41 / 82
ススム編、第一章。《Lv255の赤ちゃん爆誕》
40《回復薬》
しおりを挟むここはランクアップクエスト会場にある、少し広めの控え室である。
茶色い長い髪がたまに当たるのがこそばいが、まぁ快適だよな~やっぱ赤ちゃん最高だわ。
ちなみに俺はもちろん、3回戦を終えて待機中なのだがな、座るリズの膝の上で抱っこされてるって訳だ。
「なでなで、ぎゅ~~気持ちいいですか団長?」
「グッジョブ!」「グッジョブ? ですか?」
ついネット用語出しちまったわ。
まぁ俺の事はいっそいいとしてだな、今は俺の目線の先でおもろい事やってるな。
「ふぇぇ!? みっみなさん謝らないで下さいですぅ~!!」
慌てて……あっ転んだ。
あの少し抜けてる感じのロリロリ、まぁミルクだな。
戦闘が終わるなり、魔力不足が原因でさっきまで気絶してたんだけどな。
目が覚めると冒険者共のほとんどがああやってミルクの元に集い今までの非礼を詫び出したって訳だ。
……あのミルクの性格からして、これはある意味罰ゲームに近いのかもなぁ。
たぶんいじめぐらいに思ってるかもしれんな、ふえぇ~とか言いながら、顔真っ赤にして今にも泣きそうだ。
そろそろ助け舟出してやるかな?
「おーいお前ら、その辺でやめてやれよ~」
ギルドってのは会社で、団長である俺は社長みたいなもんだからな、鶴の一声だ。
「はい!!」という声と共に、謝罪はストップされた。
「まぁ、今回で分かったと思うが……回復魔道士ってのは、基本攻撃しない職だけどかなり優秀で重要な役割を担ってる、その事は熟忘れるなよ?」
「はっ!!!」っと、本当にこいつら素直なんだよなぁ。
まぁ素直ゆえにあの馬鹿団長の考えを間に受けてたって考えられるが……正直ものは馬鹿を見るって言うんだっけこういうの?
「さて、次の試合はとうとう準決勝、これに勝てばここにいる全員がうちのギルドに入れる事になる、そしてまぁ……次は俺も少しは手助けするつもりだが、相手は今大会の優勝候補だ、誰一人サボることは許さん!! 気張っていくぞ!」
「はっはい!!」
団長らしいセリフ言ってみたかっただけだったりするが、ちょっと気合を入れてみた。
「……ファイアリー・ハートには痛い目見てきたからな、今度こそ勝ってやる」
「最近やばいやつが入ったらしいぞ」
「それは初耳なんだが、どんなやつなんだ」
入れてみたものの、なんか因縁でもある相手なのか? そもそも気合いは入ってるって感じかぁ
「なぁリズ、次の対戦相手はどんなとこなんだ?」
気になるので尋ねてみた。
「はい、次の対戦相手ファイアリー・ハートは、火属性魔法を扱う剣士が団長を務めるギルドです。ギルドメンバーはその団長の行う凄まじい特訓に耐え、かなりの強さを誇っています。
サウザント・ライス、つまり元々私達の居たギルドは、何度も依頼が被っては……全てを向こうに先を越されてたんですよね」
ふぅん、つまり商売仇って訳かな?
にしても、火属性魔法を扱う剣士かぁ、魔法剣士ってことだよな? つまり……ふむ。
「よしお前ら!! 次の試合……俺が団長倒すから、周りだけよろしく頼む事にするわ」
「!? 団長殿が直々に!?」
まぁ驚くのも無理はないわな。
なんせ俺……こいつらに戦わせてから、ずっと女の子に抱かれてただけの赤ちゃんだったし……
「まっ俺も団長らしいとこ見せとかないとだしな、その代わり……取り巻きなんかに負けんじゃねぇぞ」
はい!!! という、響く返事。
ピンポンパンポーンという音の後、アナウンスはなり始める。
「では、準決勝を開始します」
気合を入れる冒険者達、まぁ今はギルメンだな。
「じゃあとりあえず行くけど、行く前にこれでも飲んどけ」
俺はそう言って異空間収納からアイテムを取り出し、控え室にある椅子に並べた。
あっ……別に変なもんじゃないからな、こう見えてスポーツマンシップとやらに乗っ取るタイプで、こういった真面目な試合では強化薬には頼らない素晴らしい団長です!
なのでまぁ提供する物はつまらない粗品。
「こっこれ!? まさか……エリクシール!?」
ん? まぁ近いっちゃ近いのか? でもそんな高価なもん、数千個は持ってるが使うわけないだろ。
「いや、これは俺の調合魔法で作った、ポーションだぞ? 体力と魔力を全回復するから飲んだ方がいいと思ってな、さっきの試合で結構消耗したままだろ?」
これなら無限近い数持ってるからな、調合Lv上げるために……素材集めに勤しんだ毎日が懐かしいな。
「それってエリクシール……」
「ん? 飲まないのか?」
「のっ飲ませてもらいます、ありがとうございます!!!」
ふむ、さっさと飲めばいいのに……いちいち遠慮するとか、律儀な奴らだよなぁ
「さて、全開したやつから……いくぞ!!」
回復薬を飲み、全回復した俺たちは、意気揚々と準決勝の会場へ足を運ぶ
0
お気に入りに追加
1,158
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
美少女に転生して料理して生きてくことになりました。
ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。
飲めないお酒を飲んでぶったおれた。
気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。
その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
我が家に子犬がやって来た!
ハチ助
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる