13 / 78
双子の天災児
11『神獣の森ー怪物』
しおりを挟む上には暖かな炎……というか「あっち!?あつい!?へ!?」
結構高い位置に作ったと言うのに、魔法によるダメージは無効化、でもさこの暑さは防げないものなのだろうか?
まぁなんとかそれに耐えるとして、もうひとつ思うことがある。
(おまたすーすーする!!……てか、恥ずかし!!)
よく考えたら僕はみぃとみぅに葉っぱで作られた服を着せられてるだけで下から覗けば色々全開なのを忘れていた。
(……そりゃ注目されるわけだ……)
また新たな扉を開きそうに……はならなかった。
(赤ちゃんとはいえ恥ずかしいものは恥ずかしい!!)
と、冗談考えてるうちに計画は練っている。
遠くに見える断崖絶壁、あれはたぶん岩山だと思う。
なのであそこへぽーいとこの球を上に投げて、あそこへ落下させれば燃えるものもないしきっと安全だろう。
(人型の気配は無いしいいだろ)
他の生物はたぶんいるだろうが、ここはもう背に腹はかえられぬという所存(後で謝りに行こう……そうしよう)
決まった、大きくなりすぎて直径数メートル程にはなったがきっと大丈夫、被害は少ない。
と、無理やり自分に思い込ませて僕は実行した。
(……ひっひだりてはそえるだけ!!!!!)
美しくシュートを決めるように……僕はとうとう実行。
僕の予想通り、炎の球はぽーんと高く上がり良い感じの高さまで上がっている。
(よっしゃ!!………………あっやっべ)
だが炎の球、高く上がり良い感じの軌道を描いてたというのに僕の計算違いです。重くなり過ぎてて急降下をはじめた。
「これが……メテオ…………ごめんなさーーい!!」
前もって謝るしかない目の前の光景、なんせ炎の球は遠くに見える岩山までまず飛ぶことは無いほどの急降下。
むしろこのままだと間に落ちて神獣の森の大半を焼き尽くすだろうことは、流石の中卒である僕でも理解できるのだ。
目を瞑り(神よ!!!もしも今私の願いが叶うのならば球を小さくしてください……あ、僕のじゃないです)
そういえばそうだったと思いだす。
(僕ってやっぱ、他人に興味無いんだな~みぃとみぅになんでこんな思い入れがあるのか知らないけど、森がどうなろうが知ったこっちゃないや)
なんか冗談も飽きたのでくるっとまわり家に入ろうとした。
その時であった。
「こーんの……たわけーーーー!!!!!!」
余りの声に家に帰ろうとしていた僕であったが振り返った。
(え!?さっきまであの辺には魔力なんてなかったはず!?)
どうみても炎の球に向かう人型の魔力を感知。
しかもこれ
(なんなんだあれ……見たことないぞ!?)
ありえない程に巨大な魔力が凝縮された塊であるのがすぐに分かる。
「しかも速い!?」
魔力感知だと曖昧なので物理感知で捉えてみる。
「はやすぎ……どこだ!」
全然捉えられないほどの速さ、けれど何とかそれを捉えることが出来たのは、それが森の中を一直線に駆けていたからだろう。
「……やばい、化け物だ」
異世界に来て日の浅い僕でもわかる、あれはやばいということは見たら直ぐに誰でも理解すると思う。
なんせ、森の中を一直線に駆けているのだから、つまり炎の球までの最短距離を化け物みたいな速度を緩めることなく突き進んでいるということ、森にある木々がその何者かに触れる前に勝手に根から吹き飛んでいるという状況。
そしてとうとうその距離に辿り着いたのだろう。
スピードを殺すこと無く、かなり遠くにいる僕にすら聞こえる音「ぼごぉ」と地面が凹んだ音!?僕は凝視した。
爆発するでもなく、砕けるでなく、ただペッコりと凹んだ地面。
そこから飛んだ1匹は、僕が何度も見たことのある顔にそっくりである。
白銀の髪を靡かせ、金色の目を見開き、拳をおおきく振りあげ、それは僕の放った巨大な炎球に飛び込んだ。
ごっ!!という鈍い音、そして現れる岩とそのねこのこ族の間には超巨大な魔法陣。
「まじですか!?」
巨大な炎の球はその拳の一撃で粉砕されていたようで、空中で砕けていた。
予めそれすら予想してたんだろう、その為に展開されたとそれを見てわかる巨大な魔法陣。そこから真っ白な光が放たれ炎の球は跡形もなく消滅した。
つまり、被害はゼロ。1粒の破片も森に落とすことなく成し遂げている。
「えーと?……どーしよーー!!!」
急ぐ必要はなくなったのだろう、次はぴょんぴょんと森の木を足場に跳ねて、その何者かはこちらへと向かってきている。
(……絶対殺される、あんな化け物いるとか聞いてねぇ!!)
58
お気に入りに追加
1,301
あなたにおすすめの小説

男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる
暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。
授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています

転生先ではゆっくりと生きたい
ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。
事故で死んだ明彦が出会ったのは……
転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた
小説家になろうでも連載中です。
なろうの方が話数が多いです。
https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです
ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。
女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。
前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る!
そんな変わった公爵令嬢の物語。
アルファポリスOnly
2019/4/21 完結しました。
沢山のお気に入り、本当に感謝します。
7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。
2021年9月。
ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。
10月、再び完結に戻します。
御声援御愛読ありがとうございました。

【完結】男爵令嬢は冒険者生活を満喫する
影清
ファンタジー
英雄の両親を持つ男爵令嬢のサラは、十歳の頃から冒険者として活動している。優秀な両親、優秀な兄に恥じない娘であろうと努力するサラの前に、たくさんのメイドや護衛に囲まれた侯爵令嬢が現れた。「卒業イベントまでに、立派な冒険者になっておきたいの」。一人でも生きていけるようにだとか、追放なんてごめんだわなど、意味の分からぬことを言う令嬢と関わりたくないサラだが、同じ学園に入学することになって――。
※残酷な描写は予告なく出てきます。
※小説家になろう、アルファポリス、カクヨムに掲載中です。
※106話完結。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる