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涙のハトぷっぷ〜
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しおりを挟む赤ちゃんの名付け親はユリコ。
ユリコにとって、生まれて初めて血の繋がった家族だ。
女の子。
名前は百合亜(ユリア)だ。
本心を言う。
一切 身寄りのないユリコは、紛れもなく血の繋がった赤ちゃんに自ら命名したいと、自分の分身だと、百合亜の亜は分身を意味すると、名付けに挙手。
なるほどと納得し、俺も賛成。
仕事で忙しい中、都合をつけて立ち会った出産。
母親になったユリコは、それはそれは美しい顔を崩して涙の御対面だった。
優しく赤子を包むしなやかな腕と表情は、未経験とは思えない。絵になる。愛がある。
ユリコからの愛情を一身に受け、まさに今にも壊れそうな硝子の天使を「パパよ~」と俺に渡す。
小ちゃ! 軽っ!
いやね、正直な話、抱っこしても実感がない。
大切なのは分かる。か弱いのも分かる。
だけど『父親になったぞー!』って感覚は薄いんだ。
産まれたての赤ちゃんって、なんか生々しくて、赤くて、モゾモゾと弱々しく動く物体。
映画やドラマで見る感動の御対面って感じじゃない。
子宝っていうけど、父としての実感があまりにも乏しい。
物体Xだ。
10カ月もの間、為心胴体の血肉を分けた母子とは、注ぎ込む愛情の入り口からして違うと思う。
俺は異常だろうか。
変態なのは間違いないが、これから一家の大黒柱として養う糧として、子を想う心が欠落していないだろうか。
ハッキリ言って自信がない。
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