《ユグシルト・オンライン》最強データから始める俺の異世界最強伝説!!──ではなく、Lv255の赤ちゃんに転生した俺の異世界物語

散歩道 猫ノ子

文字の大きさ
上 下
18 / 82
ススム編、第一章。《Lv255の赤ちゃん爆誕》

17《VSユグシルトゴーレム》

しおりを挟む

魔力操作、魔力を操作する能力。

俺はそれを使うことで、ウィンドウェア……つまり風を纏い、空を飛んだり浮いてたりしてる。

まぁつまりそゆことだな。

俺を鷲掴みにしたゴーレムはトドメと言わんばかりに振りかぶり、俺を地面に叩きつけてきた。

本来ならどんな音がするんだろうな? ドスッとかガスっとか、俺みたいな一歳半の赤子の身体ならベチャッてとこか?

というか俺は言いたい……毎度毎度思うんだが……

「お前ら全員、赤ちゃんの身体に優しくしろ!!!」

ウィンドウェア、俺はただ風を制御してただけで、制御を解けば風は増し、暴風が象る風の鎧にもなるんだ。

「ススム……!? よかったぁ~……」
へにゃ~と腰をおる母さん、の前のやつ……お前心配しろよ。
「ちち、生きてた」
何が生きてた、だよ! 指さす前にお前は風魔法で助けるなり出来てただろ!!
……本当にこいつ、勇者をサポートするための存在なのか疑わしいわ……

と、愚痴ってる間にもこのゴーレムは容赦ないな。

圧殺が無理とわかったんだろう、次は拳を初めから握り、岩の塊となったその巨大な腕を振りかぶり飛んでくる。

ズドンッと鳴り響く地面が弾ける音、空を飛ぶ俺の目の前にはもう巨体のゴーレムが敏捷に現れている。

けどまっさっきので分かったが……やっぱ俺、肉体的にはまじに赤ちゃんだけど、魔法の強さは完全にレベルがカンストした、ゲームの時と同じ性能があるみたいだな。

手を前に翳す。

俺のウィンドウェアはウィンドハンドから派生させた魔法。
これは守りのついでに空も飛べたらなって作ったんだが、ならばウィンドハンドを次は攻撃に特化させてやろう。

ウィンドハンドを何度も使うことで、風の魔力の操作には慣れたものだ。
ただ風の魔力を一点に、そうだな……指先に圧縮する。

合図は指を弾けばいいか、圧縮された風の魔力をデコピンで弾くように前に吹き飛ばす。

ーー特異風魔法《ウィンドガン》を習得しました。

ぱちんっ

指先を弾く俺、現れるのは閉じ込められたことを怒るように、1点の隙間から一気に吹き出す風。

巨体のゴーレムに直撃し、それでも収まることを知らずレーザーのようにゴーレムを吹き飛ばす。

「あっやば!!」
ウィンドガンのまさかの威力に焦る俺。
それは目の前にいたゴーレムが瞬間で飛んだ方面が問題なんだ。

「母さん!!!」
完全に予想外、ゴーレムは斜め下へ直線で飛んでいて、どう計算しても母さん達の方へ飛んでいる。

全身に風を一気に纏う、戦闘で殆ど使った魔力だが惜しむつもりは無い。

ーー特異風魔法《ウィンドアクセル》を習得しました。

今は頭の中の声を気にしてる暇もない。俺は吹き飛ばしたゴーレムに追いつく速度で母さんたちの方へ急ぐ。

のだが、何やら聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「ねこのこのこのこのっこのこ~《ウィンドガン》……にゃ!」

どう考えてもこの声はまさしく……ねこのこの声……だよな。

そういやあいつ言ってたな、母さんの事は守るって……ていうか、ウィンドガン使えるのね?
俺の目の前、容赦なく俺を巻き込む威力でぶち込んできた、俺のウィンドガンをかき消す直線上の暴風。
ゴーレムは追いかける俺の方へ吹っ飛んできた。

「……………………………はぁ」
そういや、あいつって……俺が魔法覚える度に俺と同じ魔法を使ってたな……
つまり、ねこのこって俺の魔法を使えるってことなのね。

「だから……無駄に心配とかしなかったんだな……」

速度のみを追求したウィンドアクセルをウィンドウェアに切り替える。
魔力を全開に、吹っ飛んでくる目と鼻の先にいるゴーレムに備えた。

がんっ!! …………がらがらがらがら!!! まぁこうなるわな。

どうやらゴーレム、とうとうその身体に耐えられるダメージの総量をオーバーしたのか、俺の身体に纏う風に直撃すると共にその身を崩壊させ、左右に飛散する岩となり地面に降り注いだ。

まぁ勝った、勝ったんだけどさ……
「なんだろう、この負けた感は……」
試合に勝って勝負に負けたって気分、ていうか……たぶんこのゴーレム、ねこのこの魔法で殆どトドメ刺された感じあるよな。

「なんで勇者の俺より……ねこのこの魔力総量のが高いんだよ……」

ふわっふわっふわっと落ちていく自身の身体。
どうやら魔力切れだな……こうなるとダメなんだ、全身の力が徐々に抜けていって、気付くと眠りに落ちていく。

一瞬、水色の長い髪が宙を舞っているのが見えた。

「ちち、つかまえた!」
ガシッとねこのこに空中キャッチされた頃には、俺の意識は眠りに落ちているのだった。

「ちち、おーい、死んだ?」
いや……死んでない、死んでないからその宙ぶらりんに持つのやめろ。
俺は一応寝ても夢として現実を見れるんだからな……後で覚えてろよ、このじゃりんこ猫め!!

「はは~! これ」
これじゃねぇ!!

「ふふ、ありがとうね~ねこのこちゃん、よしよし」
いやここ褒めるとこじゃねぇから!! 赤ちゃんは優しく扱えって怒るとこだから!!

「うむ、おなかへた……そだ!」
ん? ……………え

「へぇ~ねこのこちゃん、ススムの異空間収納からアイテム取り出せるんだ」

「もぐもぐ、もぐもぐ……いい匂いした」
……匂いで他人の異空間収納に関与できるってどうなってんだよ……

どうやらねこのこの食欲に、空間の違いなどなんの意味もなさないようだ。
……つまり、俺はねこのこのていのいい荷物袋って訳か……

ささみグミをもぐもぐもぐ、俺の収納からどうどうと取り出し食べまくるねこのこであった。




しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

この世界で唯一『スキル合成』の能力を持っていた件

なかの
ファンタジー
異世界に転生した僕。 そこで与えられたのは、この世界ただ一人だけが持つ、ユニークスキル『スキル合成 - シンセサイズ』だった。 このユニークスキルを武器にこの世界を無双していく。 【web累計100万PV突破!】 著/イラスト なかの

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳
ファンタジー
あらすじ リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。 彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。 ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。 途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。 ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。 彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。 リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。 一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。 そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。 これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

スキル【僕だけの農場】はチートでした~辺境領地を世界で一番住みやすい国にします~

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
旧題:スキル【僕だけの農場】はチートでした なのでお父様の領地を改造していきます!! 僕は異世界転生してしまう 大好きな農場ゲームで、やっと大好きな女の子と結婚まで行ったら過労で死んでしまった 仕事とゲームで過労になってしまったようだ とても可哀そうだと神様が僕だけの農場というスキル、チートを授けてくれた 転生先は貴族と恵まれていると思ったら砂漠と海の領地で作物も育たないダメな領地だった 住民はとてもいい人達で両親もいい人、僕はこの領地をチートの力で一番にしてみせる ◇ HOTランキング一位獲得! 皆さま本当にありがとうございます! 無事に書籍化となり絶賛発売中です よかったら手に取っていただけると嬉しいです これからも日々勉強していきたいと思います ◇ 僕だけの農場二巻発売ということで少しだけウィンたちが前へと進むこととなりました 毎日投稿とはいきませんが少しずつ進んでいきます

処理中です...