不老不死カクテル47

0014 福岡 ダイ

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連載漫画家っていうのはね、辛い仕事だよ。


スケジュールが詰まると徹夜が続き、平均睡眠時間が3時間を切る。


何もしてないのに8kg痩せたりする。


このままじゃストレスでダメになると思い、敢えて体にムチを打ち纏（まと）めてストックを溜める。


上手くすると2話分ストックを溜めて眠り、ストレス発散へも繰り出せる。


ただね、これはもう職業病なんだ。


遊びに出掛けても常に頭の片隅から離れないのは漫画のこと。


漫画の神様である手塚治虫さんの名言がある。


『良い漫画を描きたかったら、一流の映画を観ろ！  一流の小説を読め！  一流の舞台を観ろ！  他の漫画から学ぼうとするな！』


分かる！  解るよ！


十年選手になって、ようやく理解した神様の言葉。


生活全てがアイデアの源（みなもと）だ。


漫画は絵を描いた上に文章も書けるから、漫画の機能をフル活用したい。


絵にかぶせて一人称の『主観性』と三人称の『客観性』を同時に描ける。


優秀な漫画家は、これを容易くこなす。


ダラダラとしたストーリーでは、たちまち読者は見捨てるから、キャラクターへのピンチを演出せねばならない。


ピンチに次ぐピンチの連続の演出。


不思議な世界だよ。


小説でも同じだが、何しろ自分1人の脳内で喧嘩をするんだ。いや、しなければダメ！


主人公が断言する事、行動する事とは真逆の悪役が、如何に悪い奴かを演出し、悪役には悪役の善行が存在し、実行する。その行動で主人公は苦悩した上、更に死ぬほどの体験をし、心を折る。


もはや抗う術（すべ）無し！


と読者は目を惹くが、大どんでん返しネタを事前に仕込んでおいた伏線の回収で爆発し、ハッピーエンドへと誘う。


ハッピーエンドは共感を引きずり出し、『読んで良かった』と お金を払った読者も満足だ。


完結して読者から続編の希望が殺到するが、続編は書かない。


アイデア作であればある程、2作目は駄作へと陥りやすい。


ただ1つ言えるのは、何にでも応用の利く汎用性（はんようせい）があるアイデアなら話は別。


その極みは『カクテル』


ボクはネタ集めを兼ねて財善ビルの最上階に位置するBARへ行った時、カクテル能力者となった。


ボクは断言する。


人間の考え得る全ての物事へ応用が効くカクテル。


カクテルは汎用性の極みだった。