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8月5日

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 その日の気温は、この夏感じるものとしてはもっとも高かった。竹原商店でアイスを2人分買い、秘密基地へと自転車を急いで走らせる私の背中を容赦なく太陽が焦がしていた。

 棒付きアイスが何とか形を保っている間に秘密基地にたどり着いた私は、ソファでぐでっとしている桜にアイスを1本渡した。2人で溶け始めたアイスを無言で食べ始める。汗をかいた体にソーダ味が染みわたる。あっという間に棒だけになったそれを、私はしばらく歯で噛み、口元で遊ばせていた。

「はずれ」桜が食べ終わった棒の当たりくじを確認し、はずれの文字を見せてきた。私もはずれの文字が書かれた棒を見せるとアイスの袋に棒を突っ込み、桜の分も合わせて自転車のカゴに放り込んだ。

 風も無く、むっとした空気が高架下に留まるばかりで、汗を吸ったTシャツが肌にまとわりつく。

「――そうだ、段々滝にでも行こうか」

「段々滝?」

 首を傾げる桜を連れ、高架下からさらに奥、山道を登り少し森に入ったところにその場所はあった。

 段々滝とは匠と夏希に教わった場所で、段々滝という名前も2人から教わったもので正しい名前は分からない。滝とは言うが大げさなものでは無く、当時の私の肩辺りの高さほどに重なった石から水が流れ落ち、子どもが遊ぶのにちょうどいいくらいの滝つぼが出来ている場所だ。そこの水が秘密基地近くの小川まで流れてきている。

 到着した私たちは、まず靴を脱ぎ水に足をつけた。水の冷たさがジンと足から頭へ抜けていく。桜も「気持ちいい」と足で水をパシャパシャと跳ねさせていた。ただすぐに水から上がったと思ったら、桜は服を脱ぎだした。あっという間に下着1枚になると、残った下着もスルリと脱ぎさり、生まれたままの姿になった。そのまま身体を水の中に潜らせると頭を水から出し、「たっくんも」と言った。

 私は一瞬、戸惑ったが言われた通り服を脱いだ。高架下の日陰の中では無く、太陽の照り付ける明るい場所で裸になるというのは、今までとはまた違った恥ずかしさがあった。桜が水の中から眺めている中、下着を下ろすと私の陰茎はピンと上を向いていた。桜の裸とこの状況に興奮したそれを、隠すように水に飛び込んだ。

「――きゃっ」

 ドボンと大きな水飛沫を立て桜が小さな悲鳴をあげた。ハハハと笑い、頭まで水に浸かる。揺れる水の先に見えた桜の裸は、降り注ぐ太陽の光を受けキラキラと輝いて見えた。水の中で桜がこちらに近づいてくるのが分かった。小ぶりの胸が揺れ、つるりとしたお腹、その下の割れ目がチラチラと見える。その光景をいつまでも目に焼き付けていたかったが、息も続かなくなり水面に顔を出した。

「ぷはっ」

 水面から顔を出し、深く息を吸う。桜は私のすぐ傍まで迫っており、「えいっ」という掛け声とともに私に抱き着いてきた。私は慌てて桜を抱きとめた。冷たい水の中、肌と肌が触れ合った場所から桜の体温が伝わってくる。小さくても確かな柔らかさを感じさせる胸が、ぐにゅりと私に押し付けられ、その先端の乳首の感触まで私の胸に伝わってくる。

「おちんちん、かたい」

 当然、勃起を保ったままのそれは桜の下腹部にグリグリと押し当てられていた。皮が捲れ剥きだしになった亀頭が感じる微かな快感を、もっと得るために私は無意識に腰を押し付けていた。

 桜の身体を支えるための手を少し下にずらすと、桜のお尻に手が触れていた。その柔らかさと吸い付くような弾力に、私の手は無遠慮に桜のお尻を揉みしだいた。

「ひゃっ、あっ、ん、むー」

 桜はお返しと言う様に私の首筋に吸い付いてきた。ちゅう、ちゅうと吸い付き、離れを繰り返す。こそばゆさを感じながらも、私の手は桜のお尻を揉みしだくのを止めなかった。手の中でぐにゅぐにゅと形を変えるその心地よさを味わっていたかったのだ。

「はっ、あっ、ふ、んんっ……えっち」

「……えっちなことしてる」

 今更な話だった。お互い子どもなのにこんな事をしている――そんな罪悪感がわずかによぎったが、それは不意に訪れた快楽にかき消された。

 桜のお腹に押し付けられていた私の陰茎が、ズルリと桜の股の間に入り込んだのだ。桜の股を私の陰茎が押し上げる。

「……あっ、おちんちん挟まっちゃった」

 きゅっと桜は太ももを寄せる。そのまま私は腰を前後に動かした。桜の秘裂を擦りあげるように動くと、桜もそれに応えるように腰を揺すり始める。にゅる、ずりゅと、桜の柔らかい肉の割れ目に、それとは正反対の硬い肉の棒を押し付ける行為に私は夢中になった。

 お互い抱き合いながら水の中でユラユラと揺れ、体を擦り合わせながら息を荒げる。

「ハァ、ハァ、くっ、はっ、せ、精液でそう」

「んっ、あっ、ふっ、あふっ、う、うん」

「さ、桜は気持ちいい?」

 そう尋ねると桜は熱い吐息を漏らしながらコクリと頷く。

「あそこ……おまんこ、ぐりぐりってされるの、すき」

 その言葉を受けて、私はより押し付けるように腰を動かし、桜もその動きに合わせるように腰を押し付ける。それを何度も、何度も繰り返すうちに限界が近づいてきた。力いっぱい桜を抱きしめ腰を振る。押し当てられた桜の乳首の硬さは、最初のころよりはっきり感じられた。最後にグリと桜の女陰に押し付けると、ビクリと震え今までで一番大きな声をあげた。

「あっ! くぅ――っっ、はっ、はっ、……はぁ」

 それと同時に、私も精液を水中にまき散らした。何度も陰茎が脈動し、透明な水に白濁液をばら撒く。びゅる、とようやく最後に残った精液が漏れるように零れ、私の射精は終わった。

 その余韻を感じながら私たちはしばらくの間、抱きしめあったままだった。快感では無く、体の冷えからブルリと震えがくるまで……。

 水から上がった私たちは、裸のまま近くのツルリとした大きな石に腰かけた。日はまだ高く、濡れた身体を乾かすには十分の日差しが降り注いでいた。――ペタリと、隣にいる桜と肩が触れ合う。しっとりとした肌と、体温を感じながら私たちは無言のまま、流れ落ちる滝をぼーっと見ていた。

 身体も十分に乾き服を身にまとうときは、脱ぐ時とはまた違った照れくささを感じた――。

 秘密基地へと戻る道の途中、私は裸で触れ合った肌の感触と温かさが忘れられず、なんだか心がフワフワしたような気分でいた。すると突然、桜が私の左手をきゅっと握りこんだ。思わず足を止めると、桜は「どうしたの?」とキョトンとしたような顔で私を見つめていた。

「……いや、急に手を……」

「嫌?」

「……嫌じゃない」

 いままでしてきた行為と比べたらなんてことは無いそれに、私の胸は高鳴り、ドクン……ドクンと鼓動はどんどん大きくなっていく。柔らかな手を握り返しながら、私たちはまた歩き始めた。

「ふんふーん、ふふふ、ふーふふふー」

 桜の鼻歌を聞きながら、私は胸の高鳴りを悟られまいと、ただ地面を見ながら歩みを進めた――。
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