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双子のギルド大会
3-22『カリバーンー撫でる』
しおりを挟む僕達は冒険者ギルドに居る。
「……前代未聞のギルド大会、ペア戦不戦勝……みぅちゃん!!みぃちゃん!!ありがとーーー!!!うちのギルド久しぶりの優勝だよー!!」
もうあれだな、みぅとみぃも慣れたもんだなー、お姉さんがすりすりしてもむにむにしても抱きしめてぐるぐる回っても、この2人は無反応だわ。
にしてもまぁ、なんとなく分かってたけどまじでこうなるとはな。
個人戦の会場を壊滅したことは、まぁ……映像によって全国で放送されてるから一気に広まった。
そんな2匹が出てくるとなれば、ペア戦……誰も出場しようとは思わなかったんだろう。全リタって笑うしかないな。
ペア戦の競技内容がダンジョンの魔物の部屋に入ってしまった事を想定した、狭い個室での2対2って考えたらまぁライオンの居る檻に自らはいるようなものだし、考えてみたら賢い選択なのか?
はぁ……にしてもな、この2人に何をあげたらいいのだろう?
☆☆☆☆☆
はっきり言おう!!僕は今……金欠だ!!ドヤァ
だってさ?大会前に2人に大見栄張ったプレゼントなんてしてしまってさ?そりゃお金なんて吹き飛ぶわな?
まぁ金があったところで、あげて喜びそうなものは全部あげたからこれ以上なにもわたせないんだけどさ~どうしたものか……
そわそわもじもじと、この2匹は宿に戻ってきてからずっと僕の後ろを付いてきている。
「どうしたんだ?」と僕が訪ねても。
えへへ~と笑を零しじーっと見てくる。
そう言えばと思い返すのは、大会中の2匹の会話だ。
撫でて欲しいとか何とか、そういった事を2人で話してた気がするよ。
こう言ってはなんだが、突然撫でる場合は不思議と恥ずかしくないものであるが、こうも撫でるのを待たれてしまった後だと撫でるからおいでなんてすごく言い辛い。
だからと言って、撫でないなんて選択肢はないのだろう。
むしろ撫でずに放置した結果を想像すると、悲しそうな顔が浮かんでくるので撫でざる負えないではないのか? そんな言い訳を考えないと結局撫でることすら出来ない自分が情けないのだが、ここは勇気を振り絞ろう。
宙にぷかぷか浮き、できる限りこの2匹と目を合わせないようにしてた僕なのだが、くるっとまわり2人の方を見る。
きらきらきらと今にも何かが飛んできそうな程に輝く瞳を前に僕は自身の小さな手をひょいっと2つ前に出し言う。
お手……ではないよ?
「2人とも、優勝おめでとう……おいで」
僕が言った途端に駆け寄ってくる2匹。
わーいと無邪気に喜ぶみぅ、いざ自分の行動を思い返してしまうのか恥ずかしそうに頬を赤らめるみぃ。
本当にこの2匹だけは、僕の腐った心には中々に痛い純粋さを見せつけてくるものだよ。
とはいえ結局可愛いので、ついつい撫ですぎてしまう僕なのだった。
☆☆☆☆☆
大会であれだけ大暴れしたなら当然ではあるが、2匹の着ている装備は修行の時もそうであるが、ボロボロである。
「いくとー!」「ご主人様お願いします」
僕があげたプレゼントだからなのか? 装備を大切にしたい2匹は夕方、もう服を着ることが必要ないと判断するや否や、装備をぽいぽいと脱ぎ僕の元に素っ裸で駆け寄ってくる。
何をお願いしてるんだよ!とまぁ、こんな子供相手に冗談でもするツッコミでは無いなと心の中で自身を諌める。
「『錬成』」1度腹部までしっかり見たものであれば、僕の魔法にとって創造するのは容易なので修繕も作り替えるという形で容易に終わる。
「ありがとー!!」「ご主人様ありがとうございます!」
なんでもいいから服を着て欲しいところだが、2匹はとりあえず服を脱いだあとはぼーっと何故か僕を見てるんだ。
どうしたんだ?とは聞き辛いこの空白の時間のせいで、この2匹の裸はもう見慣れたものだな。
「服着ないと風邪引くぞ?」結局僕がこうして声をかけるまで服を着ないのだが、服を着るのに僕の許可を貰おうとしてるのかは定かではない。
こうして、みぃとみぅの大会は完全勝利で幕を下ろしたのであった。
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