行くから、つられて私も飲んでしまって、かなり視界が回ってきた。うふふ楽しい。
「いやー、朝美先輩は乙女ゲームに転生できるとしたら、どうします? 時雨君いっちゃいます??」
「えぇ~そうだねぇ…。じう君もいいんだけど、転生できるとしたら、今やってるゲームの方かなぁ…。
もうね…、好きになっちゃいけない感半端ないヤンデレなんだけど、ド性癖のキャラがいてさぁ…」
朝美先輩は憂いたっぷりに、その長いまつ毛を伏せてため息をついた。
「えぇー! マジですか!? とうとう、時雨君を更新しちゃったんですね!
いいなぁ…私も色々ゲームするんですけど、やっぱり私の推しはルイ先輩一択です。唯一です、レジェンドです…。
もうね、転生できてもヒロインになりたいなんて欲張りは言わない。モブでいいんです、モブで。それで私、ルイ先輩のところに告白しにいっちゃうの…」
私も憂いたっぷりに、大げさにため息をついて見せた。何なら目に涙だって浮かんでる。
「やーん! 綾ちゃん、告白って!! 告白だけでいいなんて、それめっちゃ乙女じゃん! 今めっちゃ恋する乙女の顔してた!」
「ですよ! キャー! 恥ずかしい!」
今日何度目になるか分からない乾杯を交わす。もうグラスは空になりそう。
「応援するよ! 綾ちゃん! ルイ先輩との結婚式には呼んでね!」
「有難うございます! 呼びます! 寿退社しますから!」
真面目にくだらない話をしていると、ぶはっと朝美先輩が噴き出した。
「寿退社って! 響きが古っ! でもルイ先輩は海外を飛び回る音楽家になるしね…。うんうん、じゃあ今日はお祝いしよ! すみませーん! オーダーいいですかー」
「朝美先輩てばー! 朝美先輩も推しと結婚したら呼んでくださいね…!」
妄想にもノリノリで話してくれて、朝美先輩と話すの本当楽しい。乙女ゲームの話できる人なんて今までいなかったからなぁ。笑いすぎて腹筋が痛くなってきた。
「ありがと! でも彼はね…独占欲が強いんだけど、飽きっぽいみたいで、そこが心配…」
「…朝美先輩の恋…、うまくいってほしい…転生してもお元気で…うっ…」
「ちょ、綾ちゃんマジ泣き? ちょっと飲みすぎた?」
最近飲むと涙腺が激弱いんだよなー、私。おしぼりで目尻の涙を拭っていると、朝美先輩がオーダーを取りに来てくれた店員さんに向かってメニューを指さす。
「私もうワイン、グラスじゃなくボトルでいこうかなー。この赤でお願いします。綾ちゃんもまだいける?」
「余裕です。私、ルイ先輩にふさわしい女子になるために、おしゃれにオリーブとか頼みますから」
「あ、いいね。あとそのチーズ盛り合わせも」
◇◇◇◇◇
「あ、私もワインもういっぱーい! ……んあ?」
あれ?? カーテンが明け放たれた室内、目の前には彩音のお母さんがいる。あれ?? ここは??
「彩音…なんの夢…? ワイン…?」
「――え、そんなこと言ってた?私…は、はは…」
ひきつり笑いを浮かべる私に、お母さんはおでこに手を当てた。思わずさっきの夢の影響で、吐息にお酒の匂いが残っている気がして息を詰めた。
「うん、熱も下がってるし、顔色もいいわね。もう大丈夫かな…。貴方は昔からすぐ熱を出してたから…。つい心配しちゃうわね」
「お母さん…」
「ほら、お父さんも奏も心配してたわよ?今日は朝ごはん食べられる?」
「うん…あとから行くね」
お母さんは私の頭をぽんと撫でて、部屋を出ていった。私は枕を抱きかかえるようにして、うつぶせに寝返りを打った。
「ふふふ…」
さっきみていた夢を思い出して、こみ上げる笑いを抑えきれない。いつも飲みに行くと、下らない話で盛り上がってた。あぁ、朝美先輩と飲みに行くの楽しかったなー。私がここにいるくらいなんだから、朝美先輩も推しのところにいけたかな。
あぁ、連絡手段があったら『私ルイ先輩に会っちゃいました!! 告白どころか調子に乗ってHまでしちゃいました!!』って報告するのになー。
もし、この夢から覚めたら即メールしよう。きっと『えー! 綾ちゃんいい夢見たね! うらやましい!』って一緒にはしゃいでくれる。
そう考えると、昨晩まで胸の中に渦巻いてた色んな重たい思いが溶けて、今の現状がなんだかすごく貴重なことのような、武勇伝のような気がしてきた。
彩音の考えに引っ張られていたけれど、そうだ今私は推しと同じ世界にいるんだ。同じものを見ることが出来るし、触れることが出来るんだ。
それなのに、自分から扉を閉めて、ふさぎ込むなんて勿体ない。
ルイ先輩にフラれたわけじゃないし。まだ、直接は。まだ。
うっ…、ルイ先輩にもしフラれたら…どうしよう。…でも、後で朝美先輩に語れる武勇伝は多い方がいいな。
もし当たって砕けたら、折角なんだし他の攻略対象とお話してみるのもいいな。あ、でもヒロインがいるんだから結局ダメかなー。
でも、いいや。ルイ先輩に会えて、音楽学園に通えたっていうことだけでも、考えてみたら十分だ。
「うん、大丈夫。上出来、上出来」
声に出すと本当に大丈夫な気がしてきた。私は起き上がると、しばらく寝込んで固まった体をうーんと伸ばし、晴れやかな気持ちで、ダイニングに向かった。
鞄に入ったままのスマホの充電が切れているとか、メッセージも電話もつながらない私に、ルイ先輩がこの世の終わりみたいなことになっていることなんて、想像もしていなかった。
「綾ちゃん…、あぁそうなの、私営業にまわされることになったんだよね…」
ビルの一階の自動販売機に行った帰り道、廊下ですれ違った朝美先輩に声を掛けると、困ったように片眉を下げて、彼女は応じた。
「ちょっと、今のプロジェクトそれでなくても火を噴きそうなのに、いま朝美先輩を外すとかマジであり得ないんですけど…! 頭ヤバくないです? うちの会社」
「あー…、本当ね…。私もこれからやっていけるか、かなり心配なんだけど…ね。
あーもう、ちょっと綾ちゃん今日空いてる?飲みにいかない?」
「もちろん行きますっ! 話したいことめっちゃ溜まってます!!」
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上田朝美さんは私の2個上で入社年次は1個上、私が入社した時のOJTトレーナーだった。それもあって、他の人には“先輩”なんてつけないけれど、なんとなく先輩と付けてしまっている。
栗色のセミロングの髪と、上品なファッションが憧れの先輩だ。仕事はできるし、スラリとした長身に憂いを帯びた目元、セクシーな厚めの唇がすっごくそそられる。
私のような服装はいつもカジュアル、見た目も特段特徴なく、髪もいつもボブにしているのとは違って大人の女性! って感じ。聞いたことはないけれど、きっとモテるんだろうなぁ。
最初はちょっと話しかけづらかったのもあって、一線引いてたんだけど…。
その日私は、収束が見えないプロジェクトに残業が続いていて、どんどん悪くなる社内の殺伐とした空気に耐えられなくなっていた。
トイレに立った後、オフィスに戻りたくなくて、暗い給湯室でぐったりと壁にもたれかかってスマホを眺めていた。
その時に、ふと現れた上田先輩が私の持っていたスマホのストラップを指さして言った。
「…片倉さん、ルイ先輩推し?」
「!!! 上田先輩、これが何かご存知なんですか!?」
公式から出ているキャラクターのイメージで作られたストラップ。普通の人にはただのクリスタルのビーズがあしらわれたチャームにしか見えない。
私がスマホにつけていたのは、『聖なる音を紡ぐ鐘』の推しキャラ大河内瑠依の瞳の色、イメージカラーである濃い青のスワロフスキーが嵌めこまれた、金色の小さなト音記号と鐘のチャームがついたストラップだった。
しかも、先月発売されたばっかり。ゲーム自体が発売されたのは結構前なのに、続編にイベント、グッズ供給は定期的にある素晴らしい公式様だ。
ってか、これが何かって分かるっていうことは…!
「…上田先輩は…?」
「私? 聖なる音では、じう推し。これ可愛いよねー」
チャラっと音を立てて、上田先輩がポケットから出したのは、キーケースだった。そこには私と同じ意匠の、緑色の石が嵌めこまれたチャームが見える。
「上田先輩!! 同士じゃないですか!!」
それからというもの、すっかり朝美先輩とは仲良くなったのだった。
◇◇◇◇◇
今日は無理矢理定時で上がって、最寄りの駅前のイタリアン居酒屋で朝美先輩と合流した。本格的なイタリア料理が、安く気軽に楽しめるお店で、朝美先輩と飲むときの定番だった。
息切れしそうな怒涛の勢いで、会社の愚痴を一通り吐き出した後、共通の趣味の乙女ゲームの話になった。
朝美先輩はお酒が強くてグイグイ行くから、つられて私も飲んでしまって、かなり視界が回ってきた。うふふ楽しい。
「いやー、朝美先輩は乙女ゲームに転生できるとしたら、どうします? 時雨君いっちゃいます??」
「えぇ~そうだねぇ…。じう君もいいんだけど、転生できるとしたら、今やってるゲームの方かなぁ…。
もうね…、好きになっちゃいけない感半端ないヤンデレなんだけど、ド性癖のキャラがいてさぁ…」
朝美先輩は憂いたっぷりに、その長いまつ毛を伏せてため息をついた。
「えぇー! マジですか!? とうとう、時雨君を更新しちゃったんですね!
いいなぁ…私も色々ゲームするんですけど、やっぱり私の推しはルイ先輩一択です。唯一です、レジェンドです…。
もうね、転生できてもヒロインになりたいなんて欲張りは言わない。モブでいいんです、モブで。それで私、ルイ先輩のところに告白しにいっちゃうの…」
私も憂いたっぷりに、大げさにため息をついて見せた。何なら目に涙だって浮かんでる。
「やーん! 綾ちゃん、告白って!! 告白だけでいいなんて、それめっちゃ乙女じゃん! 今めっちゃ恋する乙女の顔してた!」
「ですよ! キャー! 恥ずかしい!」
今日何度目になるか分からない乾杯を交わす。もうグラスは空になりそう。
「応援するよ! 綾ちゃん! ルイ先輩との結婚式には呼んでね!」
「有難うございます! 呼びます! 寿退社しますから!」
真面目にくだらない話をしていると、ぶはっと朝美先輩が噴き出した。
「寿退社って! 響きが古っ! でもルイ先輩は海外を飛び回る音楽家になるしね…。うんうん、じゃあ今日はお祝いしよ! すみませーん! オーダーいいですかー」
「朝美先輩てばー! 朝美先輩も推しと結婚したら呼んでくださいね…!」
妄想にもノリノリで話してくれて、朝美先輩と話すの本当楽しい。乙女ゲームの話できる人なんて今までいなかったからなぁ。笑いすぎて腹筋が痛くなってきた。
「ありがと! でも彼はね…独占欲が強いんだけど、飽きっぽいみたいで、そこが心配…」
「…朝美先輩の恋…、うまくいってほしい…転生してもお元気で…うっ…」
「ちょ、綾ちゃんマジ泣き? ちょっと飲みすぎた?」
最近飲むと涙腺が激弱いんだよなー、私。おしぼりで目尻の涙を拭っていると、朝美先輩がオーダーを取りに来てくれた店員さんに向かってメニューを指さす。
「私もうワイン、グラスじゃなくボトルでいこうかなー。この赤でお願いします。綾ちゃんもまだいける?」
「余裕です。私、ルイ先輩にふさわしい女子になるために、おしゃれにオリーブとか頼みますから」
「あ、いいね。あとそのチーズ盛り合わせも」
◇◇◇◇◇
「あ、私もワインもういっぱーい! ……んあ?」
あれ?? カーテンが明け放たれた室内、目の前には彩音のお母さんがいる。あれ?? ここは??
「彩音…なんの夢…? ワイン…?」
「――え、そんなこと言ってた?私…は、はは…」
ひきつり笑いを浮かべる私に、お母さんはおでこに手を当てた。思わずさっきの夢の影響で、吐息にお酒の匂いが残っている気がして息を詰めた。
「うん、熱も下がってるし、顔色もいいわね。もう大丈夫かな…。貴方は昔からすぐ熱を出してたから…。つい心配しちゃうわね」
「お母さん…」
「ほら、お父さんも奏も心配してたわよ?今日は朝ごはん食べられる?」
「うん…あとから行くね」
お母さんは私の頭をぽんと撫でて、部屋を出ていった。私は枕を抱きかかえるようにして、うつぶせに寝返りを打った。
「ふふふ…」
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あぁ、連絡手段があったら『私ルイ先輩に会っちゃいました!! 告白どころか調子に乗ってHまでしちゃいました!!』って報告するのになー。
もし、この夢から覚めたら即メールしよう。きっと『えー! 綾ちゃんいい夢見たね! うらやましい!』って一緒にはしゃいでくれる。
そう考えると、昨晩まで胸の中に渦巻いてた色んな重たい思いが溶けて、今の現状がなんだかすごく貴重なことのような、武勇伝のような気がしてきた。
彩音の考えに引っ張られていたけれど、そうだ今私は推しと同じ世界にいるんだ。同じものを見ることが出来るし、触れることが出来るんだ。
それなのに、自分から扉を閉めて、ふさぎ込むなんて勿体ない。
ルイ先輩にフラれたわけじゃないし。まだ、直接は。まだ。
うっ…、ルイ先輩にもしフラれたら…どうしよう。…でも、後で朝美先輩に語れる武勇伝は多い方がいいな。
もし当たって砕けたら、折角なんだし他の攻略対象とお話してみるのもいいな。あ、でもヒロインがいるんだから結局ダメかなー。
でも、いいや。ルイ先輩に会えて、音楽学園に通えたっていうことだけでも、考えてみたら十分だ。
「うん、大丈夫。上出来、上出来」
声に出すと本当に大丈夫な気がしてきた。私は起き上がると、しばらく寝込んで固まった体をうーんと伸ばし、晴れやかな気持ちで、ダイニングに向かった。
鞄に入ったままのスマホの充電が切れているとか、メッセージも電話もつながらない私に、ルイ先輩がこの世の終わりみたいなことになっていることなんて、想像もしていなかった。
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