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コンクリートサバイバル
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しおりを挟む懐中電灯の光をモロに浴び、今自分の置かれている状況を把握する間もなく「何やっとん?」と質問された。
光の主は百貨店の警備員だ。
忍び込んで泊まろうとしたなんて言えるはずもなく、黙っているしかなかった。
警備員室に連れて行かれたが、警備の偉いさんは事を大きくしたくないと言い、ほとんど被害もなかったことから今回だけは大目にみると言い、警察にも通法されず深夜の街に放り出された。
何でこうなったんだろう?
今思えば、ユリコとはぐれた直後に百貨店の館内放送で呼び出せば良かったじゃないか。
今頃ユリコは綺麗なホテルに泊まってフカフカのベッドでぬくぬくと眠ってるんだろうなぁ……。うらやましい。
深夜にユリコを探したって無駄だ。
途方にくれて時計を見たら夜の1時。
ああ……昨日からなにも食べていない。腹減った。
仕方なくファミレスに入って、1番安いソーダ水を頼んだ。
あまり眠ってないから座ったままウトウトしていたら、店員が俺の肩を叩き『眠ったらダメ』と言われ、いやでも襲われる睡魔との葛藤を繰り返し3回も同じ注意をされた。
これからどうしよう?
ユリコを信用し、あいつも俺を探していると願って、この大阪ミナミからは離れないでおこう。
だが生きていく金もない。
残りの所持金は100円。ユリコは100万円なのになぁ……。
飲食店に入れる資金はこれで最後だろう。
他のテーブルを見ると、幸せそうなカップルの女の方がハンバーグ定食をほとんど残し、2人は店を出て行った。
ーーもったいない!
店員は忙しそうで、女の残したハンバーグ定食を片付けに来ない。
俺は女の席に移動し、残飯を食った。泥棒じゃないもん!
ああ……なさけない。
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