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2章
ここでやらなきゃ女が廃る ⑤
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そうして番長に担ぎ込まれたのは、先ほどまでのファンタジー然とした街並みから打って変わった近未来的な建物。丸いドーム型の屋根に曲線が多いその造形はどこか天文台のような雰囲気を感じさせる。
担がれたまま何かの手続きを済まされ、天駕が降ろされたのは一面をコンクリートで埋め尽くされた大きな部屋。照明がなくとも明るいのはやはり魔法のおかげだろう。
「一瞬ぐらっとするが、気ぃ付けろよー」
どういうことかと聞き返す前に、番長が入り口付近にあったパネルに何か打ち込む。すると一秒ほど地面が揺れたかと思うと、足元から草が次々と生えていく。
「うわっ、わっ!」
ふらつきながらもどうにか踏ん張る天駕。
揺れが収まったところで辺りを見回すと、そこはもはやコンクリートジャングルではなく、太陽が煌々と輝く巨大な広場へと変わっていた。
「何、これ……」
「見ての通り練習場じゃ。とは言っても基本は砂地の更地でやるのが普通なんじゃがな。この環境は単純にワシの趣味じゃ。疲れたらそこらの草むらに転がればええしの」
番長が説明しながら天駕のそばへ歩み寄る。
「さて、さっそく始めるとするか。貴重品はそこら辺の岩の上にでも置いとけ」
「う、うん」
番長が指した岩の上に小物入れを置く。
きゅ?
何事かと袋から顔を出したコウちゃんが辺りを見回す。
「しばらく危ないから、ここで待っててね」
指で頭を撫で、番長の方へ戻る。途中でちらりと振り返るが、袋から出てはいるものの岩の上から降りようとはしていない。思った以上に賢いペットだった。
「お待たせ」
「ありゃあコケウサギか。皮を剥いで胡椒をまぶして食うと絶品でなぁ」
「おりゃぁっ!」
ゴスッ、という音を立てて天駕のローキックが番長の脛へクリーンヒット。
不意打ちと言うこともあってか、番長はものの見事に沈んだ。
「うっ、ぐっぅあ……」
《……人のペットを食い物として見るからそうなる》
ニールもこれには呆れたらしい。はぁ、とため息の音が聞こえた。
「す、すまんかった……」
「私もごめん。反射的に足が反応しちゃって」
《動物と同レベルやん》
「黙らないと岩に叩きつけるわよ、アンタ」
《おぉ怖っ! くわばらくわばら》
おどけたようにそう言うと、ツヴァイツェンは言われた通り黙り込んだ。
番長が回復するまでの間、天駕はとりあえずとラジオ体操を行う。
元の世界ではあまりまともにやってこなかったが、いざしっかりやると、なるほどたしかに肩の駆動域や腕が軽くなったような気がする。ついでに記憶の片隅で埃を被っていたストレッチも合わせてみると、いくらか全身が軽くなった感じがした。
やっぱり学校で教えてもらったことは大事だったんだなぁ、と天駕は今更ながら実感。
そうこうしている内に番長も回復したようで、今度は天駕が歩み寄る。
「それで、最初は何からやるの?」
「そうさな、まずは体の動かし方から始めるか」
「体の動かし方?」
「ほうじゃ。加護を得ている今、お前さんの身体は常人のソレを遥かに凌駕しとる。試しに思いっきり走ってみろ」
そう言って番長が反対側の壁を指す。向こうまで約三〇〇メートルといったところだろう。中々の距離だが、はたしてどれほど早くなるのだろうか。
天駕はとりあえずクラウチングスタートの構えを取る。別にこの態勢の方が慣れているわけではなく、ただ単にこうした方がいいかと思っただけだ。
天駕は特に何も考えずにぐっと両足に力を込め、思いっきり足を踏み抜く。
次の瞬間、鈍い音と共に天地が逆転する。
目はちかちかして頭には鈍痛、視界には上から垂れた自分の足と心配そうに駆け寄る番長の姿。自分がひっくり返っていることに気付いたのは、彼に手を差し伸べられたときだった。
「大丈夫か?」
「な、なんとかぁ……」
ふらふらしながらどうにか立ち上がり、壁に寄り掛かる。
「いったい何がどうなったわけ……?」
《吹っ飛んだんや。正しくは『跳んだ』やけどな》
「跳んだ……?」
《うむ。あれはさながら闇を裂く雷の様であった。見事であるぞ、天駕殿》
ニールが良いように言って褒めてくれたが、ありていに言えば人間砲弾である。制御できずに壁にぶつかっていては意味がない。
「いやすまん、まさかあれ程強化されているとは思わんくてな。ワシの時は少し足がはようなったぐらいじゃったからなぁ」
《おぬしの図体と彼女の大きさを考えれば分かるだろう……》
「じゃったら先に言うてくれてもよかったろう」
《……》
「まぁただんまりか。まぁいいわい」
困ったように頭を掻く番長。
またということは、度々こういうやり取りがあるのだろう。ニールは案外、人の失敗を見て楽しんだりするタイプだったりするのだろうか。もしくは今気づいたので言えなかったからか。こちらの相棒なら両方なのだろうが。
《なんや、なんか言いたそうやな》
「え、何が……?」
ツヴァイツェンが天駕の機微に目ざとく気付くが、頭痛を利用して何食わぬ顔で返事をする。しばらく訝しむような空気を醸し出すツヴァイツェンだったが、番長が話し出そうとしていることに気付いて黙り込んだ。
「まぁ、そんな風にお前さんの身体能力は著しく強化されとる。普段の動作ぐらいならなんともないが、武器を使ったり物を投げたりするときに気を付けんと大変なことになるぞ」
「身を持って理解したよ……」
こめかみを押さえ、力なく笑う。回復能力も強化されているのか、耳鳴りがするほどだった鈍痛も数秒すればだいぶ和らぎ、十秒もすればもうなんともなくなっていた。
「しばらく走ったりして、どれぐらいの力加減で何をすればいいのか探ってみぃ。分からんことがあればワシに気兼ねなく聞けばええ」
そう言って番長は近場にあった手ごろな岩の上でゴロリと横になった。
もう少し態度があるんじゃないのかとも思ったが、先ほどニールが言った通り、番長と自分では体の動かし方がまるで違う。それをただ立って眺めていろと言うのも酷いだろう。
仕方がないのでツヴァイツェンを一旦降ろし、天駕は言われた通り、思いつくまま体を動かし始めた。
◆ ◆
外の時間と連動しているのか、気が付けば日がだいぶ傾いていた。
いくら動いてもまったく疲れないことが楽しく、動き続けた結果服は汗でびしょびしょ。番長がいたことなどはすっかり頭から抜けていて、臭わないかと気にしつつ辺りを見回せば、番長は数時間前と変わらない体勢で目をつむっていた。
ちなみにコウちゃんは気持ちよさそうに眠っている。かわいい。
「ん? もういいのか?」
動きを止めたことに気付いたのか、番長がのそりと起き上がって天駕に歩み寄る、
「うん、だいたい分かったから大丈夫。その気になったら天井ぐらいまで跳べるもんなんだね。すごいねー、加護って」
「普通はそこまで跳べんもんらしいが……まぁ個人差じゃろうな」
はちきれんばかりの笑顔でそう言う天駕へ、呆気にとられた表情を向ける番長。
《ようやっと終わったか……》
岩に立てかけられていたツヴァイツェンがくたびれたような声を上げる。その横には群青色に輝く四角推が置かれていた。色からしてこれはニールだろう。
というか。
(あれって取り外していいんだ……)
てっきりはめ込んだらそれっきりだと思っていたので、これは意外だった。よくよく考えてみれば、他の武器を試したいと言う人もいるだろうし当然のことなのかもしれない。
自分も剣が合わなかったら他の武器を試してみるべきか。そんなことを思った。
《むっ、仕方あるまい。では本日はここまでとする。以後、教えたことを肝に銘じ、天駕殿の相棒と相応しくなるよう精進せよ》
《へいへい、ありがとうございましたー》
ツヴァイツェンの挨拶を聞き終えて剣を掴むと、心なしか重くなっているような気がした。どうやら武器精のやる気や気持ちが能力に影響するらしい。
番長もニールを掴み、傍らに置いてあったガトリング銃にはめ込んで持ち上げる。
(……あれ?)
ふと、天駕の中に疑問が浮かんだ。
「ねぇ番長、ちょっと聞いていい?」
「ん、なんじゃい」
「もしかして、ニールの能力って重さを減らすこと?」
なんとなしにそう尋ねると、番長は目を大きく開いたのち、にんまりと笑った。
「ふふふっ……どうやらお前さん、元の世界じゃ相当なやり手だったらしいのぅ」
「え? いや、別にそんなことは」
空想妄想ならお手の物だったが、もちろん番長はそういう意味で言ったわけではない。
あらぬ誤解を解こうと口を開く天駕だが、それを番長が片手で制す。
「謙遜せんでええ。初見でニールの能力を見破ったのは天駕、お前さんが初めてじゃ。いくらワシが屈強な身体をしていても、さすがにこんなゴツい物を軽々持てるわけがない」
《だが、見かけが与える印象と言うのはとても強大だ。この男ならば持てるかもしれない。そんなことを相手に印象付けさせれば、他に能力があるのだろうと相手は警戒し、逡巡する。そこで搦め手を用いた戦法で相手をかく乱し、圧倒的な弾幕で仕留めるのだ》
そう説明する二人の口調はどこか嬉しそうだった。
案外誰かに言いたくてうずうずしていたのかもしれない。誰かに言ってバラされてしまえばその手は通用しなくなってしまうが、もう通用しないと分かった相手で、なおかつ同じ陣営の天駕ならば大丈夫だろうと踏んだのだろう。
特にニールが話した印象のくだりは、天駕にもとても共感できるものだった。
髪が赤いから不良だの、目が紫だからカラコンを入れてイキっているだの、もう散々だった。それが理由で多少暴れたりもしたが、それももう昔の話だ。
《脳筋バカかと思ったら全然ちゃうがな……》
「それも作戦のうちじゃ。さて、こっちの能力は話したぞ。そいで、そっちの能力は?」
「え、いや、その」
こっちが話したから次はそっち。そうなるのは当然の流れだった。
予想はしていたが、いざとなると上手い言い訳が思いつかない。
もごもごと口の中で言葉を転がしていると、番長が不思議そうに天駕を見た。
「ワシと天駕はもう仲間じゃろ。ここまで来て隠し事はナシじゃ」
仲間。
嘘偽りのないその言葉をかけてくれたのはとても嬉しい。
嬉しいのだが、本当のことを言ってもいいのだろうか。何も能力がないと分かったら縁を切られるのではないか。そんな悪いことばかりがぐるぐると頭の中を駆け巡る。
一か八か。天駕は意を決して口を開く。
《――モノマネや》
天駕が言うよりも早く、ツヴァイツェンがそう言った。
「モノマネって、人とかの真似をするあれか?」
《せやで~。こう見えても得意やねん》
「いやまぁ、姿はこの際関係ないじゃろうが……」
番長が顎に手を当ててツヴァイツェンを、天駕を見つめる。
ツヴァイツェンの意図が分からず、緊張する天駕の心臓は今にも爆発寸前。
《……そこまでにしておけ》
そんな窮地を救ったのはニールだった。
《試合までのお楽しみ……そう言いたいのであろう》
「いや、その」
《そういうこっちゃ! スマンなぁ、ワイってば生まれながらのエンターテイナーやねん。これからお世話になるし、その結果を本番に見せて驚かそう思うてな。天駕にもなんも言わんようクギ刺しててんや》
天駕の言葉に重ねるようにしてツヴァイツェンが喋る。
もちろんそんなことを言われた記憶はないし、そもそも相談出来る時間もなかった。
そのことに気付かれないかと心配する天駕だが、番長は納得したように頷く。
「なんじゃ、そういうことかい。それならそうと言やぁいいのに」
《いやぁ申し訳ない! あっはっはぁ! っちゅうわけやから、能力についての話はナシの方向でよろしゅうな。あっ、天駕にこっそり聞くのもナシやからな!》
「そんな卑怯なことせんわ!」
がはは、と笑いあうツヴァイツェンと番長。間に挟まれた天駕は状況について行けず、ただただ戸惑うばかり。まるで親戚の集まりでおじさんに挟まれたような気持ちだった。
それはさておき、気になるのはツヴァイツェンの言動である。
まるで天駕の心情を察したかのようなタイミングで喋り、話が振られても一人で全て対応。おまけに聞かれないようにクギまで刺してくれた。
(私をフォローしてくれてる……?)
そっとツヴァイツェンを見るが、顔がないので分かるわけもなく。
もしかしたら自分が思っているよりも良い人、もとい剣なのかもしれない。
「はぁーあ……さて、今日の所はここまでにしておくかのぉ」
そんな風に相棒のことを見直していると、ひとしきり笑い終えた番長がそう言った。
「えっ、もう? まだちょっとしか動いてないと思うんだけど」
やったことといえば、精々走りこみとジャンプぐらいである。
天駕的にはもう少しこのスーパーパワーを満喫したかったのだが、ダメなのだろうか。
そんな空気を天駕から感じ取ったのか、番長が理由を説明してくれた。
「ワシもここに来て特訓を受けたときはそう思ったわい。加護を受け取るからまだまだ動けると思っとるだけで、実は思った以上に体には負担が掛かっとる。体が慣れるまでは無理せん方がええんじゃ」
《どこかの阿呆は、その忠告を無視して翌日悲鳴を上げとったがな》
「余計なことを言わんでいい」
ぺしっとガトリングを叩く番長。
「……そういうわけじゃから、今日はもうゆっくり休んどった方がええぞ」
「うん、そうする。宿ってどこにあるの? アレスタさんから何も聞いてないんだけど」
「近くにワシが世話になっとる場所ならあるが……ちょいと待っとれ」
そう言って番長が懐から取り出したのは携帯電話、いわゆるガラケーだった。魔法要素が強い世界とはいえ、電波などは普通にあるのだろう。天駕も道具袋からスマホを取り出し見てみるが、アンテナマークは立っていない。まさかこの世界でも、キャリアによって電波具合が違うなんてことはあるまい。
番長は慣れたように番号を入力し、耳元へ近づける。
「もしもしアレスタさん。番長ですわ」
((自分で番長って言うんだ……))
自分の名前を一人称にしている人はよく見るが、まさかアダ名をそのまま使っている人がいるとは思ってもいなかった。
「今天駕の特訓が終わったところなんですが、宿の手配とかはしとりますか? ……えぇ、はいはい。そりゃあ簡単には見つからんでしょう。ワシと同じ宿はどうですかね。あそこなら不埒な輩も寄り付かんでしょうし。……はい、はい、ほんならまた明日」
きちんと両手でガラケーを畳み、懐へ戻す番長。
「なんて言ってた?」
「探してたところやったから助かりますー、て言うてたわい。なんでも、お前さんに気を遣って女性専用やらなんやら色々条件付きで探しとったらしいわ」
「そうなの? 別にそんなの気にしないのになぁ」
《見れば分かるっちゅうねん》
「……」
無言でリアムズから貰ったシャープナーを取り出す天駕。
《冗談や冗談! やから本体削るのは堪忍やって!!》
まだ何もしていないというのに、ツヴァイツェンは慌てて謝罪した。どうやら天駕のやろうとしたことに気付いたらしい。
「分かればいいのよ、分かれば」
天駕は満足気に笑う。
自分だって世間から見れば精神的に幼い思春期真っ只中の乙女なわけで。それを鑑みればアレスタが色々と考えてくれていたのも当然だろう。あれだけ振り回して迷惑を掛けたというのに、本当に自分はいい人と出会えたのだと心から思う。
《……自覚はあるねんな》
「なんか言った?」
《なんも言うとらん。それより、番長が泊まってる宿ってどんなところなんや?》
「ん? そうじゃな、旅館みたいなところじゃ。飯は美味いし女将は優しい」
《あれは優しいと言うよりも……》
ニールが何か呟いたが、天駕には上手く聞き取れなかった。番長も気にする素振りはないし、大したことではなかったのだろうか。
《ほーん、それなら安心してよさそうやな。ワイはてっきり大部屋で雑魚寝でもしとるんかと思っとったたけど》
「ほんと失礼ね、アンタ」
《自分かてそう思ってたくせに》
「そんなわけないでしょ!」
「はいはい、喧嘩はそこまでじゃ」
本日何度目かの口プロレスを始めた天駕とツヴァイツェンをなだめる番長。
「元気があるのは構わんが、向こうに着いたら静かにしてくれんと困るぞ」
「それはコイツ次第よ」
《それはコイツ次第や》
綺麗にハモる一人と一振り。
再び始まった喧嘩を眺めつつ、本当に大丈夫なのだろうかと不安になる番長であった。
担がれたまま何かの手続きを済まされ、天駕が降ろされたのは一面をコンクリートで埋め尽くされた大きな部屋。照明がなくとも明るいのはやはり魔法のおかげだろう。
「一瞬ぐらっとするが、気ぃ付けろよー」
どういうことかと聞き返す前に、番長が入り口付近にあったパネルに何か打ち込む。すると一秒ほど地面が揺れたかと思うと、足元から草が次々と生えていく。
「うわっ、わっ!」
ふらつきながらもどうにか踏ん張る天駕。
揺れが収まったところで辺りを見回すと、そこはもはやコンクリートジャングルではなく、太陽が煌々と輝く巨大な広場へと変わっていた。
「何、これ……」
「見ての通り練習場じゃ。とは言っても基本は砂地の更地でやるのが普通なんじゃがな。この環境は単純にワシの趣味じゃ。疲れたらそこらの草むらに転がればええしの」
番長が説明しながら天駕のそばへ歩み寄る。
「さて、さっそく始めるとするか。貴重品はそこら辺の岩の上にでも置いとけ」
「う、うん」
番長が指した岩の上に小物入れを置く。
きゅ?
何事かと袋から顔を出したコウちゃんが辺りを見回す。
「しばらく危ないから、ここで待っててね」
指で頭を撫で、番長の方へ戻る。途中でちらりと振り返るが、袋から出てはいるものの岩の上から降りようとはしていない。思った以上に賢いペットだった。
「お待たせ」
「ありゃあコケウサギか。皮を剥いで胡椒をまぶして食うと絶品でなぁ」
「おりゃぁっ!」
ゴスッ、という音を立てて天駕のローキックが番長の脛へクリーンヒット。
不意打ちと言うこともあってか、番長はものの見事に沈んだ。
「うっ、ぐっぅあ……」
《……人のペットを食い物として見るからそうなる》
ニールもこれには呆れたらしい。はぁ、とため息の音が聞こえた。
「す、すまんかった……」
「私もごめん。反射的に足が反応しちゃって」
《動物と同レベルやん》
「黙らないと岩に叩きつけるわよ、アンタ」
《おぉ怖っ! くわばらくわばら》
おどけたようにそう言うと、ツヴァイツェンは言われた通り黙り込んだ。
番長が回復するまでの間、天駕はとりあえずとラジオ体操を行う。
元の世界ではあまりまともにやってこなかったが、いざしっかりやると、なるほどたしかに肩の駆動域や腕が軽くなったような気がする。ついでに記憶の片隅で埃を被っていたストレッチも合わせてみると、いくらか全身が軽くなった感じがした。
やっぱり学校で教えてもらったことは大事だったんだなぁ、と天駕は今更ながら実感。
そうこうしている内に番長も回復したようで、今度は天駕が歩み寄る。
「それで、最初は何からやるの?」
「そうさな、まずは体の動かし方から始めるか」
「体の動かし方?」
「ほうじゃ。加護を得ている今、お前さんの身体は常人のソレを遥かに凌駕しとる。試しに思いっきり走ってみろ」
そう言って番長が反対側の壁を指す。向こうまで約三〇〇メートルといったところだろう。中々の距離だが、はたしてどれほど早くなるのだろうか。
天駕はとりあえずクラウチングスタートの構えを取る。別にこの態勢の方が慣れているわけではなく、ただ単にこうした方がいいかと思っただけだ。
天駕は特に何も考えずにぐっと両足に力を込め、思いっきり足を踏み抜く。
次の瞬間、鈍い音と共に天地が逆転する。
目はちかちかして頭には鈍痛、視界には上から垂れた自分の足と心配そうに駆け寄る番長の姿。自分がひっくり返っていることに気付いたのは、彼に手を差し伸べられたときだった。
「大丈夫か?」
「な、なんとかぁ……」
ふらふらしながらどうにか立ち上がり、壁に寄り掛かる。
「いったい何がどうなったわけ……?」
《吹っ飛んだんや。正しくは『跳んだ』やけどな》
「跳んだ……?」
《うむ。あれはさながら闇を裂く雷の様であった。見事であるぞ、天駕殿》
ニールが良いように言って褒めてくれたが、ありていに言えば人間砲弾である。制御できずに壁にぶつかっていては意味がない。
「いやすまん、まさかあれ程強化されているとは思わんくてな。ワシの時は少し足がはようなったぐらいじゃったからなぁ」
《おぬしの図体と彼女の大きさを考えれば分かるだろう……》
「じゃったら先に言うてくれてもよかったろう」
《……》
「まぁただんまりか。まぁいいわい」
困ったように頭を掻く番長。
またということは、度々こういうやり取りがあるのだろう。ニールは案外、人の失敗を見て楽しんだりするタイプだったりするのだろうか。もしくは今気づいたので言えなかったからか。こちらの相棒なら両方なのだろうが。
《なんや、なんか言いたそうやな》
「え、何が……?」
ツヴァイツェンが天駕の機微に目ざとく気付くが、頭痛を利用して何食わぬ顔で返事をする。しばらく訝しむような空気を醸し出すツヴァイツェンだったが、番長が話し出そうとしていることに気付いて黙り込んだ。
「まぁ、そんな風にお前さんの身体能力は著しく強化されとる。普段の動作ぐらいならなんともないが、武器を使ったり物を投げたりするときに気を付けんと大変なことになるぞ」
「身を持って理解したよ……」
こめかみを押さえ、力なく笑う。回復能力も強化されているのか、耳鳴りがするほどだった鈍痛も数秒すればだいぶ和らぎ、十秒もすればもうなんともなくなっていた。
「しばらく走ったりして、どれぐらいの力加減で何をすればいいのか探ってみぃ。分からんことがあればワシに気兼ねなく聞けばええ」
そう言って番長は近場にあった手ごろな岩の上でゴロリと横になった。
もう少し態度があるんじゃないのかとも思ったが、先ほどニールが言った通り、番長と自分では体の動かし方がまるで違う。それをただ立って眺めていろと言うのも酷いだろう。
仕方がないのでツヴァイツェンを一旦降ろし、天駕は言われた通り、思いつくまま体を動かし始めた。
◆ ◆
外の時間と連動しているのか、気が付けば日がだいぶ傾いていた。
いくら動いてもまったく疲れないことが楽しく、動き続けた結果服は汗でびしょびしょ。番長がいたことなどはすっかり頭から抜けていて、臭わないかと気にしつつ辺りを見回せば、番長は数時間前と変わらない体勢で目をつむっていた。
ちなみにコウちゃんは気持ちよさそうに眠っている。かわいい。
「ん? もういいのか?」
動きを止めたことに気付いたのか、番長がのそりと起き上がって天駕に歩み寄る、
「うん、だいたい分かったから大丈夫。その気になったら天井ぐらいまで跳べるもんなんだね。すごいねー、加護って」
「普通はそこまで跳べんもんらしいが……まぁ個人差じゃろうな」
はちきれんばかりの笑顔でそう言う天駕へ、呆気にとられた表情を向ける番長。
《ようやっと終わったか……》
岩に立てかけられていたツヴァイツェンがくたびれたような声を上げる。その横には群青色に輝く四角推が置かれていた。色からしてこれはニールだろう。
というか。
(あれって取り外していいんだ……)
てっきりはめ込んだらそれっきりだと思っていたので、これは意外だった。よくよく考えてみれば、他の武器を試したいと言う人もいるだろうし当然のことなのかもしれない。
自分も剣が合わなかったら他の武器を試してみるべきか。そんなことを思った。
《むっ、仕方あるまい。では本日はここまでとする。以後、教えたことを肝に銘じ、天駕殿の相棒と相応しくなるよう精進せよ》
《へいへい、ありがとうございましたー》
ツヴァイツェンの挨拶を聞き終えて剣を掴むと、心なしか重くなっているような気がした。どうやら武器精のやる気や気持ちが能力に影響するらしい。
番長もニールを掴み、傍らに置いてあったガトリング銃にはめ込んで持ち上げる。
(……あれ?)
ふと、天駕の中に疑問が浮かんだ。
「ねぇ番長、ちょっと聞いていい?」
「ん、なんじゃい」
「もしかして、ニールの能力って重さを減らすこと?」
なんとなしにそう尋ねると、番長は目を大きく開いたのち、にんまりと笑った。
「ふふふっ……どうやらお前さん、元の世界じゃ相当なやり手だったらしいのぅ」
「え? いや、別にそんなことは」
空想妄想ならお手の物だったが、もちろん番長はそういう意味で言ったわけではない。
あらぬ誤解を解こうと口を開く天駕だが、それを番長が片手で制す。
「謙遜せんでええ。初見でニールの能力を見破ったのは天駕、お前さんが初めてじゃ。いくらワシが屈強な身体をしていても、さすがにこんなゴツい物を軽々持てるわけがない」
《だが、見かけが与える印象と言うのはとても強大だ。この男ならば持てるかもしれない。そんなことを相手に印象付けさせれば、他に能力があるのだろうと相手は警戒し、逡巡する。そこで搦め手を用いた戦法で相手をかく乱し、圧倒的な弾幕で仕留めるのだ》
そう説明する二人の口調はどこか嬉しそうだった。
案外誰かに言いたくてうずうずしていたのかもしれない。誰かに言ってバラされてしまえばその手は通用しなくなってしまうが、もう通用しないと分かった相手で、なおかつ同じ陣営の天駕ならば大丈夫だろうと踏んだのだろう。
特にニールが話した印象のくだりは、天駕にもとても共感できるものだった。
髪が赤いから不良だの、目が紫だからカラコンを入れてイキっているだの、もう散々だった。それが理由で多少暴れたりもしたが、それももう昔の話だ。
《脳筋バカかと思ったら全然ちゃうがな……》
「それも作戦のうちじゃ。さて、こっちの能力は話したぞ。そいで、そっちの能力は?」
「え、いや、その」
こっちが話したから次はそっち。そうなるのは当然の流れだった。
予想はしていたが、いざとなると上手い言い訳が思いつかない。
もごもごと口の中で言葉を転がしていると、番長が不思議そうに天駕を見た。
「ワシと天駕はもう仲間じゃろ。ここまで来て隠し事はナシじゃ」
仲間。
嘘偽りのないその言葉をかけてくれたのはとても嬉しい。
嬉しいのだが、本当のことを言ってもいいのだろうか。何も能力がないと分かったら縁を切られるのではないか。そんな悪いことばかりがぐるぐると頭の中を駆け巡る。
一か八か。天駕は意を決して口を開く。
《――モノマネや》
天駕が言うよりも早く、ツヴァイツェンがそう言った。
「モノマネって、人とかの真似をするあれか?」
《せやで~。こう見えても得意やねん》
「いやまぁ、姿はこの際関係ないじゃろうが……」
番長が顎に手を当ててツヴァイツェンを、天駕を見つめる。
ツヴァイツェンの意図が分からず、緊張する天駕の心臓は今にも爆発寸前。
《……そこまでにしておけ》
そんな窮地を救ったのはニールだった。
《試合までのお楽しみ……そう言いたいのであろう》
「いや、その」
《そういうこっちゃ! スマンなぁ、ワイってば生まれながらのエンターテイナーやねん。これからお世話になるし、その結果を本番に見せて驚かそう思うてな。天駕にもなんも言わんようクギ刺しててんや》
天駕の言葉に重ねるようにしてツヴァイツェンが喋る。
もちろんそんなことを言われた記憶はないし、そもそも相談出来る時間もなかった。
そのことに気付かれないかと心配する天駕だが、番長は納得したように頷く。
「なんじゃ、そういうことかい。それならそうと言やぁいいのに」
《いやぁ申し訳ない! あっはっはぁ! っちゅうわけやから、能力についての話はナシの方向でよろしゅうな。あっ、天駕にこっそり聞くのもナシやからな!》
「そんな卑怯なことせんわ!」
がはは、と笑いあうツヴァイツェンと番長。間に挟まれた天駕は状況について行けず、ただただ戸惑うばかり。まるで親戚の集まりでおじさんに挟まれたような気持ちだった。
それはさておき、気になるのはツヴァイツェンの言動である。
まるで天駕の心情を察したかのようなタイミングで喋り、話が振られても一人で全て対応。おまけに聞かれないようにクギまで刺してくれた。
(私をフォローしてくれてる……?)
そっとツヴァイツェンを見るが、顔がないので分かるわけもなく。
もしかしたら自分が思っているよりも良い人、もとい剣なのかもしれない。
「はぁーあ……さて、今日の所はここまでにしておくかのぉ」
そんな風に相棒のことを見直していると、ひとしきり笑い終えた番長がそう言った。
「えっ、もう? まだちょっとしか動いてないと思うんだけど」
やったことといえば、精々走りこみとジャンプぐらいである。
天駕的にはもう少しこのスーパーパワーを満喫したかったのだが、ダメなのだろうか。
そんな空気を天駕から感じ取ったのか、番長が理由を説明してくれた。
「ワシもここに来て特訓を受けたときはそう思ったわい。加護を受け取るからまだまだ動けると思っとるだけで、実は思った以上に体には負担が掛かっとる。体が慣れるまでは無理せん方がええんじゃ」
《どこかの阿呆は、その忠告を無視して翌日悲鳴を上げとったがな》
「余計なことを言わんでいい」
ぺしっとガトリングを叩く番長。
「……そういうわけじゃから、今日はもうゆっくり休んどった方がええぞ」
「うん、そうする。宿ってどこにあるの? アレスタさんから何も聞いてないんだけど」
「近くにワシが世話になっとる場所ならあるが……ちょいと待っとれ」
そう言って番長が懐から取り出したのは携帯電話、いわゆるガラケーだった。魔法要素が強い世界とはいえ、電波などは普通にあるのだろう。天駕も道具袋からスマホを取り出し見てみるが、アンテナマークは立っていない。まさかこの世界でも、キャリアによって電波具合が違うなんてことはあるまい。
番長は慣れたように番号を入力し、耳元へ近づける。
「もしもしアレスタさん。番長ですわ」
((自分で番長って言うんだ……))
自分の名前を一人称にしている人はよく見るが、まさかアダ名をそのまま使っている人がいるとは思ってもいなかった。
「今天駕の特訓が終わったところなんですが、宿の手配とかはしとりますか? ……えぇ、はいはい。そりゃあ簡単には見つからんでしょう。ワシと同じ宿はどうですかね。あそこなら不埒な輩も寄り付かんでしょうし。……はい、はい、ほんならまた明日」
きちんと両手でガラケーを畳み、懐へ戻す番長。
「なんて言ってた?」
「探してたところやったから助かりますー、て言うてたわい。なんでも、お前さんに気を遣って女性専用やらなんやら色々条件付きで探しとったらしいわ」
「そうなの? 別にそんなの気にしないのになぁ」
《見れば分かるっちゅうねん》
「……」
無言でリアムズから貰ったシャープナーを取り出す天駕。
《冗談や冗談! やから本体削るのは堪忍やって!!》
まだ何もしていないというのに、ツヴァイツェンは慌てて謝罪した。どうやら天駕のやろうとしたことに気付いたらしい。
「分かればいいのよ、分かれば」
天駕は満足気に笑う。
自分だって世間から見れば精神的に幼い思春期真っ只中の乙女なわけで。それを鑑みればアレスタが色々と考えてくれていたのも当然だろう。あれだけ振り回して迷惑を掛けたというのに、本当に自分はいい人と出会えたのだと心から思う。
《……自覚はあるねんな》
「なんか言った?」
《なんも言うとらん。それより、番長が泊まってる宿ってどんなところなんや?》
「ん? そうじゃな、旅館みたいなところじゃ。飯は美味いし女将は優しい」
《あれは優しいと言うよりも……》
ニールが何か呟いたが、天駕には上手く聞き取れなかった。番長も気にする素振りはないし、大したことではなかったのだろうか。
《ほーん、それなら安心してよさそうやな。ワイはてっきり大部屋で雑魚寝でもしとるんかと思っとったたけど》
「ほんと失礼ね、アンタ」
《自分かてそう思ってたくせに》
「そんなわけないでしょ!」
「はいはい、喧嘩はそこまでじゃ」
本日何度目かの口プロレスを始めた天駕とツヴァイツェンをなだめる番長。
「元気があるのは構わんが、向こうに着いたら静かにしてくれんと困るぞ」
「それはコイツ次第よ」
《それはコイツ次第や》
綺麗にハモる一人と一振り。
再び始まった喧嘩を眺めつつ、本当に大丈夫なのだろうかと不安になる番長であった。
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