51 / 78
双子の冒険者
2-28『東の港ー火葬』
しおりを挟むガタガタ~ガタガタガタガタ~
何事も無かったように揺れる馬車、そこには2つの死体と泣いてる女の冒険者が乗ってたりする。
どうして置いてくのよ~!!とか叫んでるが、聞こえる訳はなくただただ苦しそうな表情の死体は荷車に揺れている。
(んーにしても、世の中弱肉強食というか、酷いもんだなー)
ちなみに僕達は客席に居る。みぅは荷車の方が外が開放的に見えるから「むむぅ~」と不服そうだが、まぁ馬車主が言うのだから仕方ないよな?
ちなみに僕の言う、弱肉強食っていうのは別に盗賊達と冒険者の立場を指したものでは無い。
依頼主と冒険者の図の事だな。
(死んだ奴より、出来るやつか~でも確かに……僕達が居なければ馬車は奪われ、馬車主も殺されてる訳だし……命の恩人の方を優先するのは当然っちゃ当然なんだろな)
「ご主人様?」
僕を抱くみぃが聞いてくる。
「ご主人様は同族が亡くなったのに悲しくないのですか?」
この、ぐさーーっと突き刺す直線的な質問はなんか来るものがあるよな、けどまぁ僕はこの2人に嘘をつく必要も無いだろう。
「同族?とかそーゆーのは関係ないと思うぞ?仲がよかったり可愛がってたりしてるのが死んだら悲しいかもしれないけど、知らない奴なんてその辺のゴブリンと大差なくどーでもいいからな」
返事は帰ってこないが、ギュッと僕を抱くみぃ。
言いたいことはわかったよ。
「まぁ、みぅとみぃが今は1番亡くしたくない存在だな」
「……!……ご主人様」
頭のいいみぃだからこそ、ふと思ったんだろうな。
自分達がこの先死んだ時に、僕がどう言った態度をとっているのか?なんてことを、まぁでもこうは言ったが僕はこの2人の死に顔を見れることは無いだろうな。
「なでなで」
「……えへへ」
(この2人の喜び方似てんだよな~)
☆☆☆☆☆
哀悼中?そんなもの魔物には関係ない。
護衛という仕事を引き受けたからには生きてる限り仕事をして欲しいものだよな。
(後でギルドからぼったくるか?……と思うが、みぃにそーゆーのはさせたくないんだよな~)
という訳でここからはボランティア、まぁ当然だけど流石に護衛の報酬は僕達が貰うけどな。
(ていうかこの街道、魔物とか盗賊とか多過ぎだろ、中級冒険者の依頼ってどれだけ大変なんだよ)
ちなみにだが、僕達が討伐を開始してからも魔物は数回現れ、盗賊は僕が見えないうちに吹き飛ばしたが1組現れた。
そしてようやく到着した東の港である。
(戦わないならさっさと転移で帰ればいいのにとは思ったけど、転移って死んだ人間は出来ないんだなー)
ギルドの転移を使用出来るのは、ギルドのメンバーでギルドの依頼を受けて転移した者と同行者までというのが条件。
(つまり死んだらギルドメンバーでも同行者でも、物としても扱って貰えないって訳だ、なかなか厳重だよな~それだけギルドに報復とか考える敵が多いって訳か)
実際問題、あんな街のど真ん中に拠点を構える冒険者ギルド、盗賊や山賊の群れをギルドに持ち込んだらかなり危険だし仕方ない設定とも言えるよな。
☆☆☆☆☆
あの後東の港でそのまま火葬が行われたらしいが、僕達はさっさと帰路に付いたのでその辺は知らない。
ギルドでしっかり護衛の報酬と護衛のサポート報酬を頂いたので文句無くその日は幕を下ろす。
(あの女の冒険者もこれで引退だろうな~)とか思ってたが、後日レンと共に行動してたのを見て、人間って強いな~と思った。
そして宿屋。
「……こら!!」
僕はみぅを叱っている。
「みゅ~……ごめんなさい」
浮遊でぷかぷか浮く僕の前で、下を向いて悲しそうにしているみぅ、みぃは何も言わずじっと見ている。
「あのな、足を捻挫してたなら先に言え、後々になればヒーリングでも通じない様になるかもしれなかったんだぞ!」
どうやらあの大男を蹴飛ばした際に自分の力に身体が耐えれなくて起きた様だな。
1度こっちに引いてきたからあれ?っとは思ってたが、あれは怪我をしたから慌てて戻ろうとしたんだろ、けど盾の事だけを思い出して取りに行ったんだろうな。
「……いくと、みぅ悪い子?」
悪い子とかそういう問題ではないな。
「みぅ?別の所に問題を持ち込むのは良くないぞ?僕はみぅが足の捻挫を黙ってた事に叱ってるんだ、わかるか?」
正直みぅには難しいと思うが、これは分かってもらうしかない。
「……ごめんなさい、みぅ次からはちゃんと言う」
「ん、そうだ、それでいいんだぞ?悪い子かどうかと言うのは、ここで決まるんだ」
「ふぇ?」頭を撫でると驚いた様子で下を向いた頭を上げ僕を見るみぅ。
「ふむ、悪い子は言い訳しかしない、けどみぅは言い訳なんてせず自分の悪い事を素直に認めた、だから良い子だ」
まぁこれは僕なりの見解だけどな。
子供というのは興味で動くから悪い事を悪いと思わずしてしまう。それに嫌な事は怒られたくないから隠してしまう、嘘をついてしまう、なんて当たり前にある事だと思う。
けど、子供というのは素直なのが良い所で、言い訳なんてことはせず素直に謝ればいい。
大人は子供が誤りを認めたなら許しを与え次にこうしたらいいと答えに導いてやればいいと思う。
だからこそ素直なまま育っている純粋な子供であるみぅは、人に好かれるような好い子だと思う。
31
お気に入りに追加
1,301
あなたにおすすめの小説

男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる
暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。
授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています

転生先ではゆっくりと生きたい
ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。
事故で死んだ明彦が出会ったのは……
転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた
小説家になろうでも連載中です。
なろうの方が話数が多いです。
https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです
ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。
女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。
前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る!
そんな変わった公爵令嬢の物語。
アルファポリスOnly
2019/4/21 完結しました。
沢山のお気に入り、本当に感謝します。
7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。
2021年9月。
ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。
10月、再び完結に戻します。
御声援御愛読ありがとうございました。

【完結】男爵令嬢は冒険者生活を満喫する
影清
ファンタジー
英雄の両親を持つ男爵令嬢のサラは、十歳の頃から冒険者として活動している。優秀な両親、優秀な兄に恥じない娘であろうと努力するサラの前に、たくさんのメイドや護衛に囲まれた侯爵令嬢が現れた。「卒業イベントまでに、立派な冒険者になっておきたいの」。一人でも生きていけるようにだとか、追放なんてごめんだわなど、意味の分からぬことを言う令嬢と関わりたくないサラだが、同じ学園に入学することになって――。
※残酷な描写は予告なく出てきます。
※小説家になろう、アルファポリス、カクヨムに掲載中です。
※106話完結。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる