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ススム編、第一章。《Lv255の赤ちゃん爆誕》

29《鬼王》

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前門の虎後門の狼ってのは聞いたことがある。

だが現状の俺、前門の鬼後門の化け猫、言葉は違えど意味はほぼ変わらん状況である。

Lv255なら中編に出てくるボスぐらい楽に倒せるだろ? ってねこのこが言ってる気がする……気がするが、ふざけるな! と返してやりたい。

「……中編っても、こいつの強さ……」
ここで出会った場合、ゲームだと確定で死ぬ。
たしか……ゲームのストーリーにおいても、こいつの真の姿時に倒す事が無いことがネットにあげられてたぐらい、こいつの真の姿の強さは運営の設定ミスだってぐらいバケモンなんだ。

Lv255、カンストレベルまでキャラを育てた俺。ずっとゲームの更新を待ってたっけ……

この鬼の存在、絶対アップデート後に来るってさ。

けど、結局ユグシルト・オンラインでは出てこなかったんだ、つまりこいつは……ユグシルト・オンライン2で出てくるかもしれない敵、魔法しかないユグシルト・オンラインでは運営が倒せないと考え、剣等と言った武器も使えるようになった、2に投げ込んだチートボス。

「うぁっと!! って、反則だろ!!」
容赦なく、俺のとこまでひとっ飛びに襲いかかってくるボス、なんとか攻撃は交わしたが……本当に無理ゲーだと思う。

なんせ俺

「なんだそのぬるい風は!!」

さっきから、最大威力のウィンドガン……撃ちまくってんだぞ!?

本来ならこの程度のサイズの敵なら吹っ飛ばし壁に激突させる威力を持つウィンドガン。
パスッパスッと、まるで玉を入れ忘れたBBガンみたいな、残念な音しかしないという。

「ねっねこのこ!!」
逃げるぞ、と、声をかけるのだが……

「ちち、逃げる、だめ」
何がダメなの!? 確かにゲームでもここって逃げられない設定だったけどさ!! わざわざガチで死ぬリアル世界にその設定持ち込む必要あるのか!?

「なっ!? くっそ!!」
よそ見した俺が悪い、ねこのこから視線をボスに戻すともう正面から超強力な鬼の一撃が飛んできた。

とっさに全力でウィンドウェア……からのウィンドアクセルを放ち、キビトの拳から逃げるようにダメージを抑える。

「がはっ!? っっ!!!??」

ドッと音が鳴った気がした、すぐにめりめりめりっとくい込んでくる痛み、視界に映る空間が瞬間に入れ替わるように、俺の身体は吹っ飛ばされた。

ガラガラガラ……

「……転生者も我の的にはならんか、所詮人間は人間……魔王様もどうして人間共をさっさと根絶やしにしてしまわないのか」

手が動かない、足も動かない、魔法も使えない、言葉も出ない。
壁にめり込んだ身体、地面に落ちている。
うつ伏せで……やはり赤子の身体だよな。あんな攻撃に耐えられる訳が無い。

どうやら俺、気絶したようだな。

気絶した状態でも、夢と変わらず現状は見られるようだ。

「次はお前の番だ、ん? ……お前はねこのこ族だな、勇者を育てる者……つまりその赤子は勇者になり得る赤子だったという訳か、魔王様は残念がるだろうな……あの方は、何故か勇者を自身の手で殺す事に固執しているようだからな」

何そのマッドサイエンティスト見たいな思考。
てか、ねこのこ族って魔王側も知ってる存在なのな……そういや、俺が死んだらねこのこってどうなるんだ? 勇者をサポートする役目だったよな……

という俺の疑問、すぐに解決した。

「……ふん、中々に優れた魔力を持っているようだが、所詮魔力に頼るしか脳のない獣に我を楽しませることもできまい、勇者を殺せば勇者から産まれるお前は存在ごと消えるのだろう? ならわざわざ手を下すまでもないな……それに、お前は腑抜けだ、主人がやられそうになってる時も、やられた時も、我に攻撃を仕掛けるどころか勇者をサポートする度胸もない、この勇者の子も、お前みたいな出来損ないのねこのこ族を産まなければ、もっと我を楽しませることが出来ただろうにな」

…………ふむ、長ったらしい説明ご苦労さん。

つまりあれか、俺が死んだらねこのこは……存在ごと抹消されるってことか? ……ん? 抹消ってどういう意味だ? えぇと……確か、ゲームで言うとこの存在の抹消って……

「それは本当か……ねこのこ」

コクコクと頷くねこのこ、相変わらず可愛げがないよな。

つまりだ……ねこのこは、俺が死んだら自身の存在が抹消されるってのに……何故か、俺をこうして勝ち目のないボスと殺らせてるって訳だな。

うん、違うな……こいつはそういうキャラじゃない。

「……ねこのこ、つまり俺は……この失礼極まりない木偶の坊をぶっ倒せるってことか?」

またも、コクコクと頷くねこのこ。

良くも悪くもこいつは嘘をつかない。
いや……結構つくな……けど、こういう時に誤魔化したような嘘をつくような奴じゃない。

「……ほぅ、気絶してないだけでも対した物だと思ったが、まだ我に歯向かう気でいるとは、中々に面白いやつだ」

ていうかな、不思議なもんだよな。

「……お前がねこのこを語るな、ねこのこはお前より強いし、お前みたいな腑抜けじゃない」

なんかこう、ねこのこの事を俺以外が悪く言うのはムカつく。

「ほぅ、口だけはやはり優れたものだな人間よ、けれど口だけならなんとでも言えよう……示すならば、我を倒してみよ!!」

言われなくても……

「ぶっ倒してやるよ!!!」

第2回戦、次はもう……勝つ気で行く!!
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