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ススム編、第一章。《Lv255の赤ちゃん爆誕》
07《初めてのお出かけ》
しおりを挟む生後4ヶ月、本日は初めてのお出かけ。
家の庭から外に始めて出る訳だが、畑と田んぼしか無く見渡しがとてつもなく良いやはりド田舎って感じだな。
ちゃんちゃんと鳴く鳥が住む木が、田舎道の端に時々生えてる以外に遮蔽物のような物はない。
「ねこのこちゃん、いつもありがとうね~」
コクコクと自慢げに頷くねこのこ、自慢げなのは良いんだ。
良いんだけどさ……
「くっくるし……ねこのこ、もっと優し……がはっ」
「にゅ?」こいつ絶対わざとだろ、何故優しくって言うとキツくするんだよ!!
「あら、ねこのこちゃん少し貸してくれるかな?」
「うむ、しかたなし」なぜ上から目線なんだよ!
ねこのこは抱く俺を母さんに渡す。……ていうか、今のは危うく圧迫死するとこだったぞ……豊満な胸ならともかく、その断崖絶壁の胸で押し付けたら死人が出るからやめて欲しい。
「ねこのこちゃん、こうやって優しく抱くのよ」
ほら見てみろ、母さんのこの豊満な……柔らかな感触、これこそ赤子になった大人なら体験したい幸せな時間なんだ、お前がいる事でこの幸せな時間がロスしてること、しっかりわかってくれよ!!
「らじゃ!」なぜ軍隊風!?
ていうか「母さんやだー!!!」何故こんな幸せな場所から、あの断崖絶壁に行かなきゃならんのだ!!
「大丈夫よススム、ねこのこちゃんはあなたのねこのこなんだから、しっかり絆を育まないとね」
母さん、あんたがしてるのはライオンが我が子を崖から突き落とすのと同じだぞ!!
「ぎゃーーーーー!!! ………………あれ?」
「にゅ?」なんだ? 意外と……いい感じ??
「ふふ、ねこのこちゃん抱っこ上手ね~」
「ふふん!」反応は可愛くないが……確かにかなり上手くなった、さっき抱かれた時の激痛はもちろんなく、ふわっと抱かれてる感じだな。
……これなら……まぁ、いいだろう。いい匂いもするし……
「じゃあ行くわよ~」
「にゃ!!」ビシッと敬礼するねこのこ。
「へ?」
何故だろう、俺は今宙に浮いてる様な……
その瞬間、俺の脳内はフル回転する。
ねこのこ、ちび、子供、馬鹿、まな板。
母さん、天然、意外と真面目、美人、おっちょこちょい。
俺、普通に赤ちゃん。
ちがうそっちじゃない、焦りすぎて脳のフル回転を無駄にした。
ねこのこ、敬礼する、俺を抱っこしてる、片手は頭、片手は腰に……あっ終わった。
そして脳のフル回転のタイムが終わり、それは勿論訪れる。
ドスッ
・
・
「いったーーーい!!! こぉの!! ねっねこのこー!!」
結局の所、どれだけ学ぼうがねこのこはねこのこだった。
生後4ヶ月の赤ちゃん抱いといて……気を抜くなよ……
たぶん後頭部にたんこぶできたと思う。
♢
結局母さんの背中に自分でしがみつくことにした。
歩くのはさすがに歩幅が違いすぎて遅いからな。
かといってねこのこに抱かれるのはもう勘弁だ、本気で怖い……腕はかなり辛いが、まだこうしてぶら下がってるのがマシってもんだ。
「ちち、ねこのこ抱っこしてやろうか?」
「だっだいじょぶ……だ!!」
腕がぷるぷる悲鳴をあげ、汗もびっしょりだが断る!
いまだにじんじんする後頭部が俺にそう言えと言ってるんだ。
「あらあら、喧嘩かしら?」
母さん、あんたはもうちょい子供の心ってものを学んでくれないだろうか? 俺の頭は大人でねこのこは子供、喧嘩ってのは同レベルで行うものだから、それだけは無いんだよ。
「ちち!」「やーめーろー……ああっ!!」
何故か無理に母さんの背中から剥がされた。
怖い、怖い、怖い、俺今赤ちゃんの泣く気持ちが心底わかる気がする。
これほど信用ならない奴に抱っこされるのって怖いものなんだな。
「いいこー「ぐふっ!?」いいこー「がはっ!?」ちち、ちっこいからねこのこがいい子する、えへん!」
ああ、その心意気は汲んでやろう。だがな……一つだけ言わせろ。
「いちいち1発1発が強いんやよ!! それはとんとんじゃなくどんどん!! ていうかただのボディーフロウ!!」
「にゅ?」あっわからないのね、うん……
なんか疲れた、赤子の体力の無さを舐めるなよ……ふぁ~
「すぅ……すぅ……」
気がつくと俺は眠っていた。まさかねこのこの胸に抱かれ眠る日が来るなんてな……
ちなみにだが、俺は寝ても夢で寝てる間の出来事を見られる事に最近気付いたんだ。
だから……
「ちち、寝た」
両足をガシッと掴み上に上げ、俺をぼけーっと見るねこのこ。
……それが赤子にする対応かよ!!!
こうして、寝ながらも夢の中で突っ込むぐらいは可能だったりする。
……何得だよ、むしろ見たくない……
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