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双子の天災児
01『異世界転生①』
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ショーケースの明かりのみで照らされる薄暗い部屋にはホコリひとつないんじゃないのか?そう思う程に清掃されている。
そんなショーケースには様々なフィギュアと言った、生き物を形創った人形が並べられている。
背中に蝶々の羽が着いた妖精族のフィギュア。
一角が付いたケルビ、白い翼の天使、額に目が付いた3つ目、下半身が魚の人魚、身体が植物で出来たマンドラゴラ、全て美少女のフィギュア。
まるで現実を直視したくないような、別次元の存在で覆い尽くされた部屋。
そんな中でもきっと持ち主の趣味なのがだろうなと分かる。堂々と全てのショーケースの真ん中を占領するのは獣人族である。
動物ならではの美しいフォルムを顔の美しい美少女が備え付けた完全なる架空にして完全なる美。
「はぁ……美少女は最高だわ」
そうこの部屋の主の名は『一才育人』といい、そんな僕は人間で言う所の……『キモオタ』である。
『キモオタ』の生態。
気持ちの悪いオタクの略、架空の存在に恋をしたり、架空の存在を集めたり、架空の存在に全存在をかける猛者の事だ。
☆☆☆☆☆
そんな僕であるが外での顔はそれなりにやり手の解体屋の親方だったりする。
朝は5時頃に目覚め、今日の仕事の段取りを再確認、従業員……まぁ、若い衆だな。その中でも古株に連絡する。
「今日は危険作業だから気をつけろよ!」
オタク気質の僕であるが、現場の連絡等だと強気な姿勢、まぁ当然舐められてしまったら仕事をサボったりなどされてしまい、現場が一向に進まないなど、よその会社から聞いたことがあるからな。
そして朝連が終わり朝食を摂る、それから現場の出勤連絡の確認をする。
パソコンの前に座り今日の出勤人数の記載、仕事内容、次に入る現場、等と家での業務が基本だな。
そして9時頃に家を出る、現場を見て回る。
若い衆にジュースなどを差し入れるのも立派な仕事である。
そして夕方、またパソコンと睨めっこ、夜になると元請けの人や同じ親方連中から鳴り止まない電話。
そして夜中、ようやく僕だけの時間がやってくる。
「うーさっぶ…」
コンビニでツマミを買いでて家への帰り道。
「んーもうすぐ冬か~」
厚手のジャンバーに身を包み、ちょっとした駆け足で家へと向かう僕である。
そして開けるドア。
開けたと同時に袋のようなものが落ちる音がする。
「へ?」
何が起こったのか分からない。ただ開けた途端に人らしき姿が見えて気が付くと僕のお腹に冷たい何かが突き刺さる感触。
ばたりと玄関にもたれるように僕は倒れた。
はっきり言ってやばい状況だと思う。
ドクンドクンと、刺さったそれの感覚が心拍と共に痛みとなって時間差で襲ってくる。
次は何故かぼーっとしてきた。痛みが和らぐ不思議な感覚、けれど手で咄嗟に触ったそこから漏れ出る暖かい何かが収まる気配はない。
段々薄れゆく意識、ようやく理解したように頭の中で思った。(僕って刺されたのか?)
そんな遠くなる意識の中、偶然にも最後に目に入る自分を刺したであろう犯人、唯一の出口である玄関に力なく座り込む僕を無視してドアを開いた。
その時に見た姿がやたらと見覚えがある。
(なっ!?)と思うものの、次の瞬間には(誰だっけ?)と名前も顔もろくに覚えてないような人に刺されたみたいだ。
玄関にもたれるように倒れていたせいで、犯人のそいつが逃げた時に開いたドアの向こうへ仰向けに倒れる。
(身体が冷たい?……いや、寒い……刺されたとこが熱い?なんだこれ…?マジで死ぬのか?)力が全く入らない。
きゃーーー!!という隣の結構いい歳したおばさんが若い子みたいに叫んでた。
ところまでがなんとか記憶には残りっていて、そこでようやく僕の意識は絶たれた。
☆☆☆☆☆
「人生お疲れ様っした~!」
「……あんただれ?」
次に目が覚めた時には、見たことも無いガキンチョに意味のわからないことを言われ起こされた感覚だ。
つっこみ?というかつい出たのがそれであったのだが、どうやらツボに入ったのかケタケタ笑ってる。
「あはは……あんただれって、この部屋に来て第一声がそれは無いでしょ、あははは…!……あー面白かった、で、なんの話しだっけ?」
(切り替えはええな)
と思いつつも、不思議な感覚に辺りを見渡す僕。
(変だなーとは思ったけど、真っ白だな)
何も無い、ただどこまでも白く通ってるのがわかる感じ、壁がないってのがなぜ分かるのか不思議でしかないが、確かにどこまでも通った白い部屋だ。
そんなショーケースには様々なフィギュアと言った、生き物を形創った人形が並べられている。
背中に蝶々の羽が着いた妖精族のフィギュア。
一角が付いたケルビ、白い翼の天使、額に目が付いた3つ目、下半身が魚の人魚、身体が植物で出来たマンドラゴラ、全て美少女のフィギュア。
まるで現実を直視したくないような、別次元の存在で覆い尽くされた部屋。
そんな中でもきっと持ち主の趣味なのがだろうなと分かる。堂々と全てのショーケースの真ん中を占領するのは獣人族である。
動物ならではの美しいフォルムを顔の美しい美少女が備え付けた完全なる架空にして完全なる美。
「はぁ……美少女は最高だわ」
そうこの部屋の主の名は『一才育人』といい、そんな僕は人間で言う所の……『キモオタ』である。
『キモオタ』の生態。
気持ちの悪いオタクの略、架空の存在に恋をしたり、架空の存在を集めたり、架空の存在に全存在をかける猛者の事だ。
☆☆☆☆☆
そんな僕であるが外での顔はそれなりにやり手の解体屋の親方だったりする。
朝は5時頃に目覚め、今日の仕事の段取りを再確認、従業員……まぁ、若い衆だな。その中でも古株に連絡する。
「今日は危険作業だから気をつけろよ!」
オタク気質の僕であるが、現場の連絡等だと強気な姿勢、まぁ当然舐められてしまったら仕事をサボったりなどされてしまい、現場が一向に進まないなど、よその会社から聞いたことがあるからな。
そして朝連が終わり朝食を摂る、それから現場の出勤連絡の確認をする。
パソコンの前に座り今日の出勤人数の記載、仕事内容、次に入る現場、等と家での業務が基本だな。
そして9時頃に家を出る、現場を見て回る。
若い衆にジュースなどを差し入れるのも立派な仕事である。
そして夕方、またパソコンと睨めっこ、夜になると元請けの人や同じ親方連中から鳴り止まない電話。
そして夜中、ようやく僕だけの時間がやってくる。
「うーさっぶ…」
コンビニでツマミを買いでて家への帰り道。
「んーもうすぐ冬か~」
厚手のジャンバーに身を包み、ちょっとした駆け足で家へと向かう僕である。
そして開けるドア。
開けたと同時に袋のようなものが落ちる音がする。
「へ?」
何が起こったのか分からない。ただ開けた途端に人らしき姿が見えて気が付くと僕のお腹に冷たい何かが突き刺さる感触。
ばたりと玄関にもたれるように僕は倒れた。
はっきり言ってやばい状況だと思う。
ドクンドクンと、刺さったそれの感覚が心拍と共に痛みとなって時間差で襲ってくる。
次は何故かぼーっとしてきた。痛みが和らぐ不思議な感覚、けれど手で咄嗟に触ったそこから漏れ出る暖かい何かが収まる気配はない。
段々薄れゆく意識、ようやく理解したように頭の中で思った。(僕って刺されたのか?)
そんな遠くなる意識の中、偶然にも最後に目に入る自分を刺したであろう犯人、唯一の出口である玄関に力なく座り込む僕を無視してドアを開いた。
その時に見た姿がやたらと見覚えがある。
(なっ!?)と思うものの、次の瞬間には(誰だっけ?)と名前も顔もろくに覚えてないような人に刺されたみたいだ。
玄関にもたれるように倒れていたせいで、犯人のそいつが逃げた時に開いたドアの向こうへ仰向けに倒れる。
(身体が冷たい?……いや、寒い……刺されたとこが熱い?なんだこれ…?マジで死ぬのか?)力が全く入らない。
きゃーーー!!という隣の結構いい歳したおばさんが若い子みたいに叫んでた。
ところまでがなんとか記憶には残りっていて、そこでようやく僕の意識は絶たれた。
☆☆☆☆☆
「人生お疲れ様っした~!」
「……あんただれ?」
次に目が覚めた時には、見たことも無いガキンチョに意味のわからないことを言われ起こされた感覚だ。
つっこみ?というかつい出たのがそれであったのだが、どうやらツボに入ったのかケタケタ笑ってる。
「あはは……あんただれって、この部屋に来て第一声がそれは無いでしょ、あははは…!……あー面白かった、で、なんの話しだっけ?」
(切り替えはええな)
と思いつつも、不思議な感覚に辺りを見渡す僕。
(変だなーとは思ったけど、真っ白だな)
何も無い、ただどこまでも白く通ってるのがわかる感じ、壁がないってのがなぜ分かるのか不思議でしかないが、確かにどこまでも通った白い部屋だ。
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