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ススム編、第一章。《Lv255の赤ちゃん爆誕》

45《受付嬢》

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「ふぅ、とりあえずひと段落ってとこか」
額に汗もかいてないのに額を拭く、まぁなんとなくだな。

そんな俺に頭を下げてお礼を言ってくる奴ら。

「ありがとうございます!! ほんっとーにありがとうございます!! このご恩は一生忘れません!! 必ず団長の役に立つよう身をこにして働かせて頂きます!!!」

「まさか……またこうして、普通に歩ける日がくるなんて……おっ俺も!! 良ければ……団員にして頂けませんか!! 弟と共に身を粉にする気持ちです!!」

暑いって言うか、通り越すとうざいとも感じるものなんだなぁ。

まぁこいつは今回入ってきた団員の一人で、兄が病気って言ってたヤツだな。
エリクシールをやっただけだというのに……ここまで感謝されるのもちと気まずいというか……

……そもそも、あの程度の死病なら、泉の回復薬でも時間はかかるだろうが回復してた訳だしな……

「んーギルドの定員が今は一杯だからな、団員にすることは出来ないが……適当に弟と一緒に依頼こなしたらいいんじゃないか? 俺は依頼さえこなしてくれたらいい訳だし、身を粉にする必要も無い、ただ無理せず確実に依頼をこなしてくれ、無理してこなせる依頼を失敗される方が、ギルドの評価にもかかわるってもんだからな」
当然の事をとりあえず言ってみた。
ゲームで団長してたからな、新人とかが良く身を粉にして~なんて行ってくること多いから、よく固定文で返してたのを思い出すな。

「……わかりました!! 依頼は確実にこなすように頑張ります!!」

「弟がミスしないよう、フォローを頑張らせて頂きます!!」

「分かればいい、ていうか今日から領地に住むんだろ? 家の事とかあるだろうし、俺の事は気にしなくていいからさっさと行ってこい」

「はい!!」「本当にありがとうございました!!」

はぁ……今度こそひと段落ってとこだな。
仲のいい兄弟だなーって思うよ、2人して泣きながらマンションへ向かっていった。

リズの報告では、団員20名、団員の家族が34名、合計54人の入居者が領地に増えたってことになるのかな。

……ふむ、路頭に迷わす訳にもいかないしな、流石に少しは団長として頑張らないとな。

と、言う訳でだ。

「団長……ここって」

とりあえず呼び出したのはリズ、呼び出した理由はまぁ……

「リズに仕事を与えようと思ってな、今日からギルドの受付嬢をしてもらいたいんだけど、いいか?」

「へ?」まぁ当然の反応だよなぁ。
ギルドの受付嬢って、実はギルドの結構深い所まで知る事になる職だからな、実はかなり信用がおける人しか配置できないんだ。

それに……このギルドにはまだ受付嬢の一人もいないのは、こうして空っぽのギルドを見たら一目瞭然。

頭のいいリズなら理解してるだろう。

「だっだんちょう!? 見た感じ他の受付の方が居ないのですが!?」

「ん? 当然だろ、このギルドハウスは今日作ったとこだし」

「えぇ!? こっこの規模を……今日!?」
こくこくと返事を返す、ねこのこから学んだんだが……面倒なこと押し付ける時は、無言でこの返事がいちばん効率的だと思う。

「でっでも、そうなると……私がギルドの管理をするってことになるのでは!?」
こくこくと頷く、だって……俺、そーいうの苦手。

「むっむりですよぉ~確かに、サウザント・ライスでは少しの期間ですが受付嬢もしたことはありますが、こんな規模の大きなギルド、しかも執務長も兼ねるなんて……私には無理です!!」

「へぇ……元受付嬢ね~」

「あっ……」しまった! みたいな感じに口を抑えるリズだが、残念だったな。もう遅い。

「丁度いいじゃん、うちのギルドには信用出来る他所の人材もいなければ、受付嬢なんて柄の奴もいないからな、リズ……頑張れ!」

「えぇーーー!?」

と、かなり動揺するリズであったがまぁ、俺も鬼じゃない……様子を見てダメそうなら、諦めて外から受付嬢雇おうと思ってたんだけどな。

テキパキ、てきぱき、てきぱき。

「リズ、それなにしてんの?」
俺が見ても何してんのかさっぱりな事を、さっささっさと動き回りこなしているのが気になって聞いてみた。

「明日にはギルドを開くって言ったの団長じゃないですか!! ギルドを開くってなると、まず書類等の把握は絶対です、依頼もあんな机に置きっぱなしなんてありえないです! クエストボードに張らないとだし、待合所の配置もこのままですと受付に来る方の邪魔になりかねませんので────」

うん、リズに任せよう。……ていうか、俺は邪魔そうだな。

「リズ、何か必要なものとかあるなら言ってくれ」

「えぇと、とりあえず受付をする人員をせめてもう2人、酒場もあるので料理人も欲しいですね、それから……」

つまりあれだ、人手不足っていいたいのね? まぁ……リズ1人でやらせるには流石にえげつない規模のギルドだとはわかるけど、んー

「ちなみに、サウザント・ライスから来たやつでできそうな奴とかいるか?」

「あっはい! それはもうそちらのメモに書いてます、あとこれ必要なもの物資を書いたメモです!」
……手際良すぎだろ!? 絶対受付嬢少ししかした事ないの嘘だろ……ていうか、リズって魔力の総量かなり低いし、こっちの方が天職じゃないのか???

「だんちょう! そこ今から移動させるので退いてください!!」

「あっはい……」邪魔そうなので、ギルドから出て、リズに渡されたメモ通りの物資等を用意することにしよう……

なんだろう、団長なのに肩身が狭いこの気分。

でも、明日か……明日からとうとうギルドを始めるんだなぁ

シルマとか居たが……こうして、ギルドをまた構える日がくるなんて思わなかったな。
人の生活を預かる事になる、明日からは少し気合を入れて頑張るとするかな! たぶん!


♢

作者ページ《大切なお知らせ》


第1章《Lv255の赤ちゃん編》ここで終わりです。

良ければ、ブクマ、感想して頂けましたら作者のモチベがあがります!
誤字報告あれば教えて頂けましたらとても助かります。

次章は少し寄り道にお付き合い下さい。

別編で書く予定の、この物語のヒロイン?なねこのこの過去です。

何故すすむがこうして転生することになったのか、その理由だけがわかるかもなものとなってますので、読んで下さるとこの小説がより深く楽しめるかもしれません。

かなりシリアスな内容となります。

読まなくても、そのまま第2章を読んでも大丈夫な仕様、楽しいまま読みたい方は、ねこのこ編をスキップし、第2章へ向かってください。
作者からでした。
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感想 5

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