不老不死カクテル47

0007 滋賀サルトビ

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「猿飛くん、エイリやんを知っているならナナも知り合い？」


「拙者はナナの住むマンションの保証人でござる」


「ふーん なるほど。今丁度ねえ、伝説になりつつある能力候補者がいて、うちら運営はその個人情報を突き止めたの。名前は栄治さんよ」


「栄治さんでござるか」


「GPSを見て」


拙者はミレイさんと同時に見れる様にスマホをカウンターへ置いた。


「極端に大きく強い黒の点があるでしょ？」


「たしかに」


「その点が栄治さんよ」


「しかし伝説とは何でござるか？」


「おそらく革命的な何か」


「悪い事でござるか？」


「分からない。ただ、これはおそらくカクテルというシステムへ齎（もたら）す避けられない運命や宿命の類。

例えるなら、計算機として始まったコンピュータが、いまや人工知能として人々の職業を奪っているでしょ。

人の役に立つ目的でスタートしたコンピュータが、真逆の存在となりつつあるわ。

カクテル技術も、コンピュータと同じで汎用性（はんようせい）が高いの。

能力の高さが極めて高い才能の栄治さんは、カクテル技術に革命を起こすかも知れない。

故に栄治さんとの接触に、ナナを充てたわ。

調べでは、栄治さんは出会い系カフェの会員。

丁度ナナはそこへ通っているの。

だから近いうちにこのBARへ連れて来させる予定よ」


「不老不死が可能なカクテルに革命でござるかー」


「これはマスターも知っていることだけど、偶然にも栄治さんもナナも投稿小説の作者で、栄治さんはナナの書いた小説へレビューをしたそうよ。

でも私はカクテル能力者を沢山見てきたから言えるけど、偶然より必然的な流れだと思うの」


「何故でござるか」


「カクテルの素質がある者同士は、お互いに引き寄せ合うの」


たしかにその傾向はある。


「うむ、ナナもエイリやんもお互いに知り合うには偶然過ぎる気もするでござるなぁ」


「そう、この近い内に大勢の能力者が引き寄せ合うはずよ」


「そうなると、何が起こるでござるか？」


ミレイさんは天を仰ぎ、真剣な眼差しを拙者に向けた。


「多人数によるカクテル世界の共有……」


なぬ！？  大勢の脳みそを共有する事態か。


「カクテル世界の相乗りでござるか？」


ミレイさんは深く頷いた。