ダンジョン攻略の果てに!

アリズムン

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14話

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「ターゲットが移動し始めたわ」

──ダンジョン都市の、とあるビルの大会議室。

『闇のフクロウ』のアジトであり、その最上階にある部屋で、4人の大幹部、そしてこのギルドを束ねるボスが集まっていた。

報告をした女性は大幹部の1人、遠影夜叉とおかげやしゃ

年齢は25歳で身長は170cm、Aレベル、暗紫色のセミロングヘア、部分的に白いメッシュが入っている。

冷たい青色の瞳であり、 魔道士のような黒いローブ身にまとい、袖口や裾には銀の刺繍が施されていた。

「気づかれたか?」

そう呟くのは、烏森黒刃からすもりくろは

年齢は31歳、身長は185cmある大男で、Aレベル、漆黒の短髪、側頭部には複数の白い線が入っている。

茶色の瞳で、黒い軍服風のコート、胸元には銀のふくろうのバッジを付けていて、黒いレザーグローブをはめている。

顔には複数の戦闘でできた傷跡があり、特に左頬には深い傷が走っている。

「きゃはは! そう考えるには早いんじゃね?」

烏森の呟きを拾うように、東堂紅音とうどうあかねは笑う。

年齢は23歳、身長は163cm、Aレベル、赤みを帯びた黒髪、腰まで伸びたストレートヘアだ。

深紅の瞳で、遠影と似た黒いローブに、しかし赤い模様が施されたものを着用している。

ローブの下には動きやすい黒いレザーのスーツを装備しており、左耳には黒い羽根のイヤリングが怪しく光っていた。

「いや、気づかれたとみていいだろう。……そろそろ俺たちも動くか?」

このギルドのボスである自分の妹、そして他の大幹部に聞こえるように確認する、工藤仁くどうじん

年齢は21歳、身長は177cm、Aレベル、漆黒の長髪を後ろで束ねている。

黒い緑色の鋭い眼光で、白のスーツに色褪せた茶色の革手袋、革のブーツを履いていて、インナーにはダークグレイのシャツを着ている。

「はぁぁ、暴走したバカども幹部の尻拭いの相手が、いま噂のハンターなのがめんどくさ! …‥話し合いで解決できるといいなぁ」

兄の言葉に椅子から立ち上がり、嫌々ながら戦闘準備をする工藤リズムくどうりずむ

年齢は19歳、身長155cm、Sレベル、深紫の長髪、ウェーブがかかったヘアスタイルで背中まで伸びている。

毒々しいエメラルドグリーンの瞳で、黒を基調としたゴシック風のドレス、毒を象徴するように緑色の装飾が施されていた。

袖口と裾にはフクロウの象徴である黒い羽根のデザインがあり、首元には黒いチョーカー、指には幾つかの銀の指輪をしていた。

顔立ちは人形のように整っており、美しいが冷たい印象を与えるが、性格は明るく素直だ。

そもそもとして、彼女らの行動原理は悪道断罪クズ殺すだ。

『闇のフクロウ』というギルドは3年前、工藤仁、工藤リズムの兄妹が立ち上げた。

人を人とも思わない、都合の悪いことは金や権力で全てを潰す奴らを消す。

毒を以て毒を制す。

そんな奴らをこの世から少しでも減らすため、そんな奴らに食い物にされる人を少しでも減らすため、裏ギルドとして活動するのは、工藤兄妹にとって1番目標に近づける手段だった。

この3年間、様々な闇を彼等は葬ってきたし、それにともなって工藤兄妹に賛同する者たちは増えていった。

そしていつしか『義賊』と呼ばれるようになる頃には、信頼できる仲間や部下が集まり、ついに100人規模に迫る裏ギルドになっていた。

実力や性格などを考慮して、信頼信用できる者に役職を任せて、これからも少しづつ悪撲滅に向けて活動していく……はずだった。

この日、今日までは。

まさかだった。

まさか、闇のフクロウにとって相反する依頼を引き受け、なおかつそれを黙って行動に移したのが幹部だった。

5人しか居ない幹部が、5人とも裏切り者だった。

裏切り者も結局は人間だ。

自分の置かれている環境に酔って、権力や欲望の増長を抑えきれなくなってしまったのか。

あるいは他の勢力からの甘言に惑わされたか。

現状では知ることもできないが、起きてしまったことはしょうがないと、工藤妹は思考を切り替えていた。

そこに感情を持っていく余裕がないのだ。

裏切り者が襲った相手がヤバかった。

最近噂になっている、ダンジョンネストから無傷帰還を果たした男だ。

工藤妹は1度だけ、感知されないギリギリのところを見極めて、無月という男を観察したことがある。

「魔力おばけじゃん……」

そんな感想しか出てこないほどに、Sレベルの工藤リズムさえ、無月の魔力量は底がまったく見えない。

もし無月夜空という男が、将来的に悪の道に進んでしまったら、果たして悪道断罪の理念で彼を始末することができるのか?

答えはいな、そう結論つけるほど、本能で理解してしまった。

「──まずは話し合い、それがダメなら……」

工藤妹、そして大幹部たちは無月と事を構えたくなかった。

しかし裏ハンターギルドとしてのメンツを守らなければ、他の裏ギルドに隙を与えてしまうことになってしまう。

「義賊として、こんなところで足踏みしている場合じゃないわ! 夜叉!! 見張りには絶対にターゲットには手を出すなって伝えて!」

「了解、ボス」

こうして『闇のフクロウ』の主力メンバーは動きだした。




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