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8月12日

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 バシャリとあぜ道の水たまりを自転車で踏み抜く。泥まじりの水が跳ね上がるが、私はそれを気にもせず秘密基地への道をひた走った。

 空にはまだどんよりと厚い雲が覆っていたが、雨は降っていない。天気予報では1日中、曇りのマークで埋め尽くされていた。私はそれを見て、傘も持たず自転車に飛び乗ったのである。

 秘密基地に着くころには私のズボンの裾は泥まみれで、自転車から降りる際にそれに気がついた。しまったと少しげんなりとした気分になったが、高架下に桜の姿を見つけてそんな気持ちはすぐに吹き飛んだ。ソファの近くには桜の物だろうピンク色の傘が立てかけられていた。

「桜っ」

 片手を上げ、呼びかける。ソファの上で漫画を読んでいた桜は視線をこちらに向けると、目ざとく私のズボンの汚れに気が付くと「どろどろ」と呟き、微かに笑った。

 私も桜の横に座り、開かれた漫画雑誌を覗き込む。しばらくの間2人で漫画を眺める時間が続いた。と言っても私は漫画の内容なんて頭に入ってこなく、触れ合った桜の体温や感触、ほんのりと甘いような香り、そういったものに心を奪われていた。桜がページをめくるたびにこすれ合う肌のくすぐったい感触にドキドキと胸が高鳴った。

 初めて出会った時と同じ、白いワンピース姿の桜に視線を這わせる。胸元から見える鎖骨や、ワンピースから伸びる白い足、そして何よりも漫画に夢中になっているその横顔から目が離せなかった。長いまつ毛に縁取られた瞳が、瞬きのたびに見え隠れする。すっと通った鼻筋。薄く色づいた唇はぷっくりとしていて、先日のキスの感触を思い出させた。私は無意識のうちに自分の唇を手でなぞっていた。
 
 そんな私の視線に気が付いたのか、桜はこてんと首を傾げ、こちらを向く。私は思わず息をのみ、身体を固くした。私は「……あ」と口を開き、そのまま何も言葉を発せなかった。桜はそんな私の様子を見て少し笑うと、ゆっくりと顔をこちらに近づけた。ちゅっ、と私の上唇をついばむと、そのまま顔を傾けて唇と唇を重ね合わせた。

 ちゅっ、ちゅっ、と何度もついばむような口づけをされる。柔らかい唇の感触に頭がくらくらとした。私は桜の細い肩をぎゅっと抱き寄せ、夢中で唇を合わせていた。息が苦しくなりどちらからともなく唇を離すが、すぐにその感触が恋しくなりまた口づける。

 どれだけの時間そうしていただろうか、触れ合うだけの口づけは次第にお互いの唇に舌を這わせるような形に変化していった。きっかけは桜からだったと思う、私の下唇をチロチロと舐め始め、私もお返しと言わんばかりに桜の唇に舌を這わせたのだ。

「んっ、ちゅっ、んちゅ、……フフっ、ぁむ、ぁー」

 そんなことをしていると、不意にお互いの舌が触れ合った。その時の私の顔はどんな表情を浮かべていたのだろう。桜は一瞬目を見開いたがすぐに微笑み、私の舌に自分の舌を絡ませるように動かし始めた。
 
「んぅっ、ちゅっ、ふっ、んっ」
 
 ぴちゃぴちゃという水音と共にお互いの舌が絡み合う。舌のざらついた表面が擦れるたび、背筋にぞくぞくとしたものが這い上がってくるような感覚を覚えた。私は堪らず桜の細い肩を抱き寄せると、そのまま押し倒して小さな桜の身体の上に覆いかぶさった。
 
「あっ、んっ、……はぁむっ」

 口元がお互いの唾液で汚れるのも構わず私たちは舌を絡ませ合った。より深く、より激しく私は夢中で桜の口内を貪った。

「ちゅっ、んちゅっ、……ふぁっ、ぁむっ」
 
「んっ! はっ……んむっ!」

 靄のかかったようなぼーっとした思考の中、不意に股間にじんわりと熱い快感が走った。射精の時の激しい快感とはまた違った気持ちよさが込み上げてくる。断続的に身体を走るそれは、陰茎の先からとぷりとぷりと何かを吐き出し私の下着とズボンを汚したのだった。

「ふぁっ、はっ、ぁっ、ぁぁ」

 唇を離し、快感に身を震わせる私の背を桜は優しく撫でていた。

「……せいえき、出ちゃった?」

「ぁ、わかんない。何か気持ちよくて……」

「見せて」

 桜は身体を起こすと、私のズボンに手をかける。私はされるがままにズボンと一緒に下着がずり下ろされた。まだ硬さを保ったままの陰茎は濡れそぼり、先端の割れ目から白く濁った液体を漏らしていた。

「せいえきかな?」

 桜は人差し指で私の鈴口から漏れ出る液体を掬い、塗りこむように頭にくるくると指を這わせた。その刺激で私の陰茎はぴくぴくと震え、またとぷりと残った汁を吐き出した。

 思わず腰を引いた私を、今度は桜が上になる様にソファに身体を入れ替えた。そのまま桜は私の股の間にしゃがみ込み、顔を陰茎に近づける。ふーと、陰茎に桜の熱い息が吹きかけられた。その刺激だけで私の陰茎はヒクヒクと大きく震えた。

 そのもどかしさに声を上げようとした時、ぱくり、と桜の唇が私の陰茎を咥えた。

「ああっ――!」

 突然の刺激に私は声と身体を震わせた。桜はそんな私の様子などお構いなしに、口をすぼめて私の亀頭を吸い上げた。じゅぞぞぞと激しい音を立てそのままに頭を前後させ始めた。じゅぽ、じゅぽっといやらしい水音が響く。さらに桜は口内で舌を動かしながら、鈴口をほじくるように刺激した。

「ひっ、あっ、あっ、あぁ! さ、くらぁ……っ」

 その快感に私は思わず腰を浮かせるが、それを押さえつけるように桜は両手で私の腰をがっちりと掴んだ。

「んっ、じゅっ、ぐぽ、ぐぽっ、あ、む、じゅ、じゅぞぞっ」

 逃げられない激しい快感に、私の頭の中は真っ白になっていた。私の腰も自然と桜の動きに合わせ、桜の口内に陰茎を擦りつけるように動いてしまう。

「あっ、さ、さくらっ! で、出る、出ちゃうっ!」

「んっ、んむっ! あむっ、じゅぞぞぞぞっ」

 そんな私の言葉を聞いても桜は口を離そうとせず、むしろより深く私のものを咥え込むと激しく頭を前後させた。

「あっ、――ああぁっ」

 私は身体を大きく震わせると、桜の口内にびゅるびゅると精液を吐き出した。桜は射精の間も口を離さず吸い付き、喉を鳴らして私の精液を飲み込んでいく。最後の一滴まで搾り取るように桜は私のものを吸い続け、ようやく口を離したかと思うと最後に舌先で鈴口を擦り上げた。

 全身から力が抜け、ソファに身体を沈ませていると不意に尿意が込み上げてきた。立ち上がろうとするが足に上手く力が入らない。

「……桜っ、どいて、おしっこっ」

 桜が身体を横にどけ、私もよじる様に身体を動かした瞬間、耐え切れずに私の陰茎から弧を描きながら尿が噴き出した。

「あ、……あぁ」

 私は羞恥と快感の入り混じった声を上げながら放尿を続けた。

「しーしー」

 そんなことを言いながら、桜は私の様子を見て微笑んでいた。顔が熱くなり、私は尿が止まるまで視線を逸らしそっぽを向いていたのだった。
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