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2話
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ダンジョンのことを異世界と表現するダンジョンハンターは少なからずいる。
理由はモンスター、動植物、資源など、ダンジョンは地球に存在しないもので溢れているからだ。
無月むつきとクリシが入ダンしたダンジョンは、初心者ハンターが最初に挑む環境にあって、草原広がる見渡しが素晴らしいフィールドだった。
ゴブリンと戦っている同じレベル帯であろう他のハンターパーティーがあちこちにいて、戦闘をしていない近くにいた2人の存在に気付いたハンターたちは、まずクリシの容姿に男女関係なく見惚れていた。
さらに無月に視線を移すと、大半の者が顔を引きつらせて……一部の者は嫉妬の感情が表情にでていた。
ぶっちゃけてしまえば、無月の容姿は平々凡々であり、身長も160センチと平均より低く、リュックサックを背負っているだけで、武器は何も持たず服装も何の変哲もない黒色の動きやすいジャージ服。
しかし、無月から放たれる魔力は初心者ハンターから見て暴力的なまでに一切の底を見せない。
無月が契約している使い魔の中でクリシ・フロラシオン・ヴィーテ・バハムートが、一番召喚するのに必要な魔力の消費が少ない。
つまり無月とって最低限の魔力しか解放していないにも関わらず、少なくともこのダンジョン内にいるハンターたちより圧倒的な魔力を纏まとっていた。
──個人が持つ魔力は先天的要素が多く、現状は後天的に魔力を増やすには、魔力がある環境ダンジョンにいるか、魔法を使って魔力を消費するか、モンスターを狩るか、そのいずれかに限られる。
それでも増える魔力は微々たるものであった。
魔力が多ければ多いほど、ダンジョン攻略において途轍もなく大きなアドバンテージになるのは明白であり、面倒ごとはごめんだとばかりに、無月はクリシに視線を送る。
相棒の性格を熟知しているクリシは苦笑いしつつ、視線が気にならない場所まで移動を始めた。
それから暫くして、無月は遭遇したゴブリンに息をする様にサーチアンドデストロイをひたすら繰り返すクリシを眺めていた。
ゴブリンは醜悪な顔をしていて、身長100センチほどの人型の体型をしている。
肌は青緑色で、片手剣や棍棒、鉄の盾、毛皮の腰巻を装備しているるのだが、離れた位置にいたゴブリンを見つけた瞬間、クリシはゴブリンの首を容赦なく右腕を振るって刎ねる。
「ゴブリンにクリシは過剰戦力すぎるな……かと言って、俺自身に戦闘能力はないし」
予想していた以上の光景を目の当たりにしている無月は、消滅したゴブリンから落ちた魔石モンスターコアをひたすら拾ってリュックサックにしまう簡単なお仕事を遂行中。
「これでちょうど300体目……十分だな。──クリシ、今日はもう帰るぞ」
「え~?? まだ狩り始めて30分くらいだよ? 時間が許す限り狩っていいって言ったじゃん!」
「リュックサックが一杯でもう入らん。まぁ、そもそも初めてのクエスト、しかもソロのハンターが30分でゴブリンを300体狩るのは普通あり得ないことだし、また明日来よう」
例えば初心者ハンターのパーティー2人組が、ゴブリン1体に対して討伐する平均時間はおよそ1分から2分、ゴブリンが5体に対しておよそ3分から5分。
パーティーメンバーが多ければ討伐時間も当然短くなっていくし、それこそソロだともっと時間がかかる。
それに個人能力次第でも変わってくるが、クリシのゴブリン討伐ペースは、見つけ出してから狩るまでだいたい6秒。
しかも疲れは一切なく集中力も途切れないままでだ。
クリシにとっては久しぶりの気分転換だったからか、まだまだ動き足りない様子だったが、無月の言葉に「しょうがないなぁ」と頷いた。
クリシの戦闘とは言い難い衝撃的な狩りを見ていた他のハンターたちは、帰っていく2人を呆然と眺めている。
──が、何の前触れもなく、無月とクリシは姿を消した。
「も、もしかして、モンスターネストに連れ去られたんじゃ?!」
目撃していたハンターの一人が驚きと怯えを交えたような表情で叫ぶ。
それから一気にハンター間で喧騒が生まれていくが、少なくとも彼ら彼女らには助けに行ける方法は一つもない。
『モンスターネスト』とは、極稀にダンジョン内に『次元の狭間』が発生し、それに巻き込まれてしまうと、“1000体規模”のモンスターがひしめく空間に飛ばされる。
モンスターのレベルはダンジョンレベルより数レベル上の個体しか出てこず、ハンターたちにとっては死の空間に他ならなかった。
元の場所に戻る方法はただ一つ、モンスターネストにいるモンスターを一匹残らず殲滅するしかない。
「うわぁ、初のダンジョンでモンスターネストに来る羽目になるとは」
「ニシシ! 凄く確立が低いのにねぇ~」
そして巻き込まれた2人は特別慌てている様子は微塵もなく、無月はめんどくさそうに、クリシは楽しそうに笑みを浮かべていた。
「あのモンスターは、Gレベルのハーピーとオーガか?」
「うん、そうみたいだね~」
Iレベルから二つ上のGレベルモンスター。
ハーピーは美しい女性の頭を持ったカラスの羽根、鷹の爪を持つ2メートルほどの大きさのモンスターだ。
隙を見せると空中から凶悪な爪で引き裂く。
空中には目測500体ほどのハーピーがうじゃうじゃ飛び回っている。
オーガは二足歩行の筋肉鬼巨人であり、個体によって3メートルから5メートルくらいの大きさをしている。
しかしながら見た目とは裏腹に、膂力や体力も高く、数メートルの鉄の大剣や斧を装備していた。
地上にいるオーガも、ハーピーと同じくらいの数がいるようで、無月とクリシに気付いたモンスターたちは、咆哮を上げて行進を始めた。
理由はモンスター、動植物、資源など、ダンジョンは地球に存在しないもので溢れているからだ。
無月むつきとクリシが入ダンしたダンジョンは、初心者ハンターが最初に挑む環境にあって、草原広がる見渡しが素晴らしいフィールドだった。
ゴブリンと戦っている同じレベル帯であろう他のハンターパーティーがあちこちにいて、戦闘をしていない近くにいた2人の存在に気付いたハンターたちは、まずクリシの容姿に男女関係なく見惚れていた。
さらに無月に視線を移すと、大半の者が顔を引きつらせて……一部の者は嫉妬の感情が表情にでていた。
ぶっちゃけてしまえば、無月の容姿は平々凡々であり、身長も160センチと平均より低く、リュックサックを背負っているだけで、武器は何も持たず服装も何の変哲もない黒色の動きやすいジャージ服。
しかし、無月から放たれる魔力は初心者ハンターから見て暴力的なまでに一切の底を見せない。
無月が契約している使い魔の中でクリシ・フロラシオン・ヴィーテ・バハムートが、一番召喚するのに必要な魔力の消費が少ない。
つまり無月とって最低限の魔力しか解放していないにも関わらず、少なくともこのダンジョン内にいるハンターたちより圧倒的な魔力を纏まとっていた。
──個人が持つ魔力は先天的要素が多く、現状は後天的に魔力を増やすには、魔力がある環境ダンジョンにいるか、魔法を使って魔力を消費するか、モンスターを狩るか、そのいずれかに限られる。
それでも増える魔力は微々たるものであった。
魔力が多ければ多いほど、ダンジョン攻略において途轍もなく大きなアドバンテージになるのは明白であり、面倒ごとはごめんだとばかりに、無月はクリシに視線を送る。
相棒の性格を熟知しているクリシは苦笑いしつつ、視線が気にならない場所まで移動を始めた。
それから暫くして、無月は遭遇したゴブリンに息をする様にサーチアンドデストロイをひたすら繰り返すクリシを眺めていた。
ゴブリンは醜悪な顔をしていて、身長100センチほどの人型の体型をしている。
肌は青緑色で、片手剣や棍棒、鉄の盾、毛皮の腰巻を装備しているるのだが、離れた位置にいたゴブリンを見つけた瞬間、クリシはゴブリンの首を容赦なく右腕を振るって刎ねる。
「ゴブリンにクリシは過剰戦力すぎるな……かと言って、俺自身に戦闘能力はないし」
予想していた以上の光景を目の当たりにしている無月は、消滅したゴブリンから落ちた魔石モンスターコアをひたすら拾ってリュックサックにしまう簡単なお仕事を遂行中。
「これでちょうど300体目……十分だな。──クリシ、今日はもう帰るぞ」
「え~?? まだ狩り始めて30分くらいだよ? 時間が許す限り狩っていいって言ったじゃん!」
「リュックサックが一杯でもう入らん。まぁ、そもそも初めてのクエスト、しかもソロのハンターが30分でゴブリンを300体狩るのは普通あり得ないことだし、また明日来よう」
例えば初心者ハンターのパーティー2人組が、ゴブリン1体に対して討伐する平均時間はおよそ1分から2分、ゴブリンが5体に対しておよそ3分から5分。
パーティーメンバーが多ければ討伐時間も当然短くなっていくし、それこそソロだともっと時間がかかる。
それに個人能力次第でも変わってくるが、クリシのゴブリン討伐ペースは、見つけ出してから狩るまでだいたい6秒。
しかも疲れは一切なく集中力も途切れないままでだ。
クリシにとっては久しぶりの気分転換だったからか、まだまだ動き足りない様子だったが、無月の言葉に「しょうがないなぁ」と頷いた。
クリシの戦闘とは言い難い衝撃的な狩りを見ていた他のハンターたちは、帰っていく2人を呆然と眺めている。
──が、何の前触れもなく、無月とクリシは姿を消した。
「も、もしかして、モンスターネストに連れ去られたんじゃ?!」
目撃していたハンターの一人が驚きと怯えを交えたような表情で叫ぶ。
それから一気にハンター間で喧騒が生まれていくが、少なくとも彼ら彼女らには助けに行ける方法は一つもない。
『モンスターネスト』とは、極稀にダンジョン内に『次元の狭間』が発生し、それに巻き込まれてしまうと、“1000体規模”のモンスターがひしめく空間に飛ばされる。
モンスターのレベルはダンジョンレベルより数レベル上の個体しか出てこず、ハンターたちにとっては死の空間に他ならなかった。
元の場所に戻る方法はただ一つ、モンスターネストにいるモンスターを一匹残らず殲滅するしかない。
「うわぁ、初のダンジョンでモンスターネストに来る羽目になるとは」
「ニシシ! 凄く確立が低いのにねぇ~」
そして巻き込まれた2人は特別慌てている様子は微塵もなく、無月はめんどくさそうに、クリシは楽しそうに笑みを浮かべていた。
「あのモンスターは、Gレベルのハーピーとオーガか?」
「うん、そうみたいだね~」
Iレベルから二つ上のGレベルモンスター。
ハーピーは美しい女性の頭を持ったカラスの羽根、鷹の爪を持つ2メートルほどの大きさのモンスターだ。
隙を見せると空中から凶悪な爪で引き裂く。
空中には目測500体ほどのハーピーがうじゃうじゃ飛び回っている。
オーガは二足歩行の筋肉鬼巨人であり、個体によって3メートルから5メートルくらいの大きさをしている。
しかしながら見た目とは裏腹に、膂力や体力も高く、数メートルの鉄の大剣や斧を装備していた。
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