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第三章 大陸冒険編

ジュリア・スペンサー

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「アタシちょっと家に帰って準備してくるよ。ママにも言わないと。ジュリア・スペンサーに戻る準備だ!」
「あぁ、分かった。中心街で買物しとくよ」
「後で合流する!」

 ジュリアは小走りで自宅に戻って行った。

「さて、この国の武具を見に行かないか?」
「あぁ、いいね。そうしよう」
「かわいい服ないかなぁ? あとサウナ用の水着も買い替えないと、キツくなってきたよ」

 そうだ、ジュリアの水着姿も拝める、とユーゴは頬を綻ばせた。
 

 湖上の島から橋を渡り、中心街に移動した。
 洗練されたオシャレな街並みだ。優雅に紅茶を楽しむ人達が多い。時間が緩やかに流れている感じがして落ち着く。

「武器屋と防具屋が隣接してるな」

 防具屋にはプレートアーマーが多い。
 篭手なども金属製だ、ガントレットと書いてある。

「私達は革の防具だけど、金属重くないのかな?」

 胸から腰にかけての胸甲という金属鎧を持ってみた。

「お、意外と軽いぞ?」
「でも、僕は革の防具の方が好きだな」
「私もそうだなぁ」
「でも、軽い金属はいいな。修理用に買っておこう」

 防具には心惹かれるものがなかった。
 次は武器屋だ。

「両手剣が多いな。やっぱりオレは刀だな、あれは芸術だ」
「うんうん、刀は本当に美しいよね。他の武器じゃあぁはならない」
「これすごいね、ツーハンドソード。私の背くらいあるよ」
「両手大剣か。これを使うっていったら、相当なパワーファイターだろうな」

 武器を見ていると、準備を終えたジュリアが来た。

「ジュリア・スペンサーに変身してきたぞ!」
「おかえり、改めてよろしくな!」
「頼りにしてるよ、ジュリア」
「またジュリアと冒険できるんだね! てか、またその汚いバッグ持っていくの……?」
「これはアタシの財布なんだよ!」

 ジュリアは青い眼にレンズを入れている。
 エミリーと同じ色だ。

「ジュリアは回復術師なんだろ?」
「あぁ、そうだ」
「ジュリア何でもできるけど、自分はあくまでも回復術師だって言い張ってたよね? 今なら分かるよ、私もそうだから!」
「そう、アタシはあくまでも回復術師。ただし『超攻撃的回復術師』だよ!」

 ――は……?

「ん……? じゃあ、このパーティーでの立ち位置はどうするんだ?」
「エミリーがいるならアタシはアタッカーだね。回復よりむしろ攻撃の方が得意だ」

 ――なら、アタッカーなんじゃ……。
 
 そう思ったが、すぐに理由が分かった。師匠が回復術師だったんだろう。

「じゃあ、主にオレとジュリアで攻撃するってことか。武器は何使ってる?」
「アタシは……ここには無いな。このツーハンドソードより一回り大きい『ツヴァイハンダー』を使ってる」
「え、これよりデカイの!?」
「あぁ、アタシの背くらいあるよ。ほら」

 自分の背丈ほどの両手大剣を空間から出した。
 ジュリアはユーゴより一回り小さいが、女性では大きい方だ。が、そのスレンダーな体型は、自分程の背丈の大剣を振り回す様には到底見えない。

「いつもは空間魔法にしまってる。こんなもんぶら下げて移動できないからな」
「防具はプレートアーマーなの?」
「いや、アタシは『ブリガンディ』を好んで装備してる。魔物の革のベストに金属片を打ち込んで鎧にするんだよ。ここの加工金属は丈夫で軽いからね。篭手も脛当ても革製だ。これだよ」
「これなら僕でも整備できるよ。あれ? これコカトリスの革じゃない?」
「あぁ、そうだよ。昔数人で討伐して、防具にしてもらったんだ」
「私達の防具もコカトリスだよ?」

 ジュリアにコカトリスの防具を渡した。

「おぉ、ホントだ! 龍族の防具もカッコいいな!」
「コカトリスの革はあるから、修理は任せてよ」
「アタシもまだコカトリスの革持ってるんだ。トーマスに渡しとこうか」

 次は服を見に行こう。
 少し歩くと店を見つけた。

「ジュリアの服もシルクなのか?」
「あぁ、これが一番いいね。蜘蛛の魔物の糸が練ってある」
「私達のと一緒だね。また一枚しか持ってないの? いつも使い捨てだったよね?」
「何で二枚もいるんだ? 汚くなったら捨てて買えばいいだろ?」
「僕達はいつも洗って乾かす為に、二枚以上持ってるんだ。川で洗うだけで良いしね。乾かなくても、空間魔法に入れておいてもらえば乾くから」
「それにジュリア、オレ達は毎晩素晴らしい物に入るんだ。毎晩スッキリして綺麗なシャツに袖を通す、最高なんだそれが。今晩一緒に入ろう」
「素晴らしい物……? 風呂のたぐいか?」
「あぁ、そうだな。エミリーと一緒に水着を選んでくれ。後は二枚目のシャツだな」
「ジュリア、期待していいよ。ヤバいから」
「ほほう、楽しみにしておこう」

 服や野菜、調味料などを買い仙神国を後にした。
 新たな仲間を加え、レトルコメルスへの帰路についた。
 
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