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双子の冒険者
2-02『アーク大陸ー雪原』
しおりを挟む昨日の吹雪が嘘のようである。
空は青く澄み渡り、黒い影のひとつも無い。
「んー気持ちいいな~」
大きな欠伸をしてる僕は、魔法で作った簡易コタツに入ったまま宙に浮いてそれを眺めている。
「にゃ!!みぃねぇね!!そっちいったよ!!」
赤い髪はこんな雪景色の中だと大いに目立つ、なのでみぅは完全な追い立てる役だな。
2人はどうやら昨日僕が拵えた毛皮のローブを作るみたいだ。
目標は一角雪うさぎ、額に大きな角の付いた雪兎だな。
性格はかなり臆病、かなり遠くからでも気配を察知して逃げる。
(感知持ちだな)
コタツの中で昨日倒したから表示される一角うさぎの情報を見ながら僕は眺めている。
種族名/一角雪うさぎ
強さ/下級・属性/雪・性格/臆病
常時能力/極寒耐性・Lv1物理感知
魔法能力/なし
身体能力/角氷
ある程度の情報だけど、こうしてみることが出来るのは便利だよなーって思う。
(注意のとこにあくまで平均的なとか書いてるから、確定事項ではないんだろうな……)
みぅに見事に誘い込まれた一角雪うさぎはぴょんぴょん飛び跳ね、髪が水色で雪に殆ど溶け込んだみぃの元へかけて行く。
「まかせて……『水よ、集まって…!!』」
雪が積もってるだけあって、水の魔力も大気に多いことからみぃの元へすぐに集まる水、なのだが……まぁこうなるわな。
「あっ……みぃねぇね、もう逃げちゃったよ……」
当然だけど詠唱というのは言葉を発するだけでは成り立たない、なので唱える時は頭の中にイメージを作る必要がある。
だからみぃは魔法を唱えてる間は殆ど周りが見えていない。なのでその隙に一角雪うさぎはとっとと雪の中に穴を掘り逃げてしまったようだ。
だがこの程度で諦める2人ではない。
何度も何度も一角雪うさぎを見つけては同じ方法を試す。
試行錯誤?それは今ある力で何とかしようと考えて行う方法だろ?この2人は無意識に分かってるんだろう、強くなる為には成長してできなかった方法を成功させないといけないってことをな。
みぅは動きなれない降り積もった雪の上をいつの間にかかなり俊敏に動けるようになり、みぃも負けじと詠唱を行いつつも少しづつ雪兎を追うようになって行く。
「みぃねぇね!!行ったよ!!」
「『水よ集まり、叩け!……!!』」
そしてとうとう一角雪うさぎは捕らえられた。
みぃはみぅの動きから、目標がどこをどう来るのか予測し、弱点である詠唱の長さを克服し、しかもしっかりと目で捉えて雪兎を一撃で仕留めていた。
(……水の重さを活かして頭上からぶつけたのか)
みぅも雪兎を追い込んだ後、その脚力を活かし逃げた際に再度チャンスが来るように回り込む程の余裕が出来ていた。
(こんな新雪の上を……本当に凄いな)
2人の成長が著しく凄く嬉しいので、今夜はちょっと頑張ってみようと思います。
「そろそろ終わるか?」
空から僕が投げかけると「もっと倒してくるー!」
やる気満々にその後も6頭程仕留めていた。
☆☆☆☆☆
そしてとりあえず仮拠点の石のかまくらの中である。
まぁこの家は正直反則だろうけど、まだ2日目なのでその辺は仕方ので目を瞑ってあげよう。
「みぃねぇね、魔法早くなってた!」
「えへへ、みぅも雪の上なのに凄く速かったね」
キャッキャと褒め合う2人は尊いと思う。
そんな2人の姿を見ながら、僕はせっせと作業する。
そのうち余裕が出来たら2人にもしてもらうつもりだが、とりあえず料理担当は僕だからな。
まずは異空間収納から取り出すのはこれだ。
『包丁』
料理する時に切るやつ
それからこれだ!
『フライパン』
料理する時に焼くやつ
何も2人が頑張ってる時にコタツに入ってダラダラしてた訳では無い。
金の魔法を使用し色々な調理グッズを作ってたんだぞ?エッヘン
「……うにゅ~……ごめんね」
「ごめんなさい……」
前もって室内にちょちょいと作っておいた水場、包丁を持つ僕、目の前には一角雪うさぎの屍。
それを見て雪兎に謝る2匹の瞳は純心無垢にうるうるしてる。
(き、ま、ず、い!!)
まずは2人に説明しよう。
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