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32.長く熱い夜 *

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 ライの身体が私の上に覆いかぶさると、寝台がギシッと音を立てた。最近ではすっかり慣れ親しんだライの体温。
 でも今はこれまで感じたことのない欲を、視線を感じて、身体が強張る。

「ライ……」
「お前が月の乙女なんていうものでなくとも、俺はお前をここに連れ帰るつもりだった。少し予定が狂っただけだ」

 ライは私の耳元でそう囁くと、私の寝間着の帯に手を伸ばす。甘く低い響きに、知らず身体がピクリと反応する。

「――初めて会った時に、お前は何故か泣いただろう?」

 その言葉に、出会ったあの日を思い出して、頬に熱が走るのを感じる。
 うっ、初めての推しとの出会いに涙腺崩壊したやつですねっ。あの日のライに会った衝撃と言ったら……本当に格好よかった…。

「あの時、俺の中にこれまで感じたことのない欲が芽生えた。お前を泣かせたい。他の者に涙を見せることなど許さない、と」
「ライ…、んぅ」

 私の身体の曲線をなぞるように撫でまわされる手に、呼吸が上がる。

 他の人にっていうところはまぁいいんですけど、泣かせたいって言ってませんでしたか、今。
 っていうか、初対面のあそこか!あそこでフラグが立ってたのか!
 確かにゲーム本編ではライを見たからって泣かないもんね…なるほどね…
 ってそんなの気付くかあぁあ!

「アルレーヌに組み敷かれたお前を見た時…血が沸騰するかと思った。もう絶対にあんな目にはお前を合わせない」

 ライは私をきつく抱きしめる。熱い熱いライの体温、ライの匂い…。

「お前は、俺のものだ――……」

 間近に迫った黄金の瞳が、細められる。そういってライはふっと笑って、優しく口づけてきた。

「ん…」

 ライがくれるキスは強引な言葉と違って、とても優しい。
 私の意見なんて一切無視するかのような言葉を投げかけてくるのに、これまでに私の本当に嫌がることをしたことなんて一度もない。
 きっと学園でも私がライに連れて行って欲しいと望んだら、言葉通りいつでも連れ去ってくれたんだろうと、今なら思う。
 今もきっと私が本当に嫌がれば、やめてくれるんだろう。
 そうすんなりと思えるくらいに、それくらい優しく、ゆっくりと私の反応を見ながら、一つ一つを確かめるように深めてくる。

 ちゅ ちゅ と静かな寝室に 音が響く。
 ほの暗い部屋の中、感じるのは彼が纏う香の香りと、熱い体温だけ。
 徐々に唇に全ての感覚が集中するようにして、交わされるそれに熱が灯っていく。

「ふ…ぁ…」

 私が息を吐きだすのに、たまらず口を開けたと同時に、熱い舌が入ってくる。
 これまでもライと何度かこうしたキスをすることがあったけれど、未だにどう動いていいか分からない。必死にライの舌の動きをたどる。
 そうしてライの動きを追っていると、その甘さに、快楽の火を灯していくその唇に、何も考えられなくなってくる。
 唇の感触、上顎をくすぐり、口内を隅々まで嬲るようにうごめく熱い舌。
 私の吐息までも飲み込まれていく。

 延々と終わりの見えないそれに、身体の思わぬ部分、腰が重くなるように反応して、じんと熱くなるのが分かる。何かにすがりたくて、ライの首に手を伸ばした。触れる柔らかい長い赤い髪、それにすがるようにぎゅっと握りしめる。

「ん…ん…、はぁ…ん…」
「……そんなにくっつかれると、動きづらい」
「……え?あ、」

 知らず身を寄せぎゅうぎゅうと隙間なく、きつく抱きついていたようだった。
 ぱっ と手を離し、目を開けた。
 間近に迫るライのその美しさに、私をじっと見つめる金色の瞳に、胸がまた大きく高鳴るのを感じた。
 ライはどちらのものともつかない唾液に光る口元を、くくっ と笑んで口角をあげた。
 細められた黄金の瞳は、獰猛な肉食獣の光を灯していた。

 ライは私の寝間着の合わせの部分を割入るようにして胸元に手をいれてきた。もう、殆ど寝間着はその体をなしてない。ライの熱い手が輪郭をなぞるように、その感触を楽しんでいるかのように触れられる。

「セラ……」
「ん、やっ……!」

 私の口はまたキスに塞がれる。
 口づけに、ライの手の感触に息が上がる。
 大きく全体の形を確かめるように触れていたそれは、徐々に中央の頂きに近づく。

「んっ……うぅん…!」

 きゅっ とそこを摘ままれると身体中に電気のように痺れが走った。
 ライに触れられる度に、私の身体が熱を伴って輪郭を持っていく。こんな風に体中を誰かに触れられたことなんてない。緊張していたはずの身体から徐々に力が抜けていく。
 ライの手が、熱で私を作り替えていってしまう。
 ライは私の口元からこぼれた唾液を辿るようにして、首筋に口づけた。
 そして唇ではみながら、ゆっくりと耳元まで舐めあげていく。

「あぁん!や……ぅあんっ」
「あぁ、良かった……。傷痕が、消えたな……」

 耳をぴちゃぴちゃと舐められる度に、その音と感覚に、声をあげることしか出来ない。
 ライは私の胸の尖りを刺激しながら、耳を弄び、もう片方の手は器用に私の寝間着をすっかりと脱がしにかかっていた。
 その感覚に翻弄されていると、密着する私の腰に熱い塊が押し当てられているのに気がついた。

(…ライも、私に反応してくれてるのかな…嬉しい…)

 そんなことを熱にうなされる頭でぼんやりと感じた。
 その時、耳の熱さがフッと解放されたかと思うと、その熱さは私の胸の頂きを含んだ。

「…ッ!やあああんっ!」

 甘い、痺れるような刺激――。
 たまらずライの頭を両手で抑え込もうとして目を開けた時に、ライの赤い舌が、私の敏感な桃色の尖りを口に含み舐め転がすのが見えた。そんな姿に改めて羞恥に身が自然とよじれる。
 ライの手の中で形を変え、そんなことをしながら、私をじっと見つめてくる金色の瞳を直視することなんて出来ない。
 いつの間にか右の乳房もあらわになり、乳房をぐにぐにと押し付けるように揉みしだきながら、頂きを押し潰すように触れられる。
 その感覚に頭がいっぱいになっているところに、いつ間にか私のお尻を下着の上からをまさぐっていた左の手は、ぬるつく脚の間へと進んでいた。
 触れなくても濡れているのが分かってしまう、薄布が張り付いてしまったそこに、くちゅり、と下着の上から触れられる。
 撫で上げるように、下から上へとゆっくりと。下着越しのその輪郭を確かめるように、何度も。

「~~~~~っっ!」

 びくんっと身体が跳ねた。あられもない声を上げるのが恥ずかしくて、咄嗟に右手の甲にかじりつくようにして口を覆った。
 下着の上から触れていた指は、下着の横の隙間から、徐々に直に蜜壺へと侵入してきた。

「ふぅ…んッ」

 くちくちと恥ずかしい蜜音が聞こえる。
 ライがそっと私の胸元から顔をあげ、私の手のひらに口づけた。

「―――セラ、お前の声を聞かせろ 俺の喜びを奪うな」
「……ふ、やぁ……」

 手のひらを押しのけ、また唇を重ねる。
 ライは私の手をそのまま上で抑えると、私の脚から濡れた下着の紐を外しはぎ取ってしまった。そしてライの指は私の蜜液をまとわせ、私の蜜口をくるくるとすくうように触れてくる。
 初めての感覚に腰が逃げそうになるが、私の脚の間にはライの硬い身体があって、逃げようにも、閉じることの叶わない脚は刺激に震えるばかりだった。

「あぁん……ラ、いぃ……」

 ふ、と唇が離れた瞬間、あろうことかライの赤い髪が私の脚の間へと降りていく。
 え、そこは――!

「え、ちょっと、やだやだ…!ライ!そんなの、やめ、や、ぁあ……!」

 私の声など無視して、熱い舌がそこに這わされた。
 先ほどまで交わしていた熱いキスのように、ゆっくりとゆっくりと舐め上げられる。必死にライの頭を抑え込んでみたものの、羞恥と初めての背中をゾクゾクと這い上がるような快感に、力がでない。
 そして、ライの熱い舌は、私の敏感な蕾を ぢゅうっ と音を立てて吸い上げた。

「ーー!!やぁああっ……!!」

 思考が奪われる、強すぎる刺激。
 それだけでも過ぎる快楽なのに、蕾を舐め溶かされながら、さっきまでは浅瀬をくすぐるだけだった指がぐちゅっと性急に中に侵入を始めた。
 潤んだそこは、たやすくライの指を受け止めてしまった。
 中を探るように、ぐちゅぐちゅと動かされたそれは、私の敏感な一点を擦りあげた。

 ぞくっ
「やぁ、ライ、それ、やあああ…」

 中と外から挟み込むようにぐりゅぐりゅと熱く追い立てられる。そ、れ以上したら…!

「やああああ、ライぃい…、や……ッっ!ああああ!」

 三本目の指がひきつる粘膜にずくっと突きさされた瞬間、蕾もきつく吸い上げられた。
 目の前に真っ白な光がチカチカと点滅する。
 その耐え切れない快感に私の身体は初めての絶頂を迎えた。
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