上 下
116 / 150
涙のハトぷっぷ〜

116ページ

しおりを挟む


赤ちゃんの名付け親はユリコ。


ユリコにとって、生まれて初めて血の繋がった家族だ。


女の子。


名前は百合亜(ユリア)だ。


本心を言う。


一切 身寄りのないユリコは、紛れもなく血の繋がった赤ちゃんに自ら命名したいと、自分の分身だと、百合亜の亜は分身を意味すると、名付けに挙手。


なるほどと納得し、俺も賛成。


仕事で忙しい中、都合をつけて立ち会った出産。


母親になったユリコは、それはそれは美しい顔を崩して涙の御対面だった。


優しく赤子を包むしなやかな腕と表情は、未経験とは思えない。絵になる。愛がある。


ユリコからの愛情を一身に受け、まさに今にも壊れそうな硝子の天使を「パパよ~」と俺に渡す。


小ちゃ! 軽っ!


いやね、正直な話、抱っこしても実感がない。


大切なのは分かる。か弱いのも分かる。


だけど『父親になったぞー!』って感覚は薄いんだ。


産まれたての赤ちゃんって、なんか生々しくて、赤くて、モゾモゾと弱々しく動く物体。


映画やドラマで見る感動の御対面って感じじゃない。


子宝っていうけど、父としての実感があまりにも乏しい。


物体Xだ。


10カ月もの間、為心胴体の血肉を分けた母子とは、注ぎ込む愛情の入り口からして違うと思う。


俺は異常だろうか。


変態なのは間違いないが、これから一家の大黒柱として養う糧として、子を想う心が欠落していないだろうか。


ハッキリ言って自信がない。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

山縣藍子のくすぐりシリーズ

藍子
大衆娯楽
くすぐり掲示板したらばの【君の考えたくすぐりシーン】スレで連載していた大人気?(笑)シリーズの藍子のくすぐり小説です。

夫の妊娠

廣瀬純一
大衆娯楽
妊娠した妻と体が入れ替わった夫が妊娠して出産をする話

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

徹夜でレポート間に合わせて寝落ちしたら……

紫藤百零
大衆娯楽
トイレに間に合いませんでしたorz 徹夜で書き上げたレポートを提出し、そのまま眠りについた澪理。目覚めた時には尿意が限界ギリギリに。少しでも動けば漏らしてしまう大ピンチ! 望む場所はすぐ側なのになかなか辿り着けないジレンマ。 刻一刻と高まる尿意と戦う澪理の結末はいかに。

野球部の女の子

S.H.L
青春
中学に入り野球部に入ることを決意した美咲、それと同時に坊主になった。

“やさしい”お仕置き

ロアケーキ
大衆娯楽
“やさしさ”とは人それぞれです。

6年生になっても

ryo
大衆娯楽
おもらしが治らない女の子が集団生活に苦戦するお話です。

処理中です...